スペシャライズド3車種乗り比べインプレッション 総括

―今回はスペシャライズドの3モデル、それぞれのトップモデルに乗っていただきました。それぞれの印象を改めて聞かせください。

井上:3台が3台ともに、スペシャライズドらしさが根底にありつつ、全く別の方向へとキャラクターを作り分けているというのは素直に凄いと感じます。とはいっても、やはり「レーサー」という枠組みがありますので、やはりある程度はキャラが重なってくる部分もありますね。特に、Tarmacは非常に広いシチュエーションをカバーできるだけの性能をもっていました。

小川:Tarmacに関しては、「オールラウンダー」と呼ぶことがこれ以上しっくりくるバイクというのは他にないのではないかと思わせるだけの高性能ぶりを発揮していましたね。そのコンセプトが一番明確に体感できるバイクです。一方、Roubaixに関しては「エンデュランスバイク」という方向性はしっかりとしているのですが、Tarmacの進化に少し立ち位置を脅かされているようにも感じました。そしてVenge ViASは、前作とは全く別のモデルとしてかなり先鋭化されていますね。

「どのバイクもスペシャライズドらしさがありながら、独特の世界を持っている」「どのバイクもスペシャライズドらしさがありながら、独特の世界を持っている」
井上:3つのモデルは同時に発表された訳ではないですし、世代間の違いもあります。特にRoubaixは一番設計年度が古いバイクです。「ライダーファースト・エンジニアード」を取り入れ、大きく舵を切ったTarmac、そしてVenge ViASと並べてしまうと、発展の余地を感じましたね。この先、新世代のRoubaixがデビューした時に、この世代の3モデルのラインアップが完成形となるのでしょう。

―Roubaixの立ち位置をTarmacが脅かしている?

小川:これまで剛性一辺倒であったTarmacが、間口が広くなじみやすい乗り味になったことで、それまでRoubaixの領分だったところまでカバーできるようになったということですね。同じSL4世代で比べれば、Roubaixの快適性がより際立つ結果になっていたと思います。ですので、Roubaixの新作は期待大ですね。どうやってTarmacとの差別化を図っていくのか、今から興味が尽きません。

あらゆる方向性で進化を遂げ、悪路の走破性までも身につけた新型Tarmacあらゆる方向性で進化を遂げ、悪路の走破性までも身につけた新型Tarmac 一方、絶対的なスタビリティがRoubaixのアドバンテージ一方、絶対的なスタビリティがRoubaixのアドバンテージ
「旧中山道を走るロングツーリングを走り切ることができたのは、一重にRoubaixのおかげ」「旧中山道を走るロングツーリングを走り切ることができたのは、一重にRoubaixのおかげ」

井上:正直、意外なほどにTarmacが悪路でも良く走ってくれたので、Roubaixの得意分野が一つ喰われてしまったようには感じましたね。ですが、Roubaixのアドバンテージが完全に失われたのかというと、そんなことは全くありません。Tarmacの乗り心地がいくら優しくなったといっても、ロングライド後に身体に残るダメージや疲労感は、Roubaixに乗った時の方が確実に少ないのです。ラフなダートを含む旧中山道を毎日走るというロングツーリングにチャレンジしたときに、「Roubaixであればこそ、疲労を残さず、毎日走り続けることができた」と思っています。

小川:そう、RoubaixはRoubaixの良さがあります。Tarmacのインプレッションでも少し触れましたが、同じロングライドでも、自転車で走ること自体を愉しむのであればTarmacがオススメです。でも、景色を楽しんだり、行く先々で美味しそうなお店を探しながらサイクリングするようなライドであれば、Roubaixが持つスタビリティが効いてくるでしょうね。走ることに集中していなくても、バイク自身が真っ直ぐ進んでくれるので、精神的、肉体的な余裕が生まれるんです。実際、僕もショップのお客さんをアテンドするようなライドの時は必ずRoubaixをチョイスしています。

―なるほど、新型Tarmacが出たことで他のモデルのスタンスにも変化があるということですね。では、Tarmacの次に発表されたVenge ViASについてはいかがでしょうか?

圧倒的な「スペシャライズド」S-Works Venge ViAS圧倒的な「スペシャライズド」S-Works Venge ViAS 「常識を覆すようなカタチで見る人に強烈な印象を与えてくれる」「常識を覆すようなカタチで見る人に強烈な印象を与えてくれる」 井上:新型Tarmacが出た影響というのは大きいですね。もしロードバイクを一台だけ持つのであれば、Tarmacです。でも、複数台を持てる人であれば、RoubaixもVenge ViASもそれぞれの良さがあって、絶対に後悔はしないだけの性能をもっていますし、それぞれのバイクでしか味わえない世界が確実にあります。Tarmacとはまた違う世界を、エアロロードという視座からより深く体験させてくれるのがVenge ViASです。

小川:実際、S-Worksレベルのバイクを購入する人は、バイクを何台か持っている人が多いですし。特にVenge ViASは、たとえTarmacを持っていても、「乗ってみたい、所有したい」と思わせてくれるだけのキャラクターと性能、そしてプロダクツとして圧倒的なオーラを持っていますね。

井上:Venge ViASは、スペシャライズドの技術力や開発力を見せつけるという意味も大きいでしょうね。コイツは、見ただけでライバルたちに畏敬の念を感じさせるような、スーパーバイクだと思います。例えるなら、ステルス戦闘機や、SR-71ブラックバードのような、常識を覆すようなカタチで見る人に強烈な印象を与えてくれます。Venge ViASという存在は、他のブランドに対してのプレッシャーでしょうし、レースであれば、他の選手たちに対して心理的優位に立つことができるかもしれない。それだけのインパクトがあるバイクです。

小川:そういったスペシャルバイクって、昔はもっとあったと思うんですよね。特にTTバイクの分野では、ロータスをはじめとしたスーパーバイクが沢山あった。でも、UCIによって一定の枠が嵌められてしまって、その時代ほどのオーラを持つバイクはほとんど消えてしまった。現代において、当時のスペシャルバイクのスピリットを最も色濃く受け継いだ一台だといえるのではないでしょうか。

「Tarmac、Roubaix、Venge ViAS。三車三様に良さがある」「Tarmac、Roubaix、Venge ViAS。三車三様に良さがある」
井上:それだけの尖ったバイクとしてVenge ViASをデビューさせることが出来たのは、大きく進化したTarmacがあればこそ。どんなシチュエーションでも決して破綻しないオールラウンダーがラインアップの中核にあるからこそ、他のバイクが一つの方向に深化することができるんですよね。新しいRoubaixも、きっと僕たちを「アッ!」と驚かせてくれる一台になるのではないでしょうか。

提供:スペシャライズド・ジャパン、制作:シクロワイアード編集部