GTのXCレーシングバイクとして幾多の勝利を挙げてきたザスカーシリーズ。今回のインプレッションでは、数ある車種の中から26インチホイールを装備したフルサスペンションカーボンモデル、ザスカー100 HANS REYをピックアップ。その性能と魅力に迫っていく。

GT ZASKAR 100 HANS REYGT ZASKAR 100 HANS REY (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp

1979年にカリフォルニア州で設立されたGTバイシクルズ。創始者はゲイリー・ターナー(GTは彼のイニシャルから)。管楽器の修理工を生業とし、高度な溶接技術を持っていたゲイリー氏が息子にBMXのフレームを制作したことに端を発するピュアアメリカンブランドだ。

すぐさまGTの代名詞とも言える「トリプルトライアングル」形状のMTBを発表すると、その後もBMX/MTBを中心に新素材を投入したニューモデルを世に送り出し一気に知名度を拡大。2009年には量産モデルとして初のフルカーボンDHマシンを登場させた。

ホイールはクランクブラザース Cobalt 2 26を採用するホイールはクランクブラザース Cobalt 2 26を採用する チェーンステー裏側に入れられるレターの数々チェーンステー裏側に入れられるレターの数々 タイヤクリアランスを見る。試乗車のタイヤサイズは26×2.35だ。タイヤクリアランスを見る。試乗車のタイヤサイズは26×2.35だ。


さて、豊富なラインナップを誇るGTのMTBラインナップにおいて、クロスカントリー用レーシングフレームとして位置づけられるのがザスカーシリーズ。今回のテストバイクである26インチの「ザスカー100」は、「マラソンカーボン」を最後に途絶えていたフルサスXCレーサーにザスカーの名を冠し、2012年に復活させたモデルだ。

ザスカー100の特徴は、GTが誇るi-DRIVEサスペンションテクノロジーが投入されていること。一般的なフルサスバイクに対してI-DRIVEはピボット位置を高く設定し、衝撃を受けたリアホイールを垂直では無く、斜め後方へと受け流すことで失速を防ぐ機能を持つ。

ハンス・No Way・レイとの契約25周年を祝うスペシャルペイントハンス・No Way・レイとの契約25周年を祝うスペシャルペイント ステムやハンドルなどはクランクブラザース製で統一されるステムやハンドルなどはクランクブラザース製で統一される


リアブレーキホースはダウンチューブ中を通るルーティングリアブレーキホースはダウンチューブ中を通るルーティング フロントディレイラーの取り付け方法を見るフロントディレイラーの取り付け方法を見る


しかし、リアホイールが後方へと動くことでチェーンが引っ張られる「キックバック」というハイピボットのデメリットも存在する。これに対してはBBをフレームから独立させ、どんな動きの最中でもBBからリアハブの距離を一定に保つことで解決。また微量のキックバックは残すことでチェーンテンションをかけ続け、素早い反応性を生み出している。

ペダリングの度にサスペンションが動きロスになる「ボビング」に対しては、BBをフロント三角ではなく、リアセクションへとフロートさせて接続、フロント部分とは「ドッグボーン」と呼ばれるカーボン製アームを介して繋ぎ、ロスの発生を極力抑制することに成功した。またシングルピボット式のため、メンテナンス性が非常に高いことも特徴の一つと言える。

フレームに組み込まれた100mmトレイルのリアサスユニットフレームに組み込まれた100mmトレイルのリアサスユニット ザスカー100のメインと言うべきi-DRIVEサスペンションテクノロジーザスカー100のメインと言うべきi-DRIVEサスペンションテクノロジー


フレーム素材として採用されるカーボンは三菱レイヨン製で、解析プログラムによって導き出された数値によって各部で積層を変化させる独自システム「FOC」に則って形作られる。重量も26インチフルサスとしては軽量に仕上げられている。

今回のテストバイクである「ZASKAR 100 HANS REY」は、GTがスポンサードするドイツ人ライダーハンス・レイとの契約25周年を祝って作られたスペシャルモデルの完成車。コンポーネントはデオーレXT、ホイールはクランクブラザースのコバルト、サスペンションユニットはFOX。フレームやパーツは全て高級感漂うホワイト×ゴールドに彩られ、存在感の際立つモデルとなっている。また売上の一部はハンス・レイらが運営し、世界中の貧しい地域に自転車を届ける「WHEELS 4LIFE」に寄付される。

