他を寄せ付けないスピードのヴィーニファンティーニ。マッティア・ポッゾがステージ優勝し総合ポイント賞に。そしてこの日も徹底した集団コントロールのNIPPOが各賞を守り、ジュリアン・アレドンドが個人総合優勝。

各賞ジャージを守る戦いが始まる各賞ジャージを守る戦いが始まる photo:Hideaki TAKAGIツール・ド・熊野最終の第3ステージは和歌山県太地町の太地半島周回コース。市街、平坦、山岳、海沿い、直線、コーナー、荒れた路面、変わる風向、道幅の変化など、ロードレースのすべてが1周10kmに凝縮されると表現される名コース。逃げが決まりやすいがここ数年は集団ゴールが続いている。

焦点はステージ優勝
2周目へ、チームNIPPO・デローザがコントロール2周目へ、チームNIPPO・デローザがコントロール photo:Hideaki TAKAGI
今年の熊野はチームNIPPO・デローザが支配している。部分的には他チームの力も強力だが、ゴールまでまとめる力はNIPPOが格上。第1、第2ステージともにリーダーでなく集団を引く責任はなくとも、強力に牽引してレースをまとめる。他チームは戦術としてゴールだけ奪いに行くことも可能だが、それを阻止する力を持っている。
4周目、KOMを上る4周目、KOMを上る photo:Hideaki TAKAGI
最終ステージの関心はステージ優勝だ。NIPPOの総合力とヴィーニファンティーニのスピードは強力であり、この2チームが持つ個人・山岳・チーム・ポイントの各賞を崩すのは難しい。ステージ優勝を取るスピードならば愛三工業レーシングチーム、シマノレーシング、マトリックスパワータグなど状況次第で対抗できる力を持つ。

6月2日(日)11時10分、ツール・ド・熊野最終ステージがスタート。1周10kmを10周する100kmのレース。途中に山岳ポイントとスプリントポイントが2回ずつあり、特にスプリントポイントはボーナスタイムが3秒2秒1秒とあるので、個人総合などの順位のジャンプアップが可能。ちなみにUCIポイントは各ステージ3位までと、個人総合の8位までに与えられる。
最終周回、ヴィーニファンティーニがペースを上げてスプリントに持ち込む最終周回、ヴィーニファンティーニがペースを上げてスプリントに持ち込む photo:Hideaki TAKAGI
スタートからアタックがかかり、2km過ぎて安原大貴(マトリックスパワータグ)がアタック。これにエリック・シェパード(OCBC)とマート・オハベー(チャンピオンシステム)が合流し3人の逃げに。こののちリーダーのアレドンドが落車し集団は沈静化。NIPPOが早々にメイン集団をコントロールに入る。

先頭の3人はタイム差を次第に広げ1分前後をキープ、最大1分30秒まで開く。逃げ3人のうちシェパードはU23の総合2位。2回のスプリントポイントを1位通過して6秒のボーナスタイムを得て、U23のリーダーになる。メイン集団はNIPPOに加えてヴィーニファンティーニがコントロールに加わる。ステージ優勝をスプリントで狙う意思だ。そして同じく愛三工業も加わる。
優勝は右端のマッティア・ポッゾ(ヴィーニ・ファンティーニ)優勝は右端のマッティア・ポッゾ(ヴィーニ・ファンティーニ) photo:Hideaki TAKAGI
ヴィーニファンティーニがハイペースで牽引

ステージ優勝のマッティア・ポッゾ(ヴィーニ・ファンティーニ)ステージ優勝のマッティア・ポッゾ(ヴィーニ・ファンティーニ) photo:Hideaki TAKAGIラスト3周からメイン集団はペースアップ、ラスト2周に入ってペースがさらに上がり、2人となった逃げ集団を視界に捕らえると伊丹健治(ブリヂストンアンカー)がアタックして2人に合流、3人で逃げる。一時は差が開いたが最終周回に入りKOM地点で吸収される。カウンターでトマス・ラボウ(OCBG)がアタックするがこれも吸収されて集団のままゴールへ。
各賞優勝者が健闘を称える各賞優勝者が健闘を称える photo:Hideaki TAKAGI
ヴィーニファンティーニがハイペースを維持してゴールへ。最終牽引役のポッゾがミケーレ・メルローを発射するがポッゾが先着してステージ優勝。3位にはシモーネ・カンパニャーロ(チームNIPPO・デローザ)が入った。ポイント賞はメルローからポッゾへ移った。
チーム総合表彰チーム総合表彰 photo:Hideaki TAKAGI
アレドンドはNIPPOに加入してから初めての日本国内でのステージレース総合優勝。連戦だったツアー・オブ・ジャパンとともにふたたびNIPPOの強さを知らしめた大会に。日本人選手としては土井雪広(チーム右京)が個人総合5位に。同17位まで外国人選手が占める中、ひとり気を吐いた。第2ステージ、不運な落車でリタイアした西薗良太(チャンピオンシステム)も期待されていたが、西薗は連覇のかかる1週間後の全日本選手権個人TTに集中する。
E1 ゴール 金子大介(ボンシャンス飯田)がゴールを制して総合優勝E1 ゴール 金子大介(ボンシャンス飯田)がゴールを制して総合優勝 photo:Hideaki TAKAGI
結果
第3ステージ 100km 太地半島周回コース
1位 マッティア・ポッゾ(ヴィーニファンティーニ)2時間28分41秒
2位 ミケーレ・メルロー(ヴィーニファンティーニ)
3位 シモーネ・カンパニャーロ(チームNIPPO・デローザ)
4位 平井栄一(ブリヂストンアンカー)
5位 アンソニー・ジャコッポ(ヒューオン・ジェネシス)
6位 ジャン・チャンジェ(チャンピオンシステム)
7位 フォルツナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)
8位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
9位 吉田隼人(シマノレーシング)
10位 マリウス・ヴズィアック(マトリックスパワータグ)

個人総合順位 
1位 ジュリアン・アレドンド(チームNIPPO・デローザ)7時間38分38秒
2位 フォルツナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)+05秒
3位 ネイサン・アール(ヒューオン・ジェネシス)+24秒
4位 シモーネ・カンパニャーロ(チームNIPPO・デローザ)+25秒
5位 土井雪広(チーム右京)+34秒
6位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)+34秒
7位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+34秒
8位 クリスティアーノ・モングッジ(ヴィーニファンティーニ)+35秒
9位 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー)+39秒
10位 ジェイ・クロフォード(ヒューオン・ジェネシス)+44秒

個人総合ポイント賞 
1位 マッティア・ポッゾ(ヴィーニファンティーニ)55点
2位 ミケーレ・メルロー(ヴィーニファンティーニ)53点
3位 カンパニャーロ・シモーネ(チームNIPPO・デローザ)44点

個人総合山岳賞 
1位 ジュリアン・アレドンド(チームNIPPO・デローザ)17点
2位 フォルツナート・バリアーニ(チームNIPPO・デローザ)12点
3位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)5点

U23総合順位 

1位 エリック・シェパード(OCBC)7時間44分16秒
2位 チョイ・キーホー(ホンコンチャイナ)+02秒
3位 オスマン・アディク(チャンピオンシステム)+34秒

チーム総合順位 
1位 チームNIPPO・デローザ 22時間56分40秒
2位 ブリヂストンアンカー +5分04秒
3位 チーム右京 +6分32秒

photo&text:高木秀彰