数少ないスプリントステージの第12ステージを制したのは、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)。昨年に次いでブエルタのカタルーニャ地方でのステージがシーズン初勝利となった。総合1位はニーバリ(イタリア、アスタナ)が維持した。

ステージ優勝のフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)

(勝利の美酒の味は?) 最高だ! 「やっと勝てた」という言葉に尽きる。今年はずっとハードなトレーニングをしてきたが、今日まで勝てなくて、ずっとイライラしていた。だけど、決してやる気もなくならなかったし、チームメイトたちや友人、家族も信頼してくれていた。

登りスプリントで勝利したフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)登りスプリントで勝利したフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji
チームメイトと抱き合うフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)チームメイトと抱き合うフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsujiずっとプレッシャーを感じていたが、そのプレッシャーも幸せにも思えていて、今日の勝利につながった。昨年もシーズン初勝利は、このカタルーニャ地方だった[訳注:ブエルタ・ア・エスパーニャの第9ステージ]。来シーズンはカタルーニャ一周へ出場することを考えるべきかもしれない[最後に出場したのは2005年]。

シャンパンを開けるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)シャンパンを開けるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji今シーズン初勝利を飾ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)今シーズン初勝利を飾ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji(ブエルタでの優勝と世界チャピオンのどっちを取る?) 世界チャンピオンのジャージを着て勝つほうが良い! 初めての経験だけど、本当に格別の気持ちだ。素晴らしい瞬間だ。

インタビューを受ける世界チャンピオンのフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)インタビューを受ける世界チャンピオンのフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji(最後の直線について) エドヴァルド(ボアッソンハーゲン)は世界最速クラスの選手だ。だから彼に対して状況をコントロールできるとは思わない。ただ、いつも通りに自分のスプリントに集中していただけだ。彼の後ろに付けば有利なことは分かったので、しっかりドラフティングさせてもらった。第7ステージでゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)に僅差で負けたことがまだ気がかりだった。だから、勝つにせよ負けるにせよ、1〜2センチの僅差という状況にはしたくなかった。

(世界選手権への抱負について) 今日の勝利で、たくさんのプレッシャーがかかってくると思う。多くの人々が「また(ジルベールが世界選手権で)優勝する」と口にするのが想像できる。だけど、ぼくだけに余計な期待をかけるべきじゃない。優勝候補者はぼくだけじゃない。

すぐにでも10人くらいの優勝候補者の名前をあげられる。たとえば、ファビアン・カンチェラーラ、ペーター・サガン。そして、アレハンドロ・バルベルデ、ホアキン・ロドリゲス、サムエル・サンチェス、ダニエル・モレーノといった多くのスペイン人選手たちがいる……。ぼくだけが優勝候補者と目される理由がわからない。

(世界チャンピオンジャージが2013年シーズンに与えた影響は?) オーストラリアのツアー・ダウン・アンダーで走ったときに、なにもかもが変わったことを実感した。とくに重要なのは、人々の注目を浴びることだと思う。あらゆることが厳しくなっていく。世界チャンピオンとして、自分の言動に慎重になる必要があった。

(絶好調だった2011年に比べて、この2年は不振続きでは?) この2年は、ずっと最高レベルのレースをしていた。それにBMCへの移籍後には、自分の役割も変わっていた。ほとんどレースには、チームのエースを守るために出場していた。エースのためにアシストする必要があったので、前にロットに所属していたときのようにステージ優勝を狙うチャンスが多く失われてしまった。

2011年は、これまでの自分のキャリアのなかでも絶頂にあったのは事実だ。ただ、高レベルのレースで優勝するのと2位になるのは、わずか2〜3%の差しかない。最高レベルのレースでは、そこにとどまるのさえも簡単ではない。


山岳賞・総合4位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)

マイヨモンターニャを着て登場したクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)マイヨモンターニャを着て登場したクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Kei Tsuji休息日と昨日のタイムトライアルのあいだに、少し身体が重くなったように感じた。それで今日のステージにはしっかり予習して挑んだ。今日は暑かったし、レースのペースも速く、望み通りの展開だった。