シンプルな形状のリアセクション。ゴールドのロゴが映えるシンプルな形状のリアセクション。ゴールドのロゴが映える 26×2.35サイズのタイヤは下り性能をより引き立てる26×2.35サイズのタイヤは下り性能をより引き立てる


滑らかなフレームデザインにGTが誇るテクノロジーを多数投入したXCレーシングモデル、ザスカー100 HANS REY。その走りはいかなるものだろうか。早速インプレッションをお届けしよう。なおテストバイクは通常のシートポストだが、市販品はクランクブラザースの125mm調整ユニット付き可変ポストが装備される。




―インプレッション

「里山以上DH未満。とにかく下りが楽しいバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

「里山以上DH未満のフィールドが最高。とにかく下りが楽しいバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)「里山以上DH未満のフィールドが最高。とにかく下りが楽しいバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 「26インチフルサスバイク」という括り以上の個性やタレント性を第一印象として感じたバイクです。フロント120mm、リア100mmという前後サスペンションのトラベル量からも分かる通り、XCバイクの中でもややDHバイク寄りの性格があると思います。

独立させたBBシステムなどはGTオリジナルのかなり奇抜な形状ですが、バイク全体としてのバランス感は良く、どこにも剛性不足やシステム上の不安はありません。この辺りは長年ダウンヒル系のMTBを作っているGTらしさの現れている部分と言えるところ。

下りでは非常にバイクの挙動が安定していて、大きなギャップも破綻すること無くスムーズに飛び越える事ができます。26インチホイールですが走破性が高く、テクニック次第で荒地でもハイアベレージをキープしたまま楽しく下りを抜けることができるはずです。

リアサスとして採用されているのはFox RacingのShox Float CTDですが、XC、トレイル、DHと3種類のモードに切り替えることが可能で、より走りのフィールドを広げてくれるアイテムと言えるでしょう。実際に使ってみると、上りは速く、下りはより楽しむことができますね。フレームとの相性も良く、DHモードで上ってみても、フカフカ感をリンクによって抑えこもうとしているのが分かります。

3つのモードがチョイスできるFox Racing Shox Float CTD3つのモードがチョイスできるFox Racing Shox Float CTD 上れない訳ではありませんが、高重心のため低速での挙動が少し悪いのと、ヘッド角度が寝ているため上りでは少しダルさを感じました。しかしそれを打ち消すほど下りが楽しく、コースから外れてわざわざ大きなギャップを通過したくなってしまうほどでした。

そういった性格のバイクですので、概ねXCの範疇ながら、「里山以上、ダウンヒル以下」こそ最高のパフォーマンスを引き出せるシチュエーションと言えるでしょう。

記念モデルとしてのハンス・レイ氏のネームや各部のグラフィックも非常に凝っていて、カタログの写真以上に実物は非常にカッコ良いですね。ゴールドパーツもきらびやかで、イベントなどでの目立ち度もバッチリなプレミアム感があります。クロカンレースのポディウムを目指すより、走りの楽しさを感じるのに最適な一台です。

GT ZASKAR 100 HANS REYGT ZASKAR 100 HANS REY (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp


GT ZASKAR 100 HANS REY
サイズ:XS(370)、S(420)、M(457)
カラー:パールホワイト
フレーム:Force Optimized Construction Ultra Carbon 100mm Travel Independent Drivetrain
リアショック:Fox Racing Shox Float CTD Adjust BV Kashima 6.5"×1.5"
フォーク:Fox Racing Shox 32 Float 26 CTD Adjust FIT Kashima 120mmトラベル
ギア数:3×10
コンポーネント:シマノ Deore XT
チェーン:KMC X10 SL Ti
ホイール:クランクブラザース Cobalt 2 26"
ステム:クランクブラザース Iodine 2
ハンドル:クランクブラザース Cobalt 2 Riser
シートピラー:クランクブラザース 125mm 調節可能/リモート付 31.6mm
重 量:12.4kg(完成車)
価 格:567,000円(税込)




インプレライダーのプロフィール

戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。
OVER-DOバイカーズサポート


text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano

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