ブエルタ2013、第13ステージを制したのは、プロ1年目のワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)。10名の逃げグループのなか、残り1kmで、ベテラン勢が牽制しあう隙を突いて飛び出すクレバーな走りを見せた。総合成績および3賞は第12ステージと同じで変動はない。

ステージ優勝のワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)

フィニッシュラインに向けて登りを突き進むワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ) フィニッシュラインに向けて登りを突き進むワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)  photo:Kei Tsuji天を指差してゴールするワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ) 天を指差してゴールするワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)  photo:Kei Tsuji(3日前の落車でリタイア寸前だったことについて)あの落車はニュートラル・ゾーンで起きた。自分のミスが原因だったようには思わない。かなり落ち込んだけど諦めはしなかった。マーク・リーフ監督のおかげで、最初の目標が日々(レースに)残ることだったのを思い出した。残ることにこだわってよかった。今はとにかくうれしい。

終盤では、ぼくを含む10名の選手が前方にいて、自分では「10位以内でゴールするのは不可能だ!」と思っていた。チーム内では今日のゴールは残り5kmが勝負だと分析していたので、終盤の展開は予想できていた。登りスプリントが自分に向いていたと思う。他の選手たちが一息いれたときに、ここがアタックするタイミングだと思った。

ステージ優勝を飾った21歳のワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)ステージ優勝を飾った21歳のワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ) photo:Kei Tsuji(プロ1年目、グランツール初出場で今日の優勝は予想していた?)ブエルタに来たときは、それだけで満足していた。チームはぼくに信頼を置いてくれて、初めてグランツールに出場する機会を与えてくれたからだ。出場するだけで、ぼくの最初の目標は達成できていた。

ワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)がシャンパンを開けるワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)がシャンパンを開ける photo:Kei Tsuji(次世代のチャンピオンが誕生したという認識は?)今日の優勝がチャンピオンの誕生につながるのかはわからない。ただ、チャンピオンはたくさんの献身的なアシストなしには生まれないし、同時に幸福をもたらすことも知っている。今日の勝利は、最近亡くなった祖父に捧げたい。バイクに乗るための力強い両脚は、祖父がいたからこそのものだ。

(ツール・ド・ラブニールで総合優勝しているが、今後のキャリアプランは?)まだ少し早すぎると思う。プロ1年目は可能性を探りたい。アルゴス・シマノが、ぼくを信頼してくれているのをありがたく思う。今日はずっと守ってくれていたし、登りゴールの前までのアシストも素晴らしかった。チームの柱となる存在になりたいと思う。今後は数々のプレッシャーに耐えることが課題だ。自分のキャリアプランについてはまだ決めていないけれど、ツール・ド・フランスでのステージ優勝が、ぼくの夢でもある。

(ベテラン選手たちが今日の走り方をベタ褒めしているが?)自転車競技はぼくの血肉になっている。たぶん今日の勝利は少し運が良かったからで、レース展開を読めたことも大きい。つまり今日の逃げグループは(最後には)脚が売り切れているだろうと思った。

[世界選手権のフランス代表候補に選ばれたことについて]今は、このブエルタの完走が目標だ。(世界戦の)最終選考はアングリルのステージ[第20ステージ]終了後に決まる。そのときに疲れ切ってなくて、好調さを維持できていたら、世界選手権のフランス代表チームにもしっかり貢献できると思う。ベルナール[訳注:フランス代表チームのコーチ、ベルナール・ブロー]は、彼がコーチしたことがある若い世代の選手たちを熟知している。彼なら、個人の寄せ集めではない、本当の意味のチームを作るだろう。[レース公式リリースより]

プロ1年目として、そしてグランツールで優勝できて、とても誇らしく思う。この前の日曜日に、シエラネバダの山岳ステージ[第9ステージ]で、かなりひどい落車をしてしまい、本当に落ち込んでいた。そのときは総合19位で、山岳ステージをステージ10位でゴールした。ぼくの今回のブエルタでの最大目標は総合成績ではなかったのだけど、あの順位を下げるのは悔しかった。だけど、ちょうど良いことに翌日が休息日だった。それで徐々に復調できた。

今日のステージは、逃げグループに充分にチャンスがある日だった。だから、ゴールに備えてしっかりと体力を温存した。今日のゴールは、ぼく向けなのがよくわかっていたので、アタックするのに最適なタイミングまで待ってから飛び出した。信じられない結果だ。

今日の勝利で自分の能力を確かめることができて、とても満足している。実は、今シーズンは序盤から背中にトラブルを抱えていた。それでもチームメイトたちは、ぼくを全面的に信じてくれた。妙なプレッシャーや期待をかけることもなく、このブエルタに出場できるようにガイドしてくれた。ぼくが一人前の選手になれるように、チームメイトたちがものすごくサポートしてくれている。これが、ぼくがこのチームの一員になりたいと望んでいる本当の理由だ。[チーム公式リリースより]


