最近のメタボ会長はと云えば、至ってご機嫌が悪い。この迷惑極まりないご機嫌斜め状態について私たち編集部が思い当たる主な要因は2つ。

我々に内緒で事前講習会に参加していたメタボ会長我々に内緒で事前講習会に参加していたメタボ会長 まず最初の要因は、ホノルルセンチュリーライドだ。今年こそはハワイに行くぞ!と、前々からかなり鼻息の荒かったメタボ会長。

編集部が事前講習会の取材に訪れた際、一般のお客様に混じって講習に耳を傾けるメタボ会長の姿を発見した時は、オヤジのハワイに掛ける本気度にゲンナリさせられたのだが・・・。

そんなオヤジがホノルルセンチュリーライドに参加できなかった理由は、私たち編集部とは全く関係無い。

グループ会社を含めた本社の連結決算の最終締め日が9月30日。 東日本大震災の影響をモロに受けた本社の全体会議で、「最終締め日直前の1週間に、会長が日本を離れる事は会計責任者としては許可出来ません。」と、顧問会計士からキッパリ言い渡されたのを、ウチの編集長が聞いている。つまり、私たち編集部が責められる理由は何一つ存在しないのだ。

つくば10耐でやっちまった時のオヤジつくば10耐でやっちまった時のオヤジ それにも関わらず「面倒臭い仕事は全部俺に押し付けて、君達は取材と偽って遊びに行けるからイイよな~。」と、逢う度に嫌みタップリな言葉を頂く。

「偽ってだと?アンタだって、ツアー申込みの締切直前までは行く気満々だったじゃね~か!」
こんな言葉を吐き捨てること無く、心に閉まって置ける私達は、とても立派な大人である。

2つ目の要因は、つくば10時間耐久で痛めた膝の状態が、思いのほかヨロシク無い事。かれこれ3ヵ月になろうかと云うのに、一向に完治する兆しが見られない。

普段の社内を歩く姿を見れば、特に脚を痛めている様子はなく、スローな速度でしか歩けない訳でもない。一見しただけでは故障の素振りは全く見受けられないのだが、その姿が自転車に乗った途端に一変する。

アンカー日産でも全くキレのない姿を晒すアンカー日産でも全くキレのない姿を晒す "アンカー日産エンデューロ"の実走取材に編集部と共に参加した際も、本来メタボ会長が最も得意とするド平坦なコースにも関わらず、普段の覇気は全く感じられないショボイ走りっぷりで、私達が遠目に見ていても、左膝をかばいながら走っているのが判るほどの弱々しい姿を晒していた。

先日のインプレ現場に遊びに来た際も、3%程度までの勾配であれば、ダラダラと普段通りに走れるのだか、勾配が5%を超えてくると途端に「ダメだ!膝が痛いからゆっくり走ってくれ~!」と、テスターさんの試走を邪魔する始末だ。

休憩中のテスターさん達を捕まえて「脚が痛くならない走り方ってないの?」と、業務妨害宜しく話しかけている。そんなオヤジに嫌な顔一つせずに、テスターさんが優しく答えてくれる。

呼びもしないのにインプレ現場にノコノコとやってきた呼びもしないのにインプレ現場にノコノコとやってきた 「会長さんはとにかくギアが重すぎる様に見えます。今より4枚ほどギアを軽くして、脚に掛る負荷を減らしてあげれば、長距離を楽にこなせると思いますよ。普段から75回転/分以上のケイデンスを維持する練習をされてみるのもイイかもしれませんね。」

そんな助言に対して
「普段から75回転/分以上って事は、常時40km/h以上を維持しろって事かい?」
まったく馬鹿な質問を真顔で返すメタボ会長。聞いているコチラが恥ずかしくなる。

「いやいや、そうじゃなくて、軽いギアを選択して・・・。」これには優しいテスターさんも苦笑いを浮かべるしかない様子である。こんな様子を見るに見かねた編集長が割って入る。

「会長の故障に関しては、私も責任を感じています。会長が馬力に任せてやたら重いギアを踏んでいる事を知りながら、面倒臭い事も手伝い、見て見ぬフリをしてきた事は申し訳なかったと思っています。テスターさんが言う様に、これを機にケイデンスを上げる練習に取り組んでいきませんか?勿論、私も手伝いますから。」

テストバイクを勝手に乗り回す。お願いだから帰って下さいテストバイクを勝手に乗り回す。お願いだから帰って下さい この言葉に一番驚いたのは何を隠そうこの私だ。
「会長の故障が編集長の責任? 私達がいくら助言しても"俺のベストは55回転/分だ!"と、一切聞く耳を持たなかった会長の自業自得でしょ!」
私が抱いたこの感情は、人類共通の認識の筈である。

にも関わらず、
「確かにな。君達はともかく、テスターさん達が揃って助言してくれるくらいだから、取り組んでみる価値はあるかもしれんな。」
全くどこまで上から目線なんだか。込み上げる怒りに震える私などお構いなしに暴言が続く。

電動のアルテグラDi2に興味深々。「これ、欲しいぞ!」電動のアルテグラDi2に興味深々。「これ、欲しいぞ!」 「だいたい最近の君達は、業務の多忙にカコ付けて、俺のサイクリングにも全然付き合ってくれないしな。責任を感じてんなら、次回のサイクリングにはちゃんと付き合えよ!」

此処まできたら、もはやパワーハラスメントだ。訴訟を起こせば、私達が勝訴する事は火を見るよりあきらかである。なのに、昼夜を問わず激務を課される私達に、この言い草はあんまりである。

いくら組織内の秩序があるとは云え、こんな暴挙が社会的に"了"とされるなら、私達サラリーマンは悲し過ぎる。

こうして、失意のドン底に突き落とされながらもインプレ試走が無事終了。メタボ会長とも別れ、編集部に引き上げる私達。帰りの車内で編集長がおもむろに口を開く。

「今日は散々だったね。ただ、イベント会場での会長の知名度を考えると、ある程度ちゃんとした乗り方をさせないと恥かくのは我々編集部だから、次回のサイクリングには付き合うしか道は無いかもね。編集部が赤字計上を続ける限り、逆らう事は許されないのが悔しいけどね。」

そんな言葉と共に浮かべる編集長の憮然とした表情から、今日のオヤジの理不尽な言動に遺憾の念を抱いている事がヒシヒシと伝わってくる。編集長がここまで感情を滲ませることは珍しい。

にも関わらず、泣き言を言わずに取り組もうとする編集長の横顔に、虐げられながらも闘うサラリーマンの雄姿を垣間見ながら、不思議な安堵感と共に編集部に向けクルマを走らせる私だった。


次回ですか?
私達サラリーマンは決して負けません。



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「ポイ捨てはダメだぞ!」「ポイ捨てはダメだぞ!」 メタボ会長
身長 : 172cm 体重 : 87kg→79kg→85kg
自転車歴 : 2年

当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立し平成17年に社長を引退。平成20年よりメディア事業部にて当サイトの運営責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。ゴルフと暴飲暴食をこよなく愛し、タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。