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異なるレベルの市民ライダー3人がインプレッション

成毛 千尋(なるけ ちひろ)
実業団TRチーム、オーベストディープラスデザイン所属の21歳。自転車競技をはじめて2年半で、08年実業団飯田BR-2において3位になるなど伸び盛りの大学生。09ツール・ド・おきなわ市民200kmでは見事4位に。群馬CSCなどの高速コースが得意なスピードマン。愛車はタイム・VXRS。
小島 卓也(こじま たくや)
46歳の会社員。3UP所属。4年前から本格的にロードバイクを始める。現在はJCRCなどを中心に走るホビーレーサー。今年は初めてツール・ド・おきなわの市民200kmクラスにエントリーし、完走をめざす。得意なレースは上りよりも平坦の高速系。愛車はルック・555。来期の愛車購入を検討中。
山口 泰作(やまぐち たいさく)
バイシクルミツイキ所属の37歳。ダイエット目的でロードバイクに乗り始め約20kgの減量に成功! 普段はクランブランを中心に、ヒルクライムやロングライドイベントなどに参加するファンライダー。急勾配の上りよりもアップダウンの少ないコースを軽快に走る方が好み。現在の愛車はBH・G4。

リドレー ダモクレス

スピード域の高いレースで使いたい

成毛千尋さん
今日乗ったリドレーで最も気に入りました。直進で踏み込んだときに伸びます。アタックした時に足元から力が伝わる感覚が強いですね。僕はガツガツと重いギヤを踏む方なので、剛性が高いこのバイクはそういう脚質に向くと思います。群馬CSCみたいな高速コースで、高速域からさらにアタックをかける場面などはとても効果的ですね。ブレーキ性能は、ジワッと制動を発揮する感じでとてもコントロールがしやすい。乗り心地は極端な高剛性感がなく、扱い易い剛性感でいいですね。弱点となることはなく、路面情報は確実に伝えてくれるので安心できます。どんな乗り方にも対応できる1台ですが、ロードレースで使うのが最もいいですね。

リドレー ダモクレスリドレー ダモクレス Photo: Makoto Ayano

推進力が高くヒルクライムにも使ってみたい

小島卓也さん
今回乗ったバイクの中で、カーボンフレームらしいパリッとした軽い乗り味が一番あるように感じました。フレームの剛性が高くて、どの速度域でもペダルを踏んだ時にバイクが前に出る感覚が最も強いですね。その代わり、振動吸収性が高いとは思いませんでした。しかしメインフレームの剛性感に対してフロントフォークは振動吸収性に優れた印象で、ブレーキをかけるとブレードの先端が積極的にしなります。ですからフォークで振動を吸収してくれて、ハンドリングはややおとなしめの扱い易い印象です。低速からトルクをかけた時まで軽い感覚でバイクが進むので、ヒルクライムなどで使うのもいいと思いました。

ヘッドチューブをシフトワイヤが貫通する合理的なデザインヘッドチューブをシフトワイヤが貫通する合理的なデザイン このデザイン手法はリドレーが先鞭をつけたもの。アウターワイヤによってヘッドチューブにキズが付かない仕様はユーザーにとってありがたい仕様だ。

性能のバランスがよく安心して乗れる

山口泰作さん
高剛性バイクのBH G5の後に乗ったせいもあるのですが、低速からの加速性よりは、その後の高速域に達してからも、踏めばバイクがグワッと進む印象を受けました。乗り心地もよくて、嫌な突き上げ感は十分消してくれると思います。下りのコーナーも安定して入って行けるので安心感がありました。全体的にバイクのキャラクターが薄いと感じたのですが、それはある1つの性能を特化させるというより、いろいろな要素が平均化されているせいかもしれません。なので非常に乗りやすいバイクでした。タイプ的にはヒルクライムを走るというよりは、アップダウンの少ない平坦路を高速で走るのが気持ちいいと思います。

チェーンステーチェーンステー 中間に絞りを入れて剛性を高めるセオリー通りのスタイル。しかしチューブ断面は、BBから3分目のあたりから三角形になっているリドレースタイルで、剛性のバランスが整えられる。 アルミ削り出しで高級感あふれるリヤアンドアルミ削り出しで高級感あふれるリヤアンド インプレライダーにも好評。シートステーにボルト止めされる2ピースタイプなので、落車における破損でも交換が容易にできるのもうれしい。

リドレー エクスカリバー

リドレー エクスカリバーリドレー エクスカリバー Photo: Makoto Ayano

イメージ通りの加速で走るのが楽しい

山口泰作さん
フレーム剛性が高いせいか、踏み出しも軽くて、ペダルを踏むと自分がイメージする感覚に近い加速が体験できました。なので、「自分が乗れている感」が強く、走るのが楽しいバイクでした。乗り心地については絨毯の上を走るような感じと言ったら大げさですけれど、嫌な微振動はしっかりカットしてくれ、今日乗った全てのバイクの中でもレベルは高い方にあると感じました。ただし、ハンドリングは下りのコーナーでもう少しクイックに曲がってくれる感じがあるとレースでは扱いやすいかな、と思いました。ですがレースからロングライドまで広く適した1台だと思います。

