ジャイアントのコンポジットシリーズは、全世界的に1500ドル前後の低価格で販売し、ビギナーを中心とするユーザーにも快適性や軽さといったカーボンバイクならではのメリットを体感できるよう、ジャイアントがとくに力を注いで販売するエントリーグレードのフルカーボンラインナップだ。

カーボンの魅力を伝えるロングライドモデル

ジャイアント DEFY COMPOSITE SEジャイアント DEFY COMPOSITE SE
素材にはコストパフォーマンスの高いT-600グレードのカーボン原糸を自社工場でシート化したカーボン材を使用することで、軽量かつ剛性を高め、快適性に優れた乗り味を提供。同じコンポジットシリーズ内にTCRとディファイの2モデルを揃え、ライディングスタイルに合ったラインナップとされている。

ディファイ コンポジットは、ディファイのコンセプトに則ってアップライトなポジションを可能とするエンデュランスジオメトリーを採用。ヘッド/シートアングル共に寝かせていることで直進安定性が考慮されている。インプレバイクはディファイ コンポジットSE。末尾の“SE”は「Special Edition」の略で、日本限定販売の特別仕様車だ。パーツアッセンブルが異なるだけはなく、敢えてグローバルモデルと違うフレームを採用するなど、まさに日本人のためのオリジナルバイクである。

長いヘッドチューブで、ロングライドに最適なジオメトリーを提供する長いヘッドチューブで、ロングライドに最適なジオメトリーを提供する
トップチューブは短く、アップライトなポジションを可能にトップチューブは短く、アップライトなポジションを可能に
下側1-1/4インチのベアリングを採用した独自規格のOVERDRIVEヘッドチューブ。周辺もボリューム感高い仕上がりだ下側1-1/4インチのベアリングを採用した独自規格のOVERDRIVEヘッドチューブ。周辺もボリューム感高い仕上がりだ


使用するカーボン材のグレードこそスタンダードだが、各部分は上位モデルと同様の機構が織り込まれているあたりは「ジャイアントらしさ」の感じられる部分だ。ヘッドチューブは下側1-1/4インチのベアリングを採用したOVERDRIVEとし、その周囲もボリューム感ある力強い造形に。ボトムブラケットはベアリングをフレームに圧入することで剛性を高めたPOWERCOREを導入したことで、走り性能の追求も忘れられてはいない。シートピラーは快適性とエアロ性能を両立するベクターがアッセンブルされている。
完成車重量は8.4kgと、価格を考えれば十分すぎるほど軽量だ。

プレスフィットBBにより剛性を高めたPOWERCOREプレスフィットBBにより剛性を高めたPOWERCORE ホイールはジャイアント P-R2ホイールはジャイアント P-R2

コンポーネントはシマノ・ティアグラ。スプロケットは12-30Tだコンポーネントはシマノ・ティアグラ。スプロケットは12-30Tだ クッション性の高いサドルでロングライドをサポートするクッション性の高いサドルでロングライドをサポートする

このバイクのコンセプトは「コンフォート」。「ロードバイク初心者が100km走っても翌日に疲れを残さない」と言えばイメージしやすいだろうか。コンポーネントにはシマノ ティアグラを装備し、ギア構成は50-34T+12-30Tとワイドギアレシオ。初心者からシニアまで、快適にロングライド、ヒルクライムが楽しめる、ロードバイクの楽しさを満喫できる1台だ。

シンプルかつコンパクトなリアバックシンプルかつコンパクトなリアバック BBに向けて太くなるシートチューブBBに向けて太くなるシートチューブ フォークは緩いベンド形状を描くカーボン製。高い振動吸収性能を生み出すフォークは緩いベンド形状を描くカーボン製。高い振動吸収性能を生み出す

ジャイアント DEFY COMPOSITE SE スペック

サイズ430(XS)、465(S)、500(M)、535(ML)mm
マテリアルGIANT Composite
フォークGIANT Composite、 OverDrive Column
コンポーネントシマノ TIAGRA
ホイールジャイアント P-R2 FORMULA Cartridge Bearing(ハブ)
重量8.4kg(465mm)
価格157,500円(税込み)


インプレッション

「直進安定性が非常に高い。ジオメトリーの特性が反映されている」
橘田脩平(湘南ベルマーレ)

エンデュランスジオメトリーの特徴が非常に良く感じられますね。両手を離してゆっくり走っても安定している。雑にダンシングしても真っ直ぐ進んでくれるので、とにかく直進安定性に優れるバイクだと思いました。

快適性も特筆して高く、路面の小さな凹凸を全ていなしてくれ、手には振動が全然伝わってこないくらい。整った石畳区間くらいならキレイな舗装路を走っているのと変わらないくらいです。ヌルヌルッとすべるような走り。買った初日にいきなり100km走っても、翌日に残る疲労はかなり少ないでしょう。

「直進安定性が非常に高い。ジオメトリの特性が反映されている」橘田脩平(湘南ベルマーレ)「直進安定性が非常に高い。ジオメトリの特性が反映されている」橘田脩平(湘南ベルマーレ)
快適性が高い反面、剛性は抑えられています。重いギアで踏み込むとBB周りがたわみ、踏み込みに対して反応が少し遅れて付いてきます。しかし決して悪いイメージではなく、身体への負担が少ないという意味ではとてもポジティブな性格。スローピングが大きいため重心が低く、ダンシングの際にバイクを振りやすいことも特徴です。

ただ振動吸収性が高い反面、路面情報が伝わりにくいというデメリットがありました。レーサー目線で見るとどうしてもダウンヒルでのマイルドさが気になってしまいますが、このバイクのターゲットユーザーを考えれば問題ないはずです。

快適性、巡航性が高いことから、サーキットでのエンデューロイベントに出場するには適しているでしょう。ただ単に快適志向に振ったバイクではないため、気持ちの良いフィーリングで走る事ができますね。

15万円台という価格を踏まえれば、コンポジットSEは「最強のビギナー向けバイク」と言って差し支えないでしょう。こんな良いバイクが、こんなにも安いのは信じられないですね。これをきっかけに誰でもロードバイクが好きになれる。初心者の最初の1台としてはベストのバイクだと感じました。

「究極のサスペンション性能を持ったロングライドバイク」
神宮司高広

今まで乗ったロードバイクの中で最高レベルの振動吸収性を感じました。フレーム全体がライダーに振動を伝えないよう仕事をしているイメージです。いつも走っている道が、全然違う鏡面の路面になったかのような錯覚に陥りました。

「究極のサスペンション性能を持ったロングライドバイク」神宮司高広「究極のサスペンション性能を持ったロングライドバイク」神宮司高広
踏み込みに対してBB周辺が上手くウィップしてくれるため、脚への反発をかなり小さくしてくれますね。吸い込まれるような自然なペダリングが可能です。まだペダリングスキルが伴わないビギナーにはありがたい性格だと思いました。頑張らなくとも、自然にスピードが乗って、気持ちのよい走りを味わうことができます。巡航性能に長けており、ロングライドや長い距離のヒルクライムに適していますね。

ヘッドチューブが長く設定されているため、上体が起きた楽なポジションを取ることが可能です。コンポーネントもティアグラと十分なものがアッセンブルされていますので、変速性能もブレーキの利きも、長い目で見ての耐久性もまったく問題ないかと。走りのレベルが向上したら、105など上級のコンポーネントに換装すると良いでしょう。

初めて乗るロードバイクがディファイ コンポジットだったら、「明日も乗ろう、明後日も乗ろう」という気持ちになるでしょう。2年、3年と長く付き合えるバイクだと感じます。頑張りすぎず、自転車のあるライフスタイルを楽しめる。そんなバイクです。
提供:ジャイアント 編集:シクロワイアード編集部