今日はタイムを失わずに残ることを優先したステージだった。山岳に備えて、総合成績の順位を維持することに留意していた。コース上にはラウンドバウト(ロータリー)やカーブなどが多く、少し危険だった。チームメイトたちはしっかりサポートしてくれた。ポポ(ヤロスラフ・ポポヴィッチ)やラスティ(グレゴリー・ラスト)、マルケル・イリサールが、ぼくをしっかりケアしてくれた。明日の目標も今日とほとんど同じだ。それから土曜日の山岳ステージに挑みたい。


複合賞・総合2位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)

今日は穏やかな日になるだろうと考えていたけど、風のせいでレースのあいだじゅうずっと注意が必要だった。1日中、集団から少し離れて走ることを選んだ。休息にはならなかったけど、それで良かった。昨日の夕方、タイムトライアルの後は疲れ果てていた。毎日の表彰台のセレモニーもあって、体力も減っていく。慎重に走る必要があるだろう。


真っ先にスタート位置についたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)真っ先にスタート位置についたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) photo:Kei Tsujiステージ2位のエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)

リゴベルト・ウラン(コロンビア)が素晴らしいリードアウトをしてくれた。ちょっとしたプランは決めていたが、それほど厳密なものではなく、ぼくが早めにアタックするという程度のものだった。

それで、力の限りスピードアップをしたが、早めにアタックすることはできなかった。先行しすぎたように見えたかもしれないが、あれは仕掛けるつもりで、それが成功しなかっただけだ。ステージ2位では満足できない。いつでも目標は優勝だ。


スプリントに絡んだルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)は4位にスプリントに絡んだルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)は4位に photo:Kei Tsujiステージ4位のルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)

プリト(ホアキン・ロドリゲス)と話したときに、彼はぼくのためにトライしてくれると言ってくれた。それでスプリント勝負に参加した。今日のスプリントは簡単じゃないし、テクニカルだということもわかっていた。

今日は調子も良く、しっかり走れていた。結果には満足していると言うべきだろう。最後のコーナーでちょっとしたミスをしたのが残念だ。あのミスがなければ、表彰台に立てたかもしれない。でも、あまり気にせず、これからのことを考えて、今後の様子を見ていきたい。


ステージ16位のタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)

良いステージだったけど、最後の1.5kmは思っていたよりもかなりハードだった。非常にテクニカルなコースだったし、登りも予想以上だった。残り1kmのバナーを通過したときには、非常に好位置に付けていた。だけど、ジルベール(のように前に上がっていくだけの脚がもう残っていなかった。調子は良くなってきている。自分に向いているのは、もっと平坦なゴールだ。おそらくブルゴス第17ステージなら……。

独立を訴えるカタルーニャ州旗が振られる中を逃げるセドリック・ピノー(フランス、FDJ.fr)ら独立を訴えるカタルーニャ州旗が振られる中を逃げるセドリック・ピノー(フランス、FDJ.fr)ら photo:Kei Tsuji
スタート直後から残り18kmまで逃げたセドリック・ピノー(フランス、FDJ.fr)

今日の逃げは、スタート段階では考えてはいなかった。休息日とタイムトライアルの後だったので、自分の状態を正確に把握できていなかった。ぼくにとっては今回が2回目のグランツールで[2012年のツール・ド・フランスに出場]、逃げに乗ったのは初めての経験だ。ぼくは先行する2人の選手[訳注:ロメン・ジングル(ベルギー、コフィディス)、ファブリシオ・フェラーリ(ウルグアイ、カハルーラル)]を追ったが、4人目の選手はぼくを追ってこなかった。

(逃げることで)多くの選手たちを動かすことができるのは、とても興味深い体験だった。向かい風のおかげで簡単な逃げではなかった。(逃げているいいだは)ずっとベストな状況になることを祈っていた。沿岸部に入ると横風区間に入ることはわかっていたので、また別の展開になったかもしれない。逃げグループはリードした距離が充分じゃなかったけど、それは後になったから言えることだ。今日のような裏技的な作戦はいつでも実行できる。またトライしたいと思う。


※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI