オメガファーマ・クイックステップの選手が使い、プロレースで使えるクリンチャータイヤとしての評価を高めつつあるのがS-WORKS TURBO 24クリンチャータイヤだ。優れたトラクションとグリップ、そして低転がり抵抗により、TURBOはレーシングタイヤがどうあるべきかの新しいスタンダードを提示するタイヤといえる。上り、下りをよりイージーに。そしてコーナーではよりアグレッシブに。新コンパウンド「グリプトン」がもたらしたタイヤの新たな性能とは。

スペシャライズド S-WORKS TURBO24クリンチャースペシャライズド S-WORKS TURBO24クリンチャー

オメガファーマ・クイックステップが実戦で使用

雨のレースとなったティレーノ〜アドリアティコのチームタイムトライアルをTURBOタイヤで制したオメガファーマ・クイックステップ雨のレースとなったティレーノ〜アドリアティコのチームタイムトライアルをTURBOタイヤで制したオメガファーマ・クイックステップ レースで好成績を残し、プロからも高い評価を得ているロードレース用タイヤ、S-WORKS TURBO。世界選手権王者、タイムトライアルのスペシャリストとして知られるトニ・マルティン(オメガファーマ・クイックステップ)は、決戦の際にはいつもこのS-WORKS TURBOを使用して結果を残してきた。使用ホイールや重量の関係でロードレースではチューブラータイプを使用することが多いが、転がりを重視するTTには前輪にのみ(チューブラーより真円度に優れた)S-WORKS TURBOのクリンチャータイプをあえて使用するなど、タイヤに関してのユニークな考え方と、このタイヤへの信頼度の高さが伺える。

春のティレーノ〜アドリアティコのチームタイムトライアルを制したオメガファーマ・クイックステップ。雨のなかの棄権なレースとなったTTを制したマルティンは「雨天のレースにもかかわらず、このタイヤのお陰で晴天時と同じようなグリップで走ることができた」と、このタイヤへの信頼感を語っている。

S-WORKS TURBOに信頼を寄せるTT世界王者トニ・マルティン(オメガファーマ・クイックステップ)S-WORKS TURBOに信頼を寄せるTT世界王者トニ・マルティン(オメガファーマ・クイックステップ)
S-WORKS TURBO 24は2013モデルで新たTURBOのラインナップに加わったタイヤだが、今回は開発担当者のひとりに話を聞くことができた。

モデルチェンジの際の目標は「転がり抵抗の削減」だった。結果、現行のS-WORKS TURBO 24はクラストップの走りの軽さを手に入れている。社内で計測したデータによると、某ブランド定番レーシングクリンチャー(23C)を時速40km(8気圧、荷重50kg)で転がすのに必要なパワーが28.3ワットであるのに対し、S-WORKS TURBO 24は同条件で23.7ワットしか必要としない。従来のタイヤの−30%もの低転がり抵抗を実現し、さらにプロをも満足させる高いグリップも持ち合わせているという。もし本当ならレーシングタイヤの理想形である。

独自開発のGRIPTONコンパウンドで走りの軽さとグリップを両立

それを実現したのは、“GRIPTON(グリプトン)”と呼ばれるコンパウンドだ。これはスペシャライズドが独自に開発したもので、30年以上に渡って自動車やオートバイのタイヤ開発に携わってきたエンジニアのヴォルフガング・アレンツ氏の協力の元に行われた。同氏の研究の結果、以前は1つの工場で行われてたタイヤの生産工程を分離し、コンパウンドの配合工程のみ原材料メーカーが行うことで理想的な性能を実現しているのだ。

S-WORKS TURBO 24タイヤに採用されるマテリアル(ユーロバイクの展示より)S-WORKS TURBO 24タイヤに採用されるマテリアル(ユーロバイクの展示より) 硬度と反発力の理想的な配合バランスが追求されたGRIPTONコンパウンド硬度と反発力の理想的な配合バランスが追求されたGRIPTONコンパウンド


