絶好のサイクリングシチュエーションの中しまなみ海道を走り出した台中フローラ世界博覧会PR隊。気持ち良い風に乗せられて約60名の日台合同隊たちは快調に伯方島へと渡る。次々と魅力が溢れ出すしまなみ海道サイクリングの帯同レポート後編をお届けしよう。前編はこちら



これから走る大島伯方大橋をくぐるこれから走る大島伯方大橋をくぐる
走り出して1割にも満たないところでしまなみ海道の魅力に圧倒された筆者フジワラ。来島海峡大橋を渡り、大島のよしうみバラ公園で一息入れた我々は、再び尾道へ続くブルーラインをなぞりはじめた。

大島の次に現れるのは、かの有名な「伯方の塩」の伯方塩業が本社を構える島だ。伯方島ではビーチのある道の駅伯方S・Cパークにて一息入れることに。夏休みも終わり海水浴ピークが過ぎ去ってしまったため、平日のビーチに訪れている人は多くないが、シーカヤックで遊ぶ人の姿も。ほんのり塩味を感じる塩ソフトクリームを舐めながら、ビーチで黄昏れるのも乙だろう。巨大な船を建造途中のしまなみ造船を横目に一行は大三島に渡る。

数分前に村上水軍博物館の近くを通過した時にも思ったのだが、しまなみ海道みどころ多すぎでは?伯方島を最短距離で走り抜けたので、島外周の1/4も走っていないことになる。実際に細かく見て回ろうと思うと膨大な時間が必要かもしれない。

伯方ビーチで一息入れる一行伯方ビーチで一息入れる一行 みきゃんと抹茶ソフトクリームは皆の人気者みきゃんと抹茶ソフトクリームは皆の人気者

建造途中の巨大船舶を横目に駆け抜ける。造船が盛んな瀬戸内特有の光景だろう建造途中の巨大船舶を横目に駆け抜ける。造船が盛んな瀬戸内特有の光景だろう 伯方島から大三島に渡る橋は、しまなみ海道唯一のアーチ橋となっている伯方島から大三島に渡る橋は、しまなみ海道唯一のアーチ橋となっている


大三島に上陸した直後から姿を見せたのは愛媛県と広島県境となる多々羅大橋だ。これまで駆け抜けてきた3本の橋以上の存在感を主張しており、しまなみ海道の主役であることは遠目からでも明らかである。そのダイナミックな姿に何かを感じ取ったのは私だけではなく、サイクリング団の方もストップしその姿をカメラに収めている。

我々は少し走ったところにある"サイクリストの聖地"こと多々羅総合公園でお昼休憩をとることに。愛媛県側から3つめ、広島県まで残り3つという中間に位置するため、多々羅総合公園で折り返しても良し、対岸まで頑張っても良しという場所なのだ。どちらの県から訪れてもほぼ必ず立ち寄るであろうポイントで"聖地"であることが納得できる。

アーチ橋を背に気持ち良いワインディングを駆け抜けるアーチ橋を背に気持ち良いワインディングを駆け抜ける 遠くに現れた多々羅大橋の存在感は圧倒的。思わず足を止めて記念撮影遠くに現れた多々羅大橋の存在感は圧倒的。思わず足を止めて記念撮影

県境となる多々羅大橋。しまなみ海道のアイコン的存在だ県境となる多々羅大橋。しまなみ海道のアイコン的存在だ
人間の形をしたバイクスタンドも注目を集める人間の形をしたバイクスタンドも注目を集める “サイクリストの聖地”碑。今治市の大島の自然石「大島石」によるもの“サイクリストの聖地”碑。今治市の大島の自然石「大島石」によるもの


到着した皆さんは、食堂に入る前に、広場に設置された石のモニュメントと人の形をしたバイクスタンドの周りに吸い込まれるように集まっていく。国内外問わず多くのサイクリストから愛されるようになったしまなみ海道を象徴するモニュメントとの記念撮影は、このコースを訪れたサイクリストにとっては外せないイベントなのだ。

入れ代わり立ち代わり行われた撮影もしばらくすると落ち着き、全員で記念撮影をすることに。台湾式なのか写真に映る人数が多い撮影の場合は、掛け声を三唱するとともに拳を振り下ろす動作が必ず入る。気迫すら感じる掛け声にあわせて撮った写真もどこか凄みを感じる。ひと通り撮影を行った40名の大集団は食堂で脚を休めることに。

