コンタドール、フルーム、ニーバリらエース級がぶつかり合うバトルが展開されたプラーティ・ディ・ティーボ山頂ゴールの第4ステージ。クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が制した。

美しいナルニの町を出発していくプロトン美しいナルニの町を出発していくプロトン (c)CorVosナルニ〜プラーティ・ディ・ティーボ 173kmで争われたティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ。
この日の山場は2つ。ステージ後半にパッソ・カパネッレ(距離13.8km、平均勾配4.5%)、そして山頂ゴールのプラーティ・ディ・ティーボ(距離14.6km、平均勾配7.1%)へと上り詰める、今大会中の最難関ステージだ。

プロトンをダイナミックな滝が迎えるプロトンをダイナミックな滝が迎える (c)CorVos4日目にしてようやく晴れ。マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ)が出走せず。
スタートフラッグが落とされるとすぐにフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)、アントニー・ルー(フランス、FDJ)、フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)、 トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ)がアタック。集団との差をみるみる広げる。

先頭集団。ウラン、エナオモントーヤ、カタルドのアシストを受けるクリス・フルーム先頭集団。ウラン、エナオモントーヤ、カタルドのアシストを受けるクリス・フルーム (c)CorVosファイッリ(ヴィーニファンティーニ)はフォルカ・アローネの山岳ポイントをトップ通過。30km地点で集団と逃げグループは6分差に。
ステージ後半、パッソ・カパネッレもファイッリがトップ通過し、山岳ジャージへの意欲を見せる。ここではリーダージャージのマーク・カヴェンディッシュが集団から脱落。
パッソ・カパネッレ下ってからラスト14.6kmが勝負どころ、プラーティ・ディ・ティーボへの上りだ。集団はBMCのコントロールによりみるみる差を詰め、1分25秒差で上りに入った。

アタックを掛けるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)アタックを掛けるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) photo:Riccardo Scanferla逃げる4人も分解。マルチンスキー(ヴァカンソレイユ)がひとり先頭を行くなか、次々と遅れ始めた。ラスト9kmからはメイン集団での勝負だ。チームスカイが5人を戦闘に集め、ペースを上げてフルームを援護するなか、ダミアーノ・クネゴ(ランプレ・メリダ)、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)ら有力選手が早々に脱落。

3人のアシストを残すスカイとフルームの後ろで、アルベルト・コンタドール(サクソ・ティンコフ)が睨みを効かせる。ゴールまで6.2km、コンタドールが早めのアタックを開始した。
ゴール1kmまでニーバリ、コンタドール、サンタンブロージオが3人で逃げるゴール1kmまでニーバリ、コンタドール、サンタンブロージオが3人で逃げる (c)CorVosスカイとフルーム、昨年のこの頂上ゴールを制したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)、クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)、マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)らが追走、先頭集団は分解し、みるみる絞られていく。
コンタドールのアタックはチームスカイのアシストたちがペースアップして一度収束。
しかしこの動きに対応できなかったカデル・エヴァンス(BMC)とホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)は15秒ほどおいての第2集団に取り残される。

リゴベルト・ウラン、セルジオルイス・エナオモントーヤのスカイのコロンビア人2人が引くグループで、フルームは落ち着いてペースを刻む。
プラーティ・ディ・ティーボ頂上ゴールに単独で飛び込むクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)プラーティ・ディ・ティーボ頂上ゴールに単独で飛び込むクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) (c)CorVosそしてラスト2.7kmで再びコンタドールのアタックがかかる。しかし絶好調時の爆発力には足りないこのアタックはニーバリ、サンタンブロージオに追いつかれる。
3人の逃げに後方から追いつく数人。スカイがふたり、そしてホーナーと新人賞ジャージのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)。牽制状態に入りかけたその時、ラスト1kmのフラムルージュをくぐった後にフルームが後方から一気に仕掛けた。

フルームは力強いペダリングでピッチを刻み、みるみる差をつける。追いすがるサンタンブロージオに6秒差でゴールに飛び込み、雄叫びを上げるガッツポーズ。
ニーバリは11秒差、コンタドールは11秒差を喫してしまう。
クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード)に続いて15秒遅れの6位でゴールするアルベルト・コンタドール(サクソ・ティンコフ)クリストファー・ホーナー(レディオシャック・レオパード)に続いて15秒遅れの6位でゴールするアルベルト・コンタドール(サクソ・ティンコフ) (c)CorVos4位にはクヴィアトコウスキーが食い込み、フルームに対し4秒差ながら総合リーダーをものにした。マリアアッズーラはチームメイトのマーク・カヴェンディッシュから受け継ぐことになった。

ツール・ド・フランスで見せたような鉄壁のチームワークを披露したチームスカイ。パリ〜ニースでも現在リーダーのリッチー・ポルトをアシスト勢が手厚く守っている。スカイはこの日、今シーズンもステージレースの最強チームであることを証明した。

フルームは言う「チームは素晴らしい働きをしてくれた。彼らは全員で僕が最後の勝負どころまで助けてくれた。おかげで僕は他の誰よりもフレッシュだった。リゴ(ウラン)、セルジオ(エナオモントーヤ)、ダリオ(カタルド)に感謝したい。彼らがこれほどまでにすごい仕事をすると、僕の仕事はずっと楽になる」。



ティレーノ〜アドリアティコ2013第4ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)4h41’31”
2位 マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)+06”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)+11”
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +13”
5位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)+15”
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) +20”
8位 ワウテル・ポエルス(オランダ、ヴァカンソレイユ)+43”
9位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)+58”

個人総合成績
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) 16h04’59”
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)+04”
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)+16”
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)+30”
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)+33”
6位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)+40”
7位 マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
8位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)+1’04”
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ) +1’16”
10位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

山岳賞
フランチェスコ・ファイッリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)

ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)

text:Makoto.AYANO
photo:Riccardo Scanferla、CorVos