6月11日に行われた、日本最大のヒルクライムイベント「Mt.富士ヒルクライム」(以下、富士ヒルクライム)。その中から、主催者によって選ばれた約50名のアスリートたちが出走した主催者選抜クラスの上位陣の愛車を紹介しよう。



1位 兼松大和さん (TeamGreenRoad) スコット ADDICT-SL

1位 兼松大和さん (TeamGreenRoad) スコット ADDICT-SL 1位 兼松大和さん (TeamGreenRoad) スコット ADDICT-SL
バーテープは省略されているバーテープは省略されている 今年はサイクルコンピューターを装着した今年はサイクルコンピューターを装着した


遂に悲願の優勝を果たした兼松大和さん。「昨年のスプリント勝負での悔しさをバネに練習に取り組んできました」との言葉通り、見事な勝利を飾ることに成功した兼松さんの愛車は一昨年から引き続き、スコットのヒルクライム用軽量バイク、ADDICT-SLだ。

パーツ構成の大部分は昨年と変わらず、駆動系は軽さを重視したスラムのRED22を使用し、ブレーキもKCNCの超軽量モデルというアセンブルは同じで、異次元の回転を誇るペダルや超軽量のオリジナルピラーといった部分もこれまで実績を積んできた信頼性のあるパーツを引き続き使用している。

ホイールはのむラボホイール5号、タイヤはヴィットリア CORSA SPEEDホイールはのむラボホイール5号、タイヤはヴィットリア CORSA SPEED ブレーキはKCNCの超軽量モデルだブレーキはKCNCの超軽量モデルだ

シューズはレイクの軽量モデルCX301を着用シューズはレイクの軽量モデルCX301を着用 アーレンキーで締まるタイプのクイックアクスルを使用アーレンキーで締まるタイプのクイックアクスルを使用


大きな変更点はホイールだ。昨年は軽量なカーボンホイールを使用していた兼松さんだが、今年は大阪のプロショップ「のむラボ」のオリジナルアルミホイール、「のむラボ5号」を前後輪とも使用した。「ライトウェイトも持っていて、斜度がきつければそちらの方が速いです。でも、富士ヒルクライムはそこまで厳しい激坂があるわけではなく、ある程度スピードに乗せやすいコースなので、そこまで軽量化を突き詰めることもないかなと。それよりも、よくグリップしてくれるタイヤが選べて、そこそこ軽くてかかりもいいホイールとしてのむラボ5号を選んだんです」とそのチョイスの理由を語ってくれた。

また、バーテープレスでサイクルコンピューターを装着しているのも昨年からの違い。「バーテープを剥がしたのは、下ハンドルよりもブラケットのほうが、自分はスプリントでパワーが出せることが分かったからですね。ロードレースのような駆け引きがあるので時間や距離を見るためにサイクルコンピューターもつけました」とのことだ。

また、シューズも軽量モデルに。片側190gという驚きの数字を叩き出すレイクのハイエンドモデルCX301を今年から使い始めたとのこと。あまりの軽さに、まるで何も履いていないような感覚がするほどなんだとか。



2位 森本誠さん (GOKISO) ヨネックス CARBONEX

2位 森本誠さん (GOKISO) ヨネックス CARBONEX 2位 森本誠さん (GOKISO) ヨネックス CARBONEX
果敢なアタックを仕掛け、その強さを見せつけた「山の神」こと森本誠さん。「逃げ切るつもりでアタックしたんです。捕まった時も、去年はスプリントで勝てたので捲れるかな、と思っていたんですが兼松さんは強かったですね。ホビーのヒルクライムでは久しぶりの黒星ですが、全体のレベルが上がっていることを実感します。5年前まではこんなレベルで登れる人はいなかったですから」とレースを振り返った。

機材については昨年まではパーリーとフェルトを使い分けていたが、今年からフレームをアンダー700gという超軽量のヨネックス CARBONEXへとスイッチ。「以前に使っていたフレームとはキャラクターがかなり違っていて、適度なしなりがあるフレームです。おきなわや全日本といった長距離のロードレースで脚を残せるようなフレームが欲しかったんですよ」という。

コンポはスラムRED22コンポはスラムRED22 コンチネンタルのスーパーソニックにラテックスチューブを組み合わせているコンチネンタルのスーパーソニックにラテックスチューブを組み合わせている

ゴキソの軽量モデル、クライマーハブを使用ゴキソの軽量モデル、クライマーハブを使用 サドルはPROのTURNIXを使用サドルはPROのTURNIXを使用


電動コンポーネントのフィーリングよりも、確実な操作感のある機械式が好みだという森本さんのチョイスは軽量なスラムRED22。ホイールはもちろんゴキソのコンプリートホイールで、通常のゴキソハブより100g軽量なクライマーハブを使用したモデルを選択している。