台中フローラ世界博覧会をPRするために日本を訪れた使節団。しまなみ海道サイクリングを楽しんだ台中フローラ世界博覧会をPRするために日本を訪れた使節団。しまなみ海道サイクリングを楽しんだ
我々サイクリング団一行に用意されたのは、贅を尽くすとはこの事かと思わざるを得ないほど豪華なマハタ料理。希少な高級魚の煮付け、お刺身、お吸い物はどれも美味。歯ごたえのある肉質、ほのかに甘みを感じるお刺身はクセになりそう。市場にほとんど流通しない魚なので、マハタを食べたくなったら瀬戸内を訪れるしかないのだろうか。

満腹になった我々はいよいよしまなみ海道ツアー後半戦に突入する。多々羅大橋から望むことができる風景はどこを切り取っても美しく、自然と足取りが軽くなる。広島県の1番手は瀬戸内のシチリア"生口島"だ。国産レモンの3割近くを育てるこの島では、露地栽培が行われており、多々羅大橋から降りる際もレモン谷と呼ばれるところを通っていく。

いよいよ広島県へと突入するサイクリング隊いよいよ広島県へと突入するサイクリング隊 キラキラと輝く海面を眺めながら進むキラキラと輝く海面を眺めながら進む

南国のような雰囲気漂う瀬戸田サンセットビーチ南国のような雰囲気漂う瀬戸田サンセットビーチ 生口島といえばレモン。名産物を使った商品がたくさん並ぶ生口島といえばレモン。名産物を使った商品がたくさん並ぶ


休憩ポイントの瀬戸田サンセットビーチを含め生口島の海岸沿いは、南国リゾートのような雰囲気があり、走っていると気分が高揚してくる。生口島は耕三寺の敷地内にある大理石の庭園など見どころ満載だが、快速トレインは次なる目的地因島へ向けてひた走る。

因島も村上水軍が居城を構えた場所の1つであり、今でも水軍まつりが開催されるなど、海とともに生きた男たちを称える文化が息づいている。また因島といえば江戸時代の囲碁棋士、本因坊秀策の生誕地であることも有名だ。因島は地中海に浮かぶ島のような雰囲気の生口島とは異なり、岩の上に松が自生していたりとどことなく和風な雰囲気を感じる。村上水軍や秀策のイメージがそうさせるのだろうか。

街路樹も南の島をイメージさせる街路樹も南の島をイメージさせる 生口橋を渡り因島へ入る。サイクリングも終盤だ生口橋を渡り因島へ入る。サイクリングも終盤だ

松や海に浮かぶ小島が和を演出しているのだろうか松や海に浮かぶ小島が和を演出しているのだろうか 対して因島はなんとなく和の雰囲気を感じる。奥では船を建造中対して因島はなんとなく和の雰囲気を感じる。奥では船を建造中


日も傾きつつある頃、一行は最後の休憩スポット因島アメニティ公園にたどり着く。しまなみ海道ツアーも最終盤に差し掛かり、疲労を感じる方も多いようでスッカリ腰を落ち着けてしまっている。しかし疲労困憊の様子ではなく、どの参加者もその疲れ具合を味わっているかのようないい笑顔だ。橋に上がるためのクライム、島は大体は平坦基調という絶妙なコースプロフィールが、走りごたえを演出しているに違いない。少し早いが何人かにしまなみ海道の感想を聞いてみると答えは一様にGood。ご飯も美味しく頂けたようで、満足できたよう。

そして重い腰をあげ、我々は向島へと足を向ける。ここまで登場した橋全て高速道路と並行して走ることができたが、因島大橋では高速道路の下を通ることになる。ダイナミックな風景を見ることはできないものの、無機質な建造物の中を通るのも雰囲気があって面白い。自然に恵まれたしまなみ海道でのアクセントとしていい味を出していると感じる。

因島アメニティ公園にはなぜか恐竜がいる因島アメニティ公園にはなぜか恐竜がいる 若干の疲れを味わうかのような笑顔が多い若干の疲れを味わうかのような笑顔が多い

因島に別れを告げるラストクライム因島に別れを告げるラストクライム 因島大橋は唯一高速道路の下を走る因島大橋は唯一高速道路の下を走る


橋を渡りきると尾道はもうすぐそこ。岩小島へと架かる赤いアーチ橋の下をくぐり、市街地へと出ると渡船場へはあっという間。下校途中の地元高校生も乗る小さな船に我々もお邪魔し本島へと渡る。フィニッシュ地点であるONOMICHI U2にたどり着くと尾道市職員の皆さまが迎えてくれ、花博PRサイクリング隊の長い1日が終わる。

ジャイアント元社長のトニー・ロー氏は「しまなみ海道は5回走っていますが、大きな橋から見る海は毎回素敵な景色だと思います。今日は晴れたので気持ちよく走ることができました」とサイクリングを振り返る。スケジュールが差し迫っており駆け足気味で感想を聞くことしかできなかったが、トニー氏はその中でもしまなみ海道を唯一無二で特別な風景、世界一という言葉で表した。今回のサイクリングで約40名の台湾サイクリストもそう感じ取ってくれたはずだ。

台中フローラ世界博覧会PR隊がサイクリングを無事に終えることができたため、来年の展覧会もきっと成功を収められるだろう。1日半、台湾の方たちと一緒に過ごし私もすっかりと花博サポーターとなってしまったみたい。もし来年、台湾を訪れる機会があるならばサイクリングがてら花博にも足を運び、台中の自然に触れてみたいと思うのであった。

下校途中の高校生も乗せたフェリーで尾道へと渡る下校途中の高校生も乗せたフェリーで尾道へと渡る 本島に上陸するとゴールは目の前本島に上陸するとゴールは目の前

ONOMICHI U2では大勢の方に出迎えてもらったONOMICHI U2では大勢の方に出迎えてもらった photo:GIANTジャイアントの元CEOトニー氏は気さくに写真撮影に応じてくれるようだジャイアントの元CEOトニー氏は気さくに写真撮影に応じてくれるようだ


もちろん魅力が沢山詰め込まれたしまなみ海道にも再び訪れたいと思う。今回、走ることができた今治から尾道まで一気に突き進むルートは、しまなみ海道サイクリングの一部で、もっと沢山の遊び方ができるはずだ。次訪れる際は各島にスポットを当てたルートなどでも十分に楽しみたい。

自転車人気が高まる以前よりしまなみ海道を見てきたMTB XCレーサーの門田基志選手、社を挙げて愛媛県と広島県と連携しながらサイクリング発展に尽力しているジャイアント・ジャパン社長の中村晃氏、トニー氏ら3名が口を揃えて言うのは「しまなみ海道は世界に誇ることができるサイクリングコース」ということ。その魅力をもっともっと味わいたいと思わされた取材であった。

1日かけてしまなみ海道を走りきった台中フローラ世界博覧会PR隊と日本のみなさん1日かけてしまなみ海道を走りきった台中フローラ世界博覧会PR隊と日本のみなさん


台中フローラ世界博覧会
台中フローラ世界博覧会は、「后里馬場森林」、「外埔永豊」、「豊原葫蘆墩公園」というテーマが異なる3つのエリアを通じ、緑豊かな台中の魅力を味わえる博覧会だ。会期は2018年の11月より2019年の4月まで。どの季節でも色鮮やかな花を楽しめるようなエリアづくりとなる予定だという。

台中フローラ世界博覧会 2018年11月~2019年4月に開催予定台中フローラ世界博覧会 2018年11月~2019年4月に開催予定 (c)2018floraexpo.twテーマ:花を再発見するGNP
開催日程:2018年11月3日~2019年4月24日
開催会場:外埔永豊、后里馬場森林、豊原葫蘆墩公園
URL(日本語):http://2018floraexpo.tw/Jp/


Report:Gakuto.Fujiwara
Photo:GIANT
Amazon.co.jp 
の画像 アタック
投稿者: 佐藤 喬
出版社: 辰巳出版 (2017)
装丁: 単行本(ソフトカバー), 192 ページ
の画像 敗北のない競技:僕の見たサイクルロードレース
投稿者: 土井 雪広
出版社: 東京書籍 (2014)
装丁: 単行本(ソフトカバー), 187 ページ