「コンパウンドの効果は室内のラボラトリーテストで測定できるものではありません。我々は、コンパウンドの配合を何度も微調整し、オメガファーマ・クイックステップの選手たちに何度も何度もブラインドテストをしてもらいました。それによって、路面からくる不快な振動をカットするしなやかさを持ち、グリップがよく、転がり抵抗も低く抑えることができるオリジナルのコンパウンドが完成したのです」とエンジニアは言う。

独自配合のコンパウンドを手にするヴォルフガング・アレンツ氏独自配合のコンパウンドを手にするヴォルフガング・アレンツ氏 開発にあたっては、タイヤ構造とコンパウンド配合に精通したエキスパート技術者がレーシングタイヤとしての開発に全力を注いだ。コンパウンドの開発で最も重要な事は、硬度と反発力の理想的なバランスを見つけることだ。走りの軽さとグリップ力は相反する要素だが、なぜそれを両立できたのだろうか。

「路面から受けた力を熱に変えてしまわずに、“押し返す”ことができるのが、グリプトンのキーです。ウェットコンディションでもグリップを高い状態に保つことができます。ただ、耐久性や耐摩耗性はそれほど重要視していません。完全なるレーシングタイヤです。ガンガン使って戦果をあげるレースの武器ということですね」。

幅は24Cに設定されるが、その理由とは?
「同じ空気圧ならば、よりワイドなタイヤのほうが転がり抵抗が低いんです。さらに、ハンドリングにも安心感が生まれます。トッププロが走る高速域でもハンドリングに自信と余裕を与えることで、より攻めることを可能としているのです」。

高い耐パンク性を実現した第2世代のBLACK BELT

スペシャライズド S-Works Turbo24の内部構造スペシャライズド S-Works Turbo24の内部構造 (C)スペシャライズド・ジャパン
一聞するとパンクに弱いレースオンリーのタイヤに思えてしまうTURBOタイヤだが、トレッド下には耐パンクベルト “BLACK BELT”が織り込まれている。第2世代の技術が投入され、垂直方向のコンプライアンス(柔軟性)を犠牲にすること無く、サイドウォールまで耐パンク層を拡張し、サイド切れにさえも強いレーシングタイヤとなっている。

S-WORKS TURBO24クリンチャー インプレッション by安井行生

S-WORKS TURBOタイヤ ROUBAIX用に26CもラインナップされるS-WORKS TURBOタイヤ ROUBAIX用に26Cもラインナップされる 帰国後、自分のバイクでS-WORKS TURBO24クリンチャー をテストした。

普段愛用している定番ブランドのクリンチャータイヤと同時に乗り比べたのだが、S-WORKS TURBO 24はエンジニアが主張した通り、走りが非常に軽い。下りでもS-WORKS TURBO 24のほうがスピードの伸びがいい。フワフワのタイヤではなく、衝撃は伝えてくるが減衰が非常に速く、心地よい走行感。パスタの”アルデンテ”のような乗り味 ——つまり、外は適度に柔らかかいが、芯にはコシを残している—— は、レーシングタイヤらしく好印象だ。

グリップレベルもかなり良好だが、プロが煮詰めたトレッドパターンだけあってグリップ感が非常にナチュラルで扱いやすい。S-WORKS TURBO 24は、どこをとってもレベルが高い。スペシャライズドというビッグブランドの技術力・開発力をまざまざと見せ付けられた気がする。

TURBO 24でトニ・マルティンが世界選手権個人TT3連覇を達成!


1時間05分36秒のトップタイムをマークしたトニ・マルティン(ドイツ)1時間05分36秒のトップタイムをマークしたトニ・マルティン(ドイツ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
嬉しいニュースが飛び込んできた。9月25日に開催された2013ロード世界選手権エリート男子個人タイムトライアルで、トニ・マルティンが世界選手権史上最速の52.9km/hという驚異的なスピードで最速タイムをマークして優勝。2011年からの同種目3連覇を達成した。マルティンはもちろんTURBO 24を使用し、改めてその性能の高さを証明してくれた。
提供:スペシャライズド・ジャパン 企画/制作:シクロワイアード