フラッグシップモデルと共通のフォルム コストパフォーマンスに優れるAR4、AR5

アルテグラを搭載した完成車 フェルト AR4アルテグラを搭載した完成車 フェルト AR4
フェルトが5年ぶりにモデルチェンジした新型ARシリーズ。同社がフル投入したテクノロジーはVol.1でお伝えしたとおり。2014年モデルでフルモデルチェンジを図ったARシリーズのラインナップは、TeXtremeカーボンを使用したフラッグシップ「FRD」を筆頭とした4種類のカーボンモデル(完成車パッケージでは3種類)と、アルミフレーム1種類という計4モデル。

そこに位置するミドルグレード完成車が、AR4とAR5だ。共にフレームは共通であり、コンポーネントやホイール、その他パーツ類のアッセンブルによって差異が付けられている。

ボリューム感に溢れるヘッド周りの造形ボリューム感に溢れるヘッド周りの造形
AR4とAR5は共に電動/機械式に両対応する。AR4とAR5は共に電動/機械式に両対応する。
縦に薄く、幅広いフロントフォーク。クラウンのボリュームを増すことで剛性を強化している縦に薄く、幅広いフロントフォーク。クラウンのボリュームを増すことで剛性を強化している

フレームの形状や工法はハイエンドモデルである「AR FRD」からそのままに、素材に3/2.5チタンの7.9倍の強さを持ち、6061アルミの3.34倍の剛性を持つ「UHC PERFORMANCE」カーボンを採用しコストパフォーマンスを高めている。AR2のフォークにはフレームよりもグレードの高いカーボンが使われているが、この2モデルはフォークもUHC PERFORMANCEカーボン製である。

また、上位モデルとの違いとして、AR4とAR5はワイヤー受けをフレームに設け、電動/機械式コンポーネントに両対応していることが挙げられる。機械式コンポーネントの場合はシフトワイヤーはダウンチューブのヘッド寄りからフレームに内蔵される。

AR5は105を搭載した完成車。コストパフォーマンスに優れるAR5は105を搭載した完成車。コストパフォーマンスに優れる
パーツアッセンブルはAR4が機械式のシマノ アルテグラと同WH-RS31ホイールの組み合わせで358,000円(税抜)、AR5がシマノ105とフェルトのオリジナルホイールの組み合わせで268,000円(税抜)と、同レベルのライバルモデルと比較してもコストパフォーマンスは高いと言えるだろう。車重はいずれも8kgフラットである。

インプレッション

「市場にあるエアロロードの中で、高いコスパが魅力的」
宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)

見た目のフォルム通り高速巡航性能に長けているエアロロードバイクでした。高い速度からダッシュをしても伸びがよく、35〜40km/h以上というハイスピード域でこそ、その魅力を味わうことができました。一見したところ横風に煽られそうなフレーム形状ですが、一般的なエアロバイクにありがちな、風を受けた時の浮遊感は感じません。

「市場にあるエアロロードの中で、高いコスパが魅力的」宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)「市場にあるエアロロードの中で、高いコスパが魅力的」宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)
フレームに突き上げを直接伝えるような硬さは無く、巡航時にはスムーズな走りでスピードを維持してくれますね。BB周りも比較的ソフトな感触ですから、ハイパワーで踏みこむ際にはやや前に進む感触に乏しいものの、綺麗なペダリングをした際には良い反応を示してくれます。

通じて快適性に関しても標準的で、エアロロードにありがちな疲れは少ないはず。衝撃が丸みを帯びて伝わってくるため、ワイドなタイヤを組み合わせれば、より柔軟な乗り心地を演出できるはずですね。

ハンドリングは基本的には直進志向であり、素直な反応です。ただ下りでは少し挙動がクイックで切れ込んでくる性格があるようです。ただし慣れの範疇ですし、旋回体勢に入った後はフォークが粘るためうまくコーナリングできますね。

