「持久系スポーツ、特に自転車選手からの声を多く踏まえてできているんです」。ウイダーエネイドゼリーの開発にあたった森永製菓の佐藤実さんはそう語る。中身のこと、パッケージのこと、そして開発の裏側について、開発マネージャーご本人へと直接話を聞いた。

まずはどういった理由でウイダーエネイドゼリーの開発をスタートさせたのでしょうか?

「自転車選手の声を多く聞いてできた製品なのです」(佐藤実マネージャー)「自転車選手の声を多く聞いてできた製品なのです」(佐藤実マネージャー) 既存のウイダーinゼリーは多くのプロスポーツ選手やアマチュアスポーツ愛好家から人気を得ていた商品でしたが、もっと少ない量でカロリーを摂取したいという要望が契約アスリートから多く出ていました。

例えば自転車界ではシマノレーシングからもそういった意見は多かったですし、海外遠征の際にはかさばる製品だと重量制限にも引っかかりやすくなる。またラグビーなどシーズンが長いスポーツだと、シーズン後半になるに従って食が細くなり、結果少量でも大きなエネルギーを補給できる製品が望まれていました。

あとはバスケットボールなど特に動きの激しいスポーツではウイダーinゼリー1個をとってしまうとお腹が重くなり、半分くらいしか摂らない選手もいたんですね。それぞれ言っていることは違うけれども、望むところは同じ。つまり少量で高カロリーをとれる製品がアスリートから求められていたんです。そうして開発がスタートしました。

「ハイカロリーな製品なら既にある。他にはない美味しさを追求した商品を作りたかった」

正直言うと、少ない量で高カロリーを摂れる商品は他社さんからも出ています。ですから徹底的に少量で高カロリーを狙ってみたら良いのかとか、いろんな栄養素を入れてみようとか、最初は方向性についてとても悩みましたね。数限りないほどの試作を作ってみたのですが、エネルギーを詰め込めば詰め込むほど美味しくないし、ドロドロベタベタして、飲みにくいんですよね。

エンデューロレースなどサイクルイベントに活用して欲しいエンデューロレースなどサイクルイベントに活用して欲しい 様々なテスト品の末に完成したウイダーエネイドゼリー様々なテスト品の末に完成したウイダーエネイドゼリー

既存であったハイカロリー系の補給食はどれも個人的に美味しいと感じていませんでした。そこでふと気がついて、では美味しさを求めていったら良いのではないか?と気づいたんですね。そこで製品の配合を作る研究所の担当者に相談し検討してもらった結果、1gあたり2kcalほどの濃度だったら美味しく味付けができるぞ、ということが分かりました。そこから美味しさと高カロリーのバランスを追い求める作業が始まったんです。

ーなるほど、それではよりハイカロリーなものはやろうとすればできた、ということなんですね。

そうです。正直言って美味しさを求めないのであれば、もっと早く発売はできました。でもそれでは、独自性がない。ですので、今までにない価値を求めたんですね。例えばウイダーinゼリーも高機能を求めた商品ですが、普通の食品のゼリーみたいにおいしく飲めるじゃないですか。やはりスポーツ中の補給食でも美味しく食べたいというニーズが大元にあると思ったので、そこを追求したかったんですよ。

美味しさを追求するにあたって、香料や甘味料だけを使って味を作り出すことできますが、やはり美味しさを求めるのであれば果汁を入れてみようということになりました。あとはゼリーの固さに伴う食感や、握った時にどれだけ出るか、ということも細かく追求しましたね。

自転車での飲用環境を考えた、「開けやすく、開きにくいパッケージ」

キャップの指を当てる部分の角度を調べるために作った試作品キャップの指を当てる部分の角度を調べるために作った試作品
テスト品(左)と、製品版(右)。指を当てる部分が大きく、開けやすくなっているテスト品(左)と、製品版(右)。指を当てる部分が大きく、開けやすくなっている でも自転車選手の場合、製品開発の目から見た場合、補給を摂るシチュエーションが他のスポーツと比べて非常に厳しいという特徴があります。ですからパッケージの開発については自転車選手にフォーカスをあてて行いました。

