ブリヂストンサイクルが6月に発売した子供用自転車、Levena(レベナ)が話題だ。檀琢磨さんが語る「子供には本物を与えたい」というキャッチフレーズで、子供車としては異例の軽量スポーツバイクに仕上げられている。

ブリヂストンサイクル レベナブリヂストンサイクル レベナ (c)Makoto.AYANO

今回はブリヂストンサイクルからお借りしたレベナを実際に子供に乗ってもらい、親の目線も含めてインプレッションしてみた。

レベナは子供用としては画期的な7.9kgという軽量性を実現したスポーツバイクだ。改めて調べてみると、市場にある子供用自転車は同年代用の一般的な製品で通常12~13kgといった重量だ。つまりレベナは4、5kg程度軽いことになる。その重量差が子供にとっていかに大きなものかは、大人はなかなか実感できないものかもしれないが。

ヘッドチューブからメインフレームを見る。大人を唸らせる美しい工作ヘッドチューブからメインフレームを見る。大人を唸らせる美しい工作 (c)Makoto.AYANOハンドルもアルミ製 幅は440mmハンドルもアルミ製 幅は440mm (c)Makoto.AYANO


世の中の一般的な子供用自転車といえば、スポーツバイクに乗っている親の視線で見れば、「重い鉄のフレーム、ロクに動きもしない格好だけのサスペンション、使いこなせない多段ギア、余計なアクセサリーだらけのハンドルまわり」などなど、思わず購買を躊躇してしまう製品ばかりが多い。それらはもちろん子どもが気に入れば最高の買い物になるのだろうが、もし少しでもスポーツ的に乗らせたいと考えた場合、あまり良い選択ではないことは明らかだ。

子供の手に合わせた設計のブレーキレバーとグリップ子供の手に合わせた設計のブレーキレバーとグリップ (c)Makoto.AYANOツーピボットキャリバーブレーキを採用 確実な制動感だツーピボットキャリバーブレーキを採用 確実な制動感だ (c)Makoto.AYANO


ブリヂストンサイクルがレベナのターゲットにしたのは、購入者である「お父さん」だ。ターゲット像を「スポーツ自転車に乗る、自転車好きのお父さん」と定め、設計された。つまり自転車をみる目があるお父さんに、子供にプレゼントする自転車を買ってもらうことを目的としている。

アヘッドステムを採用。もちろん交換も可能だアヘッドステムを採用。もちろん交換も可能だ (c)Makoto.AYANOリアブレーキはバンドブレーキを採用リアブレーキはバンドブレーキを採用 (c)Makoto.AYANO


レベナには多段ギアがないため、シンプルなシングルスピード(フリー式)のバイクだ。そのぶん軽いうえに、軽量なアルミフレームや軽さに配慮したパーツ類で組まれている。ブリヂストンサイクルの開発陣がひとつひとつの構成パーツを見直し、イチから創り上げたという自信の製品だ。改めてレベナの主な構成をそれぞれ見てゆこう。

・スタイリッシュな軽量アルミフレーム
軽量でインパクトのあるデザインのアルミ製シートチューブレスフレーム
・アヘッドステム採用
ハンドルステムはスポーツバイクで主流のアヘッドステムを採用。ステム交換も可能に。ケガ防止のカバー付き
・軽快なオープンサイドタイヤ
軽量で走りも軽いオープンサイドタイヤを採用。走りの軽さとグリップ感を追求。サイズは18×1.5HE
・子供の手に合わせたブレーキレバー
アルミ製のブレーキレバーは子供の手に合うコンパクト設計
・シャープなデザインのスポーツタイプサドル
シンプルなスポーツタイプサドルを採用。ペダリングの脚の動きを妨げない
・扱いやすいツーピボットキャリパーブレーキ
軽い力で確実な制動力を発揮する「ツーピボットキャリバーブレーキ」(フロント)を採用。リアはバンドブレーキ
・軽量アルミリム
インパクトのあるカラーリングで軽量・軽い走りを実現するアルミ製ダブルウォールリム

以上のスペックに加え、各部の目立ったネジにもアルミ製のものが採用されるなど、小さな積み重ねが、7.9kgという軽い車重を達成している。

開発のコンセプトや細部のスペック、そしてブリヂストンサイクルがレベナにかけた思いは、ぜひLevenaスペシャルサイトで確認して欲しい。




インプレッション

ブリヂストンサイクルから借用したレベナを、5歳8ヶ月の太郎君(仮名)に乗ってもらった。太郎君は普段から子ども用自転車でお父さんとサイクリングを楽しむ自転車幼児である。ビデオでツール・ド・フランスも観ているため、お父さんと一緒にレースごっこをするのが好きで、カンチェラーラの大ファンだとか。

太郎君には一日1時間づつ、5日ほど乗ってもらうことができた。

まずお断りしておきたいのは、子どもが乗り心地を言葉でうまく表現できないため、同行したお父さんの感想も加えてインプレッションを編集させていただいた。

スピードが出るとクラウチングスタイルで攻める太郎君。まるでレーサーだスピードが出るとクラウチングスタイルで攻める太郎君。まるでレーサーだ

まずレベナの軽さには太郎君も気がついた。自分の一回り小さな16インチの自転車よりも相当に軽いレベナを持ち上げて、「軽いね~」と驚いている。その自分の自転車は持ち上げることさえできない重さだった。それが4kgという重量差だ。