性能のバランスがよくて長距離ライドに最適

小島卓也さん
パリッとした乗り味はダモクレスに及びませんが、十分にカーボンらしい軽い走りが体験できました。加速感もほどほどで、必要にして十分ですね。フォークやヘッド部の剛性も十分で、安心してコーナーを曲がることができます。全体的な印象としては、何かを突出させた性能というより、安定感とクイックさがうまくバランスされていて、とても乗りやすいバイクです。自分が乗っている自転車(ルック555)と同じような味付けだな、と思いました。乗り心地の良さも十分なので、グランフォンドや長距離ライドにもいいと思います。シンプルな見た目もいいですね。

すべてがオールラウンドにこなせる1台

成毛千尋さん
直進安定性の高いバイクで、これはリドレー全体に言えることだと思います。何かの性能に特化するというより、すべてがオールラウンドにこなせるモデルだと感じました。剛性は高い方で、乗り心地はダモクレスよりも路面からの振動を伝えますが、嫌な感じはありませんでした。扱いやすいバイクなので長距離でもストレスが少ないと思います。気になったのはハンドリングです。高速の下りコーナーでアンダーを出す感覚を受けたので、そういう意味ではコーナーをガンガン攻める必要があるレースより、ロングライドの方がより適しているかもしれません。

フレーム素材はハイモジュラスの30tカーボンフレーム素材はハイモジュラスの30tカーボン チェーンステーとダウンチューブはBBシェル目一杯の幅で接合され、ハンガー部分のウイップが抑制される。Fメカの固定は付属のバンドで行なう。 シートステーシートステー 横方向に扁平加工が施されているが、流行の薄型シートステーに比べると厚みは大きく確保されている。ブレーキブリッヂもボリューム感ある形状で、高い制動力が確保される。 チェーンステーチェーンステー BB近くが縦方向に扁平加工を施し、リヤエンドに向かって徐々に丸形になる形状。外径は太く、内側に強く絞り込んだデザインとすることで後三角のねじれ剛性を高める。

リドレー コンパクト

リドレー コンパクトリドレー コンパクト Photo: Makoto Ayano

アルミにしては乗り味がマイルド

小島卓也さん
アルミフレームはもっと固いと想像していたので、思ったよりもしなやかで、それが少し推進力をロスするようにも感じました。フレーム剛性が高すぎない分、乗り心地はアルミフレームとしてはいいレベルにあると思います。入門者向なので乗りやすさを出していると思います。ヘッドチューブはレーシングモデルと同じ長さなので、ターゲットユーザーを考えるともう少し長い方がラクなポジションを確保しやすいかな。あと、フォークはもう少し剛性がある方がハードブレーキングでの安心感は増しますね。ハイドロフォーミングのフレームは格好いいし、入門者が買って損はないですね。

アルミフレームらしいシャキッとした乗り味

成毛千尋
アルミフレームらしいシャキッとした走りで、ペダルに入力した分ロスすることなくパワー伝達されている感覚があります。加速側におけるストレスはないですね。フォークにもう少し剛性があると、下りで自分が思い描いたラインをトレースができると思います。アルミフレームなので乗り心地はカーボンと比べると落ちますが、価格を考えれば十分納得の範囲だと思います。装着されたホイールのレベルを考えると上りも軽い。基本性能はレースでも十分使えるレベルで、サイクリングでもよくて用途を限定するようなバイクではないですね。費用対効果で考えるといいバイクだと思います。

サドルはリドレーのオリジナルブランド「4ZA」のモデルを装備サドルはリドレーのオリジナルブランド「4ZA」のモデルを装備 パッド量が多めでサドル後部の座面も広い設計。どっしりとお尻を落ち着けることができ、快適性に優れるので初心者向きだ。

想像以上に踏み出しが軽くて、乗り心地もいい

山口泰作さん
アルミに対する先入観と、実際に自転車を持つとカーボンよりも重いので当初マイナスイメージが先行していました。でも、乗ってみると想像以上に踏み出しが軽い。振動吸収性も良くて、以前乗っていたアルミフレームよりも優れていました。急なコーナリングではもう少し曲がってくれる感じがある方がいいと思いますが、アールの大きなコーナーはスムーズに曲がれます。上りは車重を感じるので軽快感は薄いのですが、平坦路では一度スピードに乗ると速度が落ちず巡航しやすいと感じました。見た目はアルミフレームを感じさせない形で格好いいし、値段を考えるとお買い得だと思います。

コンポーネントはシマノ・105コンポーネントはシマノ・105 ブラック仕上げのパーツがフレームの精悍さをより引き立てる。ハンドルバーにはFSA製のコンパクトドロップタイプを装備し、入門者でも扱いやすい仕様。(ティアグラ仕様もあり) エッジチュービングエッジチュービング 上面に三角形の底辺を位置するようにヘッドチューブに接合される。これにより、ヘッド部のねじれ剛性を高め、加速や高速のコーナリングなど、大きなトルクに対応する。

提供:JPスポーツグループ 企画/制作:シクロワイアード