キャップが落ちること無くリキャップが簡単(手前はテスト品)キャップが落ちること無くリキャップが簡単(手前はテスト品) まずはポケットに入りやすい大きさであること、ストレス無く掴みやすい形状であること。この2つはマストな条件で、更にパッケージの底にゼリーが溜まりすぎない(重心が下になりすぎない)ことなど、細やかな工夫を行いました。

また、パッケージで最もこだわったのはワンタッチで開閉できるキャップですね。3年前のジャパンカップに帯同した際、補給ポイントで実際に選手にウイダーinゼリーを渡すのを見ていたのですが、あれは通常のキャップタイプで少し固いため、一回キャップを開けて封を切り、緩く閉め直して渡すという作業が行われていました。それを見た時に、シビアな要求にも応えられるようなパッケージ開発をやろうと思ったんですね。

でも単に開けやすさを求めれば、落とした時や輸送の最中にフタが開いてしまう恐れが出てきますから、いかに衝撃を逃がすかにも苦労しました。ほら、キャップのてっぺんには突起と溝がついているでしょう?これがヒント。他にも指を当てる部分の角度をどの程度にするか、いろいろ試作品を作りましたね(笑)。「開けやすく、開きにくいパッケージ」は、なかなか難しかったですね。

自転車をはじめ、全てのスポーツを楽しむ方に使って頂きたい

「自転車はもちろん、多くのスポーツ愛好家の皆さんに是非試してもらいたいですね。」「自転車はもちろん、多くのスポーツ愛好家の皆さんに是非試してもらいたいですね。」 そうして中身にも、パッケージにもこだわったウイダーエネイドゼリーの完成は、開発スタートから3年後のことでした。テスト期間から選手たちからは良い反応を得ていますし、レースやトレーニングの際には最高だと思います。自転車はもちろんですが、どんなスポーツをどのレベルで楽しむ方にぜひ一度試してもらいたいですね。

佐藤実氏プロフィール
森永製菓(株)ウイダー事業本部マーケティング部カテゴリーマネージャー。実際にスポーツの現場へ脚を運んで直接見たり聞いたりして、製品開発などを進めることがモットー。ジャパンカップなど自転車レースやマラソン大会などの現場に足繁く通い、そこからウイダーエネイドゼリーのキャップのヒントを思いつく。

シマノレーシングが語るウイダー エネイドゼリー

シマノレーシングの選手達も愛用するウイダー エネイドゼリーシマノレーシングの選手達も愛用するウイダー エネイドゼリー photo:Kei.Tsuji
国内トップアスリートへのサポートプロジェクトを強力に押し進めるウイダー。選手へのサポートと、そこから生まれるフィードバックによって商品が開発されており、もちろん佐藤さんが語るように、ウイダー エネイドゼリーも言わずもがなだ。その開発を強力に押し進めたシマノレーシングの選手にその使用感を聞いた。

「機能性と美味しさのバランスが良いですね」入部正太朗「機能性と美味しさのバランスが良いですね」入部正太朗 photo:Kei.Tsuji「慣れれば口だけで開けて、口だけで閉めることが出来るキャップは便利」吉田隼人「慣れれば口だけで開けて、口だけで閉めることが出来るキャップは便利」吉田隼人 photo:Kei.Tsuji


吉田隼人
「自分はカフェインが苦手なので、カフェインの入っていないグリーンアップル味を好んで使っています。やはりこのキャップが便利です。片手で開閉できるだけでなく、慣れれば口だけで開けて、口だけで閉めることも出来る。濃いんですが、喉に残りにくい甘さなので飲みやすいです。」

入部正太朗
「まず軽いのがいいですね。コンパクトなのでレースにいっぱい持っていける。容量は小さいのに、しっかりとカロリーが入っていて、それでいて果汁が入っているので飲みやすい。そのバランスが良いんですよ。」

提供:森永製菓 text:シクロワイアード編集部