マイヨロホを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)マイヨロホを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Vuelta a Espana/Graham Watson総合1位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

山岳ステージの前の2日間だから、静かになることは予想していたが、かなり難易度が高いステージだった。今日はペースが速かった! チームとしてはできるだけのコントロールはした。チームメイトたちがあまり体力を消耗してないことを願いたい。

今日、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が動きを見せなかったのは、それほど驚いてはいない。彼のコンディションを考えると、動きを見せるとすれば明日になるだろう。だけど、彼がジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)と一緒にアタックしたときは、まだ残り距離も多かった。

山岳賞・総合4位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)山岳賞・総合4位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Cor.Vos明日のゴールについては少しだけ知っている。総合争いはまだ終わっていない。まだがんばる必要がある。[ハチに刺された後の]顔面の状態が良くなってきたのも好材料だ。天気予報によると雨になりそうだが、あまり怖れてはいない。今年はこれまで(雨のなかで)数多くの成功を収めてきた。ティレノ〜アドリアティコでも、ジロ・デ・イタリアでも。


敢闘賞を獲得したミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)敢闘賞を獲得したミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji山岳賞・総合4位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)

今後の山岳3連戦のどこかで差を詰める必要がある。脚の調子次第にもなるだろう。数日前にステージ優勝したときと同じくらいに脚の調子が良くなっていれば、自分にとってはそれだけで充分だ。


7秒遅れでリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)らがフィニッシュ7秒遅れでリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)らがフィニッシュ photo:Kei Tsuji敢闘賞・ステージ7位のミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)

今日はかなり力強く登った。今日のゴールのことは知っていた。自分の脚質には向いてないこともわかっていたけど、ステージ優勝できるかもしれない幻想を抱いて、運試しをした。この数ステージでのゴールでは手応えを感じているが、両脚よりも両目で動きをチェックするほうが重要なようだ。今日の優勝選手[ワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)]は、ずっと頭を使って走っていた。それに若い選手がどんどん速くなってきている!


ステージ2位のリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)

登りスプリントでは勝っていたが、結果には満足できない。10人の逃げグループのなかでは、ステージ優勝するのは自分だという自信があった。だけど、ワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)がアタックして、したたかに走った。ともかく(世界選手権に向けて)調子が上向きであることには満足している。

かなり落ち込んでいる。ずっと好成績ではあるのだけど、このようなシチュエーションで2位ばかりを繰り返している。重要なのは優勝することだ! 優勝するチャンスは何度もあったにも関わらず、もう3年以上も勝てていない。ただ、今日の結果は、少なくとも今が絶好調だという証明にはなる。ブエルタにはまだかなりのステージが残っているから、また自分の運を試してみるつもりだ。
ゴール直後のバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)ゴール直後のバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング) photo:Cor.Vos
ステージ3位のバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)

誰もが牽制しあっているときに、残り1kmでバーギルが抜け出した。誰も彼との差を詰めようとしなかった。今日はステージ序盤に調子の良さを感じたのでアタックした。だけど、ステージの終盤には調子が下がっていた。3位でゴールした結果には満足していない。優勝まであとわずかだった。総合上位からは30分ほど遅れてしまったので、逆に自由に動けるし、ステージ優勝を狙っていけるようになった。来週はステージ優勝できそうな手応えを感じている。


ゴールするイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)写真は第9ステージゴールするイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)写真は第9ステージ photo:Cor.Vosステージ4位のイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)

逃げグループのなかで、お互いに躊躇することが何度もあった。このグループの中では有力な選手たちが牽制し過ぎていた。ステージ優勝の選手[バーギル]はプロトンのなかで見かけたことがあったが、あまり注目していなかった。彼はずっと頭を使って走っていた。彼が最適なタイミングを見いだしたとき、ぼくは彼以外の選手をチェックしていた。あのとき……ぼくはノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)が、チェックすべき選手だと思っていた。


脚のケガでブエルタを去ったローレンス・テンダム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)

脚がまったく快復しないため、ブエルタから撤退することになった[訳注:第11ステージの落車によるケガが、第13ステージの序盤の落車で悪化。第12ステージ後の段階で総合17位の成績]。残りの10日間以上、脚を使えそうになかった。自宅に戻って快復に励んで、世界選手権に備えたい。脚のケガが治ってほしい。昨日のステージはなんとか乗り切ったが、今朝の段階でさらに悪化したと感じた。

今後のブエルタのステージには多数の山岳が控えているので、脚を休ませる余地はなかった。ブエルタを去るのは少し残念だ。でも、自転車競技の良いところは、つねに新たな目標を設定できるところだ。世界選手権は自分に最適なコースだ。今から目標をリセットするつもりだ。


※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI


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