国内で唯一UCIの定めるHC(超級)レースとして開催されるジャパンカップ。年を重ねるごとに人気と賑わいを増す日本サイクルロードレース最高峰のイベントだ。その本戦が行われる宇都宮森林公園にあるジャパンカップコースの攻略法を探り出す。



宇都宮市森林公園周回ジャパンカップコース(ジャパンカップ2015より)宇都宮市森林公園周回ジャパンカップコース(ジャパンカップ2015より) photo:Kei Tsuji
1990年に日本で開催された世界選手権自転車競技大会の舞台となった宇都宮市森林公園のコースをベースにレイアウトされた現在のジャパンカップコース。1周10.3kmのコースには登り、下り、平坦といったサイクルロードレースに必要不可欠なシュチュエ―ションが散りばめられており、その過酷さはツール・ドフランスの山岳ステージにも勝るとも劣らないという。

第1回大会から第3回大会までは現在とは反対周りの右回りで使用され、第4回大会から現在の左回りで使用されるようになったジャパンカップコース。更には1997年からは萩の道、多気射撃場、鶴カントリーの登りが加えられ、14.1kmの周回コースを形成し、10周回+小周回の計151.3kmで争われていた。しかし2015年の台風大雨被害により、現在では従来の10.3kmのコースに縮小され距離も10.3km×14周の144.2kmとなっている。

古賀志林道に並ぶ難所として好評を博した鶴カントリーの登り古賀志林道に並ぶ難所として好評を博した鶴カントリーの登り 森林公園の外側を走る多気射撃場ポイント森林公園の外側を走る多気射撃場ポイント


今回は従来通りの10.3kmの周回をより速く、レースで勝利するための攻略法を探求。うつのみやサイクルピクニックを走って分かった古賀志林道の走り方や、勝負所となるポイント、はたまた観戦ポイントなどをお伝えしようと思う。

まず最初にスタートフィニッシュ地点である宇都宮森林公園駐車場をスタートして通るのが、補給地点の登り。道幅が広くプロ選手が出場する国際レースでは補給所として活用されるこの区間は、以外に気を抜けない重要なポイント。ここでなるべく集団の前に上がることで、この後通過する赤川ダム沿いや古賀志林道の登り始めでより優位な位置を確保することが出来る。

赤川ダム沿いの道は穏やかな情景とは裏腹にハイスピードでレースが展開される区間赤川ダム沿いの道は穏やかな情景とは裏腹にハイスピードでレースが展開される区間
その後の赤川ダム沿いは走りやすい平坦な道となっているためハイスピードで駆け抜けることになるだろう。集団走行を難なくこなせるのであれば問題はないが、この地点で集団後方に下がってしまった場合は前に上がる努力が必要となる。

その後にある古賀志林道の登りに続く林道区間は、コーナーの連続や橋の段差、砂などでの落車に注意したい。だが、異常なほどスリッピーな路面という訳ではなく、気を抜いていると足元すくわれる程度の路面状況と言う程度なので、レースに挑む緊張感を持ってすれば大丈夫だろう。もちろん古賀志の登りに向けてのペースアップとコーナーの連続で、集団の後ろにいればいるほどストップ&ゴーを強いられるため、集団前方で展開するのが基本だ。

左側に緑色のガードレールが現れると古賀志林道の登りが始まる左側に緑色のガードレールが現れると古賀志林道の登りが始まる 顔を歪めながら登っていくサイピク参加者達顔を歪めながら登っていくサイピク参加者達

古賀志林道を全体で迫力いっぱいに観戦できるポイントがこの高台からのアングル古賀志林道を全体で迫力いっぱいに観戦できるポイントがこの高台からのアングル
しっかり前の選手に付いて行きここで遅れることのないようしっかり前の選手に付いて行きここで遅れることのないよう 頂上付近では悪魔おじさんみたいな人が応援している頂上付近では悪魔おじさんみたいな人が応援している

そしていよいよ始まる古賀志林道は距離1.1kmで高低差100m、平均勾配9%で最大勾配は12%となる。ゴールにはKOM(山岳賞ポイント)が設けられる。因みに日本サイクルスポーツセンターの5kmサーキットが高低差100mで最大勾配12%ということなので、国内のロードレースを転戦している方にとっては大したことないという訳でもないが、特段難易度が振り切っているという訳でもないのだ。

ただ、ジャパンカップという国内最高峰のレース会場であるという事、スタートから僅か1kmで登り始めてしまうという事もあり、先頭を引く選手のペースはどのカテゴリーのレースに出場したとしても非常に速いだろうと予想出来る。だからといってそのハイペースに付いていく必要はない。残り多くの大集団の中に残れるペースで登れさえすればレースに生き残ることが出来るだろう。

定番の撮影スポットなのだ(ジャパンカップ2016より)定番の撮影スポットなのだ(ジャパンカップ2016より) photo:Makoto.AYANO
もちろんこの古賀志林道は観戦スポットとしても最高の場所だ。登り始めから600m地点のあたりには綺麗な円形を描いたつづら折りが登場する。いかにもサイクルロードレースの登りといった雰囲気のコースは様々なアングルから見ても魅力的な景色を見せてくれるが、CW編集部がオススメしたいのはその外側の高台だ。曲がり始めから曲がり終わり、その上に登っていく様子まで眺めることが出来るこのスポットは古賀志林道のベスト観戦スポットと言えるだろう。

登りが終わると非常にテクニカルな下り区間が登場する。正直、ライダーのテクニックを非常に問うため、古賀志林道の登りでタイムを奪ったとしても、下りが得意でない選手は一瞬でその努力が水の泡となる可能性がある。逆に下りに自信がある人には巻き返しのチャンスとなるが、くれぐれも無理だけはせず自信の安全マージンを意識して下って欲しい。過去凄惨な事故がなかった訳ではない。

下りは非常にテクニカルだ下りは非常にテクニカルだ コーナー手前でしっかりブレーキングしようコーナー手前でしっかりブレーキングしよう

テクニカルな下りをこなすと後は下り基調の巡航パートテクニカルな下りをこなすと後は下り基調の巡航パート ジャパンカップのポイントの一つジャパンカップのポイントの一つ"牧場"


テクニカルな下り区間が終わると下り基調のストレートが続く。なるべく急勾配のテクニカル区間で得たスピードを殺さず巡航に持っていきたいため、テクニカル区間がどこで終わり、どこから踏み直していいのか試走時にチェックする必要があるだろう。また可能であればここで集団前方に上がる努力が必要だ。この先の区間で横風による中切れの可能性がある。

そのまま広場や牧場といったチェックポイントを過ぎると県道入り口交差点に到達。ここまで何らかの遮蔽物によりそこまで風の影響を受けなかった下り基調区間だったが、交差点を左折すると天候によっては強めの風が襲ってくるかもしれない。もちろん少人数では非常に厳しい区間となるため大きな集団で風によるパワーロスを極力防ぎながら進みたい。もちろん中切れに注意しよう。

県道の平坦区間を行くプロトン(ジャパンカップ2016より)県道の平坦区間を行くプロトン(ジャパンカップ2016より) photo:Makoto.AYANO
その後、田野町交差点を左に左折するとゴールに向かっての登りが始まる。序盤は勾配が緩く、後半にかけてより斜度が上がるため、ゴールに向けて勝利のためのアタックをかける際は自分がどのような斜度のプロフィールであれば最後まで力が持つのかしっかり検討しておく必要があるだろう。ゴール前の急坂は勝負所として有名だ。

そして田野町交差点はジャパンカップコース平坦区