チームを支える頼もしい裏方たち

ホテルの横にチームバスが到着。レースは終わったが、まだメカニック達の闘いは終わらないホテルの横にチームバスが到着。レースは終わったが、まだメカニック達の闘いは終わらない photo:Kei.Tsuji
Tシャツを脱いで作業するメカニック。この日は季節外れの猛暑に見舞われ、選手達も口々にその辛さをこぼしていたのが印象的だったTシャツを脱いで作業するメカニック。この日は季節外れの猛暑に見舞われ、選手達も口々にその辛さをこぼしていたのが印象的だった photo:Kei.Tsuji「雨より晴れの方が仕事が少なくていいけど、これはちょっと暑すぎるな」。リクイガスチームに帯同するメカニックの一人、マッテーオが「これは参った」という表情で話してくれた。質問に答えている間も手は止まることなく高速で動き続けている。チームバンの影で作業しているとはいえ、あまりの暑さに額から汗がこぼれ落ちる。

監督、メカニック、マッサージャー、広報、etc...。3週間のステージレースに帯同するチームスタッフは毎日多忙だ。選手が万全の体制でレースに挑めるよう、見えない舞台裏で毎日奮闘している。

毎朝7時30分から仕事を始めるというメカニック。闘いを終え、汚れ、疲れ果てたバイクを一台一台丹念に洗い、注油し、そして磨き上げる。その手順は実にテキパキとしていて、次々とピカピカのバイクがスタンドに立てかけられていく様は見ていて気持ちがいい。

ホイールも一本一本磨き上げ、タイヤには何か突起物が刺さっていないか指と目で入念にチェックする。もちろんメカニカルな部分の調整も毎日欠かさない。特にディレイラーとブレーキの調整には細心の注意を払い、かなりの時間を費やしていた。

一日に洗浄&調整するバイクは、スペアを含めて20台を超えるという。バイクの調整と並行して、休息日にはチームバスやバン、チームカーも同様に洗車。関係車両は常に清潔に保たれている。車内までしっかりと掃除機をかけていた。

細かな隙間にもジェットノズルから水を浴びせる。メカに挟まるほんのわずかな砂利でも思わぬトラブルを引き起こしかねないからだ細かな隙間にもジェットノズルから水を浴びせる。メカに挟まるほんのわずかな砂利でも思わぬトラブルを引き起こしかねないからだ 休む間もなく、次から次へと作業をこなしていく。ここはメカニック達にとってのもう1つの戦場だ休む間もなく、次から次へと作業をこなしていく。ここはメカニック達にとってのもう1つの戦場だ photo:Kei.Tsuji

こうして選手がスタート地点のチームバスから降りてくる頃には、闘いに備えた万全のバイクがバスに立てかけられている。スタート地点で選手たちを見送ったあとも、メカニックは選手のマシンにトラブルが無いか気が気でないという。トラブルが発生した場合には、メカニックは真っ先にチームカーから飛び出して選手のもとに向かう。スペアバイクやホイールも、常に万全の状態で用意しておかなければならない。

レース前、静かに決戦を待つニュースーパーシックスHi-Modレース前、静かに決戦を待つニュースーパーシックスHi-Mod photo:Kei.Tsuji
メカニックの終業時間はその日のゴール時間によるが、おおむね21時30分。休息日も選手たちがトレーニングライドに出かけるため、朝早くから働きっぱなし。イタリア人のイメージを覆す熱心な働きぶりには頭が下がる。こうしたメカニックの努力が、選手たちの活躍を脚元から支えているのだ。

メカニックが語るバイクの印象

次世代のレーサー、それともメカニック?見学に来た少年が彼らの職人技を身動き1つせずじっと見守る次世代のレーサー、それともメカニック?見学に来た少年が彼らの職人技を身動き1つせずじっと見守る メカニックのマッテーオに、選手たちがニュースーパーシックスにどういう印象をもっているのか聞いてみた。日々選手と接し、機材について意見を交わすメカニックは選手やバイクの特性を知り尽くしている。 「選手たちはこのバイクにとても満足している。これはコマーシャルじゃなくて本当の選手の意見だからしっかり書いていいぞ(笑)」。そう言われたのでそのまま書かせてもらおう。

「下りでの軽快感、そして上りでの軽快感。ニュースーパーシックスはこの両方がバランスよく組み合わさっているようだ。特に下りでのハンドリングは秀逸のようで、コーナリングに太鼓判を押す選手が多い。バイクによっては下りを怖がる選手もいるから、これは大きなアドバンテージだ」。

「フレームの剛性も必要十分。例えばダニエーレ(ベンナーティ)のパワーも受け止めてくれる。ハイパワーの彼らが言うんだから、一般サイクリストには全く問題ないと思うよ。フレームに関して不満をぶつけてくる選手はいない」と、機材を扱うプロとしてもスーパーシックスに信頼を置いている様子だった。

ちょうど休息日のトレーニングライドに出かけるフランコ・ペッリツォッティ(イタリア)がホテルから出てきたので、時間が無いと言われながらもコメントをもらう。
「上りでの乗り味が好きだよ。前のモデルと比べてレスポンスも上がったし、それでいて快適だから長いステージでも疲れにくいんだ」。
快適性は3週間の長いステージレースでは非常に重要なポイント。そしてなんとペッリツォッティは翌日の難関山岳ブロックハウス頂上ゴールで見事な独走勝利を収めた。ニュースーパーシックスの記念すべきグランツール1勝目だ。

ニュースーパーシックスHi-Modを駆り、ジロ・デ・イタリア2009第17ステージを制したフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)ニュースーパーシックスHi-Modを駆り、ジロ・デ・イタリア2009第17ステージを制したフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) photo:Kei.Tsuji
選手の脚質によってモデルを使い分けるメーカーがある中、キャノンデールはニュースーパーシックス一辺倒。パリ〜ルーベのようなパヴェレースでも、怯むことなく悪路に突っ込める安心感がそこにある。リクイガスチームはそんなオールマイティーなバイクを駆り、日々世界の頂点を舞台に闘っているのだ。

ニュースーパーシックスHi-Modを北イタリアでテストライド Vol.2 バッソが語るニュースーパーシックスの魅力
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