完成車パッケージはAR4がアルテグラで、AR5が105というアッセンブル。やはりシフト・ブレーキともにルーティングがやや窮屈ですから、ポリマーコーティングされたアルテグラのケーブルの方がストレスがありません。いずれも市場にあるエアロロードバイクの中では高いコストパフォーマンスを有していると言えるでしょう。

反転させることで前乗りのポジションが出せるシートポストも、トライアスロン兼用という意味では高く評価したい部分です。フレームが共通ですから、どちらを選ぶかは予算次第。一台でロードとトライアスロンに出場できるのは、やはりホビーライダーにとっては嬉しいですね。


「単独逃げ切りを狙える、高速巡航に特化した性能」
澤村健太郎(Nicole EuroCycle 駒沢)

40km/h以上からのスピードの乗りが非常に優秀で、高速巡航に光る性能を感じます。単独逃げで勝利を狙う方、純粋にスピードを求める方にベストなバイクでしょう。

「単独逃げ切りを狙える、高速巡航に特化した性能を持つ」澤村健太郎(Nicole EuroCycle 駒沢)「単独逃げ切りを狙える、高速巡航に特化した性能を持つ」澤村健太郎(Nicole EuroCycle 駒沢) エアロロード然としたルックスが目立ちますが、やはり平地の巡航性が抜群に優れていますね。フレームの空力が非常に良いため斜めや横風の影響も少なく、風に煽られて驚くこともありませんでした。踏んだ感じでは、前作のAR以上に硬く仕上げられていると感じます。そのため突き上げは少なからずありますが、シートステーのブリッジを無くしているなど快適性を求める工夫も確認できますね。

コーナリングに関しては想像した以上にスムーズに曲がることができました。エントリーグレードのカーボンですからフォークのブレードが負けてしまうかもという先入観がありましたが、特にアンダーステアを感じません。ブレーキのフィーリングはノーマルロードとの差はなく、リアのダイレクトマウントブレーキに関しても操作感は良好でした。

かなり短いヘッドチューブはレーシング性能を追い求めた結果でしょう。平坦基調かつ高速なレース展開に向いており、速度が増していくほどにフレームの真価を味わえます。やはりFシリーズなどピュアオールラウンダーと比較すれば登りは不得意ですが、スピードを活かしてクリアする緩斜面には強さを発揮してくれるはずです。

フレームのシルエットはハイエンドモデルと共通ですし、エアロロードバイクとしては、完成車パッケージのコストパフォーマンスは高いでしょう。ディープリムのカーボンホイールに交換すればより特徴を伸ばせるでしょうし、衝撃の緩和や苦手(登り)の克服にも役立ちますね。

エアロロードバイクとしてのフレーム性能が優れているので、ホビーレースでは十分に良さを味わえるでしょう。ケーブルの取り回しに気を使う必要がありますが、機能が特化されていることを承知のうえで単独走行にスピードを求めたい方や、逃げ切り勝利を目指す方、トライアスロンと兼用したい方にはおススメの一台です。

フェルト AR4

サイズ480、510、540、560
フレームFELT Aero Road UHC パフォーマンス カーボン
フォークFELT Aero Road UHC パフォーマンス カーボンモノコック
コンポーネントシマノ アルテグラ
クランクセットシマノ アルテグラ 52T/36T
ホイールシマノ RS31
ハンドルフェルト エアロ VS
ステムフェルト SL
タイヤVittoria Rubino Pro Slick, 700c×23c
重量8.06kg
カラーグロスカーボン
価格358,000円(税抜)

フェルト AR5

サイズ480、510、540、560
フレームFELT Aero Road UHC パフォーマンス カーボン
フォークFELT Aero Road UHC パフォーマンス カーボンモノコック
コンポーネントシマノ 105
クランクセットFSA Omega BB30 50T/34T
ホイールフェルト エアロ R3
ハンドルフェルト エアロ VS
ステムフェルト SL 3D
タイヤVittoria Rubino Pro Slick, 700c×23c
重量8.09kg
価格268,000円(税抜)

提供:ライトウェイプロダクツジャパン 編集:シクロワイアード