タイヤもゴキソの推奨アセンブルで、コンチネンタルのスーパーソニックにラテックスチューブを組み合わせている。軽く、また転がり抵抗も低い組み合わせで、大きなアドバンテージになっている。一方、昨年使用していたゴキソのBBは使用せず、9000系デュラエースのクランクセットを使用している。



3位 大久保知史さん (チーム亀風) ヨネックス CARBONEX

 3位 大久保知史さん (チーム亀風) ヨネックス CARBONEX 3位 大久保知史さん (チーム亀風) ヨネックス CARBONEX
最終局面まで先頭の2人に食らいつき、3位に入った大久保さん。森本さんと同じく、今年からヨネックスのCARBONEXへと機材を乗り換えたという。以前はスコット ADDICTを使用していたということで、「かなりキャラクターの違うフレームですが、個人的には軽くて柔らかいヨネックスがフィットしますね」と、機材変更は成功だったよう。

パーツアッセンブルは軽量性重視で、とにかく軽さを追求しているとのこと。バーテープのみならず、ブラケットカバーまで外してしまう徹底ぶりで、5.6kgまでダイエットに成功している。「軽さにこだわるといっても、上位のみなさんとはそこまで大きく変わらないかな、と。とにかく機材面でビハインドを背負わないように工夫しています。財布の問題もありますので、コストパフォーマンスは大切ですね!」と2児の父である”パパクライマー”らしいコメント。

ブラケットフードまで外しているブラケットフードまで外している ホイールはライトウェイトホイールはライトウェイト

サドルはセライタリアSLR、シートピラーはウッドマンだサドルはセライタリアSLR、シートピラーはウッドマンだ クランクはコンパクトを使用していたクランクはコンパクトを使用していた


コンポーネントは10速のスラムRED。ブレーキは「森本さんがずっと使っていたのに憧れていたんです」というKCNCの軽量キャリパーを組み合わせる。ホイールはライトウェイトを組み合わせており、ヒルクライムマシンとして隙の無いレーシングスペックに仕上がっている。



4位 田中裕士さん (グランペール) トレック EMONDA SLR

4位 田中裕士さん (グランペール) トレック EMONDA SLR 4位 田中裕士さん (グランペール) トレック EMONDA SLR
バーテープは省略されているバーテープは省略されている AX LIGHTNESSのコンプリートホイールAX LIGHTNESSのコンプリートホイール


大久保さんと共に最終局面まで残り4位に入った田中さんの愛車は、アメリカのトップブランドたるトレックのフラッグシップヒルクライムモデル、EMONDA SLRだ。「去年は、Tarmac SL3を使っていたんですが、このバイクに乗り換えて合計で1kgほどの軽量化に成功しました」という。「Tarmacはかなり剛性が高くて、EMONDAはかなり踏みやすくなって登りでは明らかにフィットするようになりました。今年はヒルクライムレースで3連勝していて、本当に良いバイクだなと思っています」と新たな相棒に大きな信頼を寄せている様子。

コンポーネントはスラムRED22を使用し、クランクのみシマノ9000系デュラエースにパイオニアのパワーメーターを組み合わせた。サイクルコンピューターを使用しない選手も多い中で、田中さんはガーミンを使用。「レースでは負けましたが、STRAVAのKOMはいただきました(笑)」という田中さんは、なんと400以上のKOMを持っているんだとか。

ハブはエクストラライトハブはエクストラライト パイオニアのパワーメーターを装着したデュラエースクランクを使用パイオニアのパワーメーターを装着したデュラエースクランクを使用

落車の痕が生々しい落車の痕が生々しい 普段はのむラボホイールを愛用しているのだとか。トップチューブに蟹光線(イブセマスジー)ステッカーが普段はのむラボホイールを愛用しているのだとか。トップチューブに蟹光線(イブセマスジー)ステッカーが


ホイールはドイツのマニアックな軽量パーツブランド、AX LIGHTNESSのコンプリートホイールで、AXの超軽量リムとイタリアのエクストラライトのハブを組み合わせることで、前後セット780gという驚きの一品。軽量ホイールながら、しっかりと剛性もありヒルクライムにピッタリなんだとか。

