自転車パーツの中で最も種類が多いアイテムの1つである”サドル”に、新たな選択肢が加わった。それが「プロにとってもアマチュアにとっても世界で最もスマートなサドルを生み出すこと」をコンセプトに掲げ、2013年に創業して間もないイタリアンブランド ”ASTVTE(アスチュート)”だ。

3人のデザイナーと40年以上の経験を持つ職人の協力によって誕生

アスチュートは異なるバックグラウンドを持つの3人のイタリア人デザイナーと、40年に渡ってサドルづくりの技を守り続けてきたベネチア地方の職人たちのコラボレーションによって誕生した新進気鋭のサドルブランド。その使命はプロにとってもアマチュアにとっても世界で最もスマートなサドルを生み出すことだという。

アスチュートは世界で最もスマートなサドルを生み出すことを使命として誕生したアスチュートは世界で最もスマートなサドルを生み出すことを使命として誕生した
創業は2013年とその歴史は浅いものの、すでに3つの特許技術を取得していることから、アスチュートが並々ならぬパッションを注ぎ込んでものづくりを進めていることをお分かり頂けるであろう。デザイン性とテクノロジー、快適性で新たなベンチマークを築き上げることが、アスチュートが設定した目標である。

その特徴は、最先端のデザインコンセプトに基き設計され、ひと目見ただけで明らかに違いが分かる革新的な構造にある。そして、様々なサドルメーカーがアジアでの生産もしくはOEMに切り替える一方で、アスチュートはMADE IN ITALYにこだわり、熟練の職人による高い品質も魅力の1つとなっている。また、全モデルが風洞実験や、70~100kgの荷重で50万回の振動を与える繰り返し試験をパスするなど、その性能は折り紙つきだ。

機械に頼らず、職人の経験を活かすことでアスチュートの高い品質は生まれる機械に頼らず、職人の経験を活かすことでアスチュートの高い品質は生まれる 手間を惜しまず2人がかりで作業を行うことも手間を惜しまず2人がかりで作業を行うことも

職人による手作業によって仕上げられる職人による手作業によって仕上げられる 50万回の振動を与える繰り返し試験をパスするなどその性能は折り紙つき50万回の振動を与える繰り返し試験をパスするなどその性能は折り紙つき

斬新な造りやクオリティーの他に、全アイテムに「ロッソ/レッド」を用いることも特徴である。「アズーリ/ブルー」と並ぶこのイタリアスポーツ界のシンボルカラーは、スポーツカーのように速さを連想させつつ、アスチュートのパッションやブランドフィロソフィーを体現している。

アスチュートのプロダクトラインナップ

ベースやとレールをフルカーボンとし軽量性を追求したSKYCARBベースやとレールをフルカーボンとし軽量性を追求したSKYCARB
特殊ナイロン製ベースにカーボンレールを組合せたSKYLITE特殊ナイロン製ベースにカーボンレールを組合せたSKYLITE 金属製レールによって耐久性を重視したSKYLINE金属製レールによって耐久性を重視したSKYLINE

アスチュートはデビューモデルとして3種のサドルを発表した。ベースとレールを全てカーボンとし、軽量性を追求したハイエンドモデルのSKYCARB、特殊ナイロン製ベースにカーボンレールを組合せたミッドレンジのSKYLITE、そして金属製レールによって耐久性を重視したSKYLINEがラインナップされ、それぞれのモデルに非穴あきタイプの”SR”と穴あきタイプの”VT”が用意される。

アスチュートのテクノロジー

スマートなルックスとコンフォート性能を両立する”オープンUシェイプ”

中央に窪みを持った”オープンUシェイプ”のベースを採用する中央に窪みを持った”オープンUシェイプ”のベースを採用する 一般的なサドルのコンフォート性能の高め方の1つに、単純にパッドの量を増やす方法があるが、この方法では厚みのある野暮ったいルックスになってしまうことが多い。そこで、アスチュートがスマートなルックスと高いコンフォート性能を両立するために開発したのが ”オープンUシェイプ” と名付けられた特許技術だ。

このオープンUシェイプとは、ノーズ部分から中央にかけてのベースの上面にU字型の溝が設けられたベース形状のことで、ベース表側のパッド量を増やすことなく、全体のパッド量を高めることが可能になった。そして、レーシングバイクにも違和感なく取り付けることが可能なスマートなルックスを実現している。

ダブル・ベース構造とレール

アスチュートサドルの基本的な特徴である、レーシングサドルに匹敵する軽量性と高い強度は、薄さと軽量性を兼ね備える2枚のベースを重ね合わせた ”ダブル・ベース構造” によってもたらされている。同時に、ベースの間に表皮の端部を挟み込むことで接着剤の汚れや見苦しいホッチキスのない美しいルックスを実現することができたのだ。

2枚のベースを重ねるダブル・ベース構造は強度と軽量性の向上に貢献する2枚のベースを重ねるダブル・ベース構造は強度と軽量性の向上に貢献する
ベース素材は内側にカーボンコンポジットナイロン(黒)、外側に特殊なソフトタッチナイロン(赤)を配している。また、ハイエンドモデルのSKYCARBのみフルカーボン製を採用し、さらなる強度と軽量性を追求している。レールは軽量性に優れる中空カーボンと耐久性を重視したチタンバナジウム合金の2種類。中空カーボン採用モデルには、ベースとの間に”SPAS”と呼ばれるパッドを設け、摩擦による音鳴りを防止すると共に振動吸収性の向上を図っている。

3層構造によりショック吸収性を高めたパッド

ノーズ部分には密度の異なる3層のパッドを配すノーズ部分には密度の異なる3層のパッドを配す サドルにおいてショック吸収の要となるのがパッドだ。アスチュートでは人間工学に基づいて開発され、密度の異なる3層のパッドを組合せた”TRI-DENSITY NES70(トライデンシティー ネス70)”と名付けられた新しいパッドシステムを全モデルに採用した。

このシステムは部分ごとにパッドの組合せを変えるというもので、局部の圧迫を低減するためにノーズ部分はパッドを3枚重ねる一方で、後端部分を比較的ハードにすることでペダリング時の不要な沈み込みを防止。また、パッドの素材には低反発フォームを使用しており、長時間ライドの後でも型崩れすることなく、サドルのへたりを最小限に留めている。

坐骨と骨盤周りの痛みを低減するフラットデザイン

坐骨中心部とフラットなサドル上部が面接触することで痛みを低減している坐骨中心部とフラットなサドル上部が面接触することで痛みを低減している サドルとの相性によって痛む部分は人それぞれだが、その中でも多いのが坐骨周りと骨盤だ。その解決方法としてアスチュートが着目したのがサドルの断面形状だ。標準的なサドルでは円弧状で中央が盛り上がった断面が多いが、アスチュートサドルでは人間工学に基き中央部分をフラットとしている。

同社の研究によれば、坐骨周りは地面からのショックを吸収する柔らかい組織が少なく、標準的なサドル形状では坐骨側面とサドル表面が点接触となってしまうために圧力が大きくなり、痛みが発生する。しかし、体重をかけて座ることの多いサドル後端部をフラットとすることで、坐骨の中心部をサドル上部と面接触させ、痛みを低減。また、骨盤に伝わるショックを50%以上軽減することに成功した。


次のページでは各モデルの詳細なスペック、そしてアスチュートサドルならではのセッティング方法についてお届けします。
提供:Vittoria Japan text:シクロワイアード編集部