そして、走りが軽い。レベナに乗ると、自分の自転車よりずいぶんスピードが出る。走っている感じはお父さんから見ると軽快そのもの。上りの軽さは出るスピードがまったく違うので、驚くばかりだ。太郎くんは下りでもスピードが出るので、ツール・ド・フランスの選手のようにクラウチングスタイルでぐいぐいスピードを出す。明らかに「スポーツバイク」に乗っているのだ。

ハンドリングは軽めの設計のようだが、スピードが出ると安定感が増すようで、ふらつかず、ピッタリとラインをトレースするように進む。タイヤのグリップ性能がいいので、コーナリングも安心して見ていられる。
しかし、スピードが出るぶん、急ブレーキの際の後輪スリップが気になった。これは出るスピードに対して子供+自転車の重量が軽いため、相対的に滑りやすくなるようだ。とくに急な下り坂では気をつけたい。過激に乗るような子供なら、(大人用の)フォールディングバイク用ハイグリップタイヤなどに交換する必要があるかもしれない。

軽快な走りでスピードが出る 子供も大喜びだ軽快な走りでスピードが出る 子供も大喜びだ (c)Makoto.AYANO平坦路でもスピードが出だすと、シングルギアのため、クランクがすごい勢いで回転する。しかしギアが足りないというわけでなく、子供のケイデンス(ペダル回転数)の高さに驚かされる。今のところシングルギアで間に合っているようだ。

しかし変速できないとなると、1年後にはおそらくギアが足りなくなるため、ギア(スプロケット)を交換する必要もあるかもしれない。

しかし多段ギアがあったほうがいいとは思わない。シンプルさゆえのメリットが上回っているように感じる。軽量でシンプルな2,3段の変速機構などがもしあるならば良いのかもしれないが、まだ自転車に乗り始めたばかりの子供にはまずはシングルのフリー式が良いと思う。スポーツ的にも、「軽いギアを速く回せる能力が身につきそうだ」と思った(親バカである)。

そしてたいていの上りはこなせるギア比だ。子供は器用にダンシングしながら軽快に登るので、この点でも変速器の必要性は感じなかった。

さらにオープンサイドタイヤのクッション性がいいので、軽いオフロードならマウンテンバイクなみに軽快に走る。

ブレーキは扱いやすいレバーが子供の小さな手にぴったりとフィットする。フロントのツーピボットブレーキは、つまりシマノのロード用ブレーキのような構造でしっかりと効き、作動感が非常に良い。

数日乗ってもらった太郎くんはレベナをすっかり気に入ってしまった。もう自分の自転車に戻れない。戻すと不機嫌になるほどだ。メーカーに返却する日がきたことを告げると、「返さないで」「これ買って」と、ダダこね状態に入ってしまった。子供とはいえその違いはハッキリと体感しているようだ。

親としても全面的に気に入ってしまった自転車だ。マイナス面がなかなか見つからないが、心配したのはサドルのデザイン。本格ロードレーサーのような薄型サドルで、スタイリッシュなのはいいが、座り心地はどうなのだろう? クッションは悪くない。ベースもしなるタイプなので、2時間以上の遠乗りをした後も、子供に聞いても痛くなったことはないようだ。しかし座り心地の良さ、座るポジションが前後に長く取れるサドルも良さそうだとは、子どもが乗っているのを見ていて思った。

サドルはロードレーサーの軽量サドルのようなフォルムサドルはロードレーサーの軽量サドルのようなフォルム (c)Makoto.AYANO高級感あるLevenaのロゴ。赤いシートカラーもアクセントに高級感あるLevenaのロゴ。赤いシートカラーもアクセントに (c)Makoto.AYANO


また、全体のデザインは少々疑問が残った。つや消しブラックに赤いリム、グリップ、シートカラーなど、ブラック&レッドに統一されたデザインは非常に高級感がある。フレームに誇らしげに入るLavenaの欧文書体も高級感がある。ただし、これらは子供に聞いてみても「カッコイイかよくわかんない」とのことだった。つまり、大人っぽいデザインなのだと思う。

子供はアンパンマンやシンケンジャーなどキャラクター好き。そこまでいかなくても、多少子どもが気に入るデザインも取り入れてはどうだろうか。オプションのステッカーで絵柄が選べてもいいかもしれない。

しかし、自分が買っている高額な自転車からすれば安いものだが、3万円以上の子供車はやはり高いというのが事実。ならばこの高級感は必要かもしれないとも思う。「ターゲットはお父さん」ということからすれば非常に的を得ているというところだろうか。

編集部の依頼でこのテストを引き受けて、レベナをすっかり気に入ってしまったのは親の私も同じ。迷わず子供のために購入を決めてしまった。ただ、成長の早いこの時期の子供のこと、おそらく乗れて2年ぐらいで小さくなってしまうのは確実だ。
しかし、その2年間は大人の2年間とは比較にならないほど大切な2年間であることは間違いない。「たかが3万5千円ちょっとだ」と、自分を納得させてしまう点は、自分のためのサイクルパーツを買う金銭感覚とまったく同じだ。これには我ながら呆れてしまった(笑)。

ブリヂストンサイクル レベナブリヂストンサイクル レベナ (c)Makoto.AYANO

ブリヂストンサイクル Levena (レベナ)
メーカー希望価格 ¥35,800
タイヤサイズ 18インチ
適正身長 106-121センチ
重量 7.9kg
カラー マットブラック
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