今回の富士ヒルクライムにはかなり高いモチベーションだったというが、なんとレースが迫る中で落車してしまったのだという。「実はホイールも、もともとはのむラボさんのカーボンホイールを使うつもりだったんですが、タイヤをダメにしてしまって、急きょ知り合いに借りてきたんです。」とのことで、大会当日も痛み止めを飲んで出走したという。「DNSも考えたのですが、サンボルトさんに富士ヒル使用のワンピースを作ってもらったのもあって、出ないわけにはいかないなと。ゴールドが取れればいいなと思っていたくらいだったんですが、予想以上の結果が残せて良かったです」とのことだった。



5位 星野貴也さん (COWGUMMA) トレック DOMANE 4.3

5位 星野貴也さん (COWGUMMA) トレック DOMANE 4.3 5位 星野貴也さん (COWGUMMA) トレック DOMANE 4.3
5位に入った星野さんの愛車は、トレックのエンデュランスロードであるDOMANE4.3。ヒルクライムレースながら、エンデュランスバイクを選んだ理由については、「もう一つのフレームがトーヨーのスチールフレームで、今年は少しでも軽いバイクがいいかなと1台目のロードバイクにパーツを乗せ換えてきました。ダンシングやアタックでは少しキレが足りないですが、淡々とシッティングで回していくと安定感があるので、ヒルクライムでも良かったですね」とのこと。

メインコンポーネントはシマノのアルテグラでまとめつつ、クランクのみデュラエースを使用。ホイールもシマノのデュラエースグレードのローハイトカーボンチューブラー、WH-R9000-C24TUを組み合わせており、メインのパーツ類はシマノ系で固めている。

ぎりぎりのクリアランスを確保しているステムとダストキャップぎりぎりのクリアランスを確保しているステムとダストキャップ ブレーキフードにはシェイクスを採用ブレーキフードにはシェイクスを採用

シマノPROのショートノーズサドルを使用シマノPROのショートノーズサドルを使用 ブレーキキャリパーはFSAのK-ForceブレーキキャリパーはFSAのK-Force


一番のこだわりポイントはポジションとのことで、「トーヨーと出来るだけ同じポジションに近づけたくて、フィジークのマイナスライズのステムと、ウッドマンの3mmハイトのダストキャップを使っているんですが、その組み合わせだとステムとキャップが干渉してしまうので、0.25mmのスペーサーを2枚挟んでいるんです」と星野さん。確かによく見ると、ステムの下側とヘッドキャップの間には紙一枚程度のクリアランスが確保されていた。

そして、ブレーキフードにはブルーのシェイクスを使用。「ブラケットがボロボロになっていたので、どうせ交換するなら使ってみたいなと。実際は大きく期待していたわけではないんですが、素手で握るとグリップの高さは感じましたね」とのことだった。



6位 嘉瀬峻介さん (山形大学トライアスロン部) トンプソン SIRIUS SL

6位 嘉瀬峻介さん (山形大学トライアスロン部) トンプソン SIRIUS SL 6位 嘉瀬峻介さん (山形大学トライアスロン部) トンプソン SIRIUS SL
富士ヒルクライム初参加にして6位に入った嘉瀬さんが駆るのは、ベルギーのトンプソンのカーボンバイク、SIRIUS SLだ。ベルギートリコロールに塗られたビビッドなデザインのバイクは、ベルギーブランドらしく安定性や衝撃吸収性に長けている乗り味が特徴なんだとか。

「以前はキャノンデールのCAAD9に乗っていて、初めてのカーボンバイクだったのですが、思っていたより突き上げも少ないですしとても走らせやすいバイクでした」という。コンポーネントはCAAD9から乗せ換えているとのことで、6600系アルテグラSLを中心に、消耗したパーツを6700、6800系に交換してきたのだとか。

ステムには勝負所のメモがステムには勝負所のメモが ヴィットリアのCRONO CSヴィットリアのCRONO CS

フロントハブはアメリカンクラシックフロントハブはアメリカンクラシック リアハブはチューン、反ドライブ側は結線しているリアハブはチューン、反ドライブ側は結線している


ホイールはノーブランドのカーボンリムを使用した手組ホイールで、昨年7位に入った同郷の武田さんから譲ってもらった一品。フロントハブはアメリカンクラシック、リアハブはドイツのチューンを使用しており、前後で950gという軽さに仕上がっている。また、タイヤもTT用のヴィットリア CHRONO CSを使用している。

ステムには勝負所をメモしており、距離を確認するためにサイクルコンピューターも装着している。最初は、斜度表を作っていたが全体を通して大きな変化が無いため、前日の試走で斜度が厳しいと感じた地点をピックアップすることにしたという。



7位 宿谷英男さん (べアーベル) ニールプライド BURA SL

7位 宿谷英男さん (べアーベル) ニールプライド BURA SL 7位 宿谷英男さん (べアーベル) ニールプライド BURA SL
入賞者の中で唯一電動コンポーネントを使用する入賞者の中で唯一電動コンポーネントを使用する AX LIGHTNESSのSRT 24mmリムAX LIGHTNESSのSRT 24mmリム


「今回の入賞者の中でも最年長なんですよ!」という宿谷さんの愛車は、ニールプライドのヒルクライムモデル、BURA SL。宿谷さんのこだわりは「多少の重量が嵩んでも、カッコいいことです!」とのこと。以前のバイクはマット仕上げだったのに対し、このバイクはグロス塗装で、しかもガラスコーティングも施すことで、ピカピカに磨き上げているんだとか。

バーテープの飾りテープやコラムスペーサー、クイックレリーズや各種ボルトなどもフレームカラーのブルーに合わせてコーディネートされており、愛車のルックスに関するこだわりは入賞者の中でも一番。コンポーネントも入賞者の中では唯一電動コンポーネントを使用していることも特筆すべきポイントだろう。

シューホルダーに夢屋を使用シューホルダーに夢屋を使用 主要なポイントの距離メモをトップチューブに張り付けていた主要なポイントの距離メモをトップチューブに張り付けていた

TNIの軽量サドルFETHERを採用するTNIの軽量サドルFETHERを採用する THM Clavicula SEを採用するTHM Clavicula SEを採用する


ホイールはAX LIGHTNESSのSRT 24mmリムを使用した手組ホイール。フロントハブはアメリカのエルフ、リアハブはDTスイスという仕様だ。ブレーキはケーンクリークのEE-BRAKEで、シューホルダーにシマノの夢屋を組み合わせるというエンスーな組み合わせ。

もっとも特別感のあるのはクランクで、ドイツのTHM社のスピンドルに至るまでカーボンで製作されたClavicula SEを装着。その重量は市販最軽量の300g。一方で、電動コンポーネントの力に対応すべく、チェーンリングは冷間鍛造に定評のあるプラクシスワークスを使用するなど、メリハリの効いた選手らしいアセンブルが特徴だった。



8位 大島浩明さん キャノンデール SUPERSIX EVO Hi-mod NANO

8位 大島浩明さん キャノンデール SUPERSIX EVO Hi-mod NANO 8位 大島浩明さん キャノンデール SUPERSIX EVO Hi-mod NANO
ガーミンのEDGE510Jを使用するガーミンのEDGE510Jを使用する ホログラムSISL2のパイオニアモデルホログラムSISL2のパイオニアモデル


8位に入った大島さんの愛車は、量産バイクとして初めてアンダー700gを実現し話題をさらったキャノンデールのSUPERSIX EVOの限定モデル「NANO」だ。欧州プロのようなサイズ感のバイクながら5.5kgという軽さに仕上がっている、こだわりの一台である。

しかし、もっとも注力したのは軽量化よりも駆動抵抗の低減なのだという。「少しでもエネルギーを無駄にしたくないので、回転系のパーツは最高のものを選びました」ということで、カーボンドライジャパンのビッグプーリーケージにセラミックベアリングのプーリ―を使用、ボトムブラケットはトーケンのティラミックベアリングを使用している。

ドイツ製の9gのボトルケージドイツ製の9gのボトルケージ ビッグプーリーにセラミックプーリーが組み合わせられるビッグプーリーにセラミックプーリーが組み合わせられる

サンマルコのフルカーボンサドルに富士浅間神社のお守りが下げられたサンマルコのフルカーボンサドルに富士浅間神社のお守りが下げられた チェーンはサクラのSLFチェーンを使用チェーンはサクラのSLFチェーンを使用


極めつけはチェーンで、最近ストイックなアスリートを中心に話題を呼ぶワックスコーティングモデルを使用。「サクラさんのSLFチェーンを使っているのですが、全然抵抗感が違いますね。決戦用として普段は温存しているのですが、普段のチェーンから交換するといつも感動します」というほどの軽さなのだとか。他にも、ドイツ製の9gのボトルケージやパワーメーター装着クランクとしてはおそらく市販最軽量である、ホログラムSISL2のパイオニアモデルなど、こだわりが詰まったバイクに。

勝負と割り切ってメーターを付けない選手も多い中、パワーデータを活用する大島さん。「今回も早い段階で先頭集団からは遅れましたが、自分のペースを保って登ることで8位に入ることができたので、パワーは必須ですね」とのこと。一方で、お守り代わりのネックレスは外さないという、ジンクスを大切にするという一面も覗かせてくれた。


text&photo:Naoki.YASUOKA
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投稿者: 野村 克也
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監督: 井上梅次
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レーティング: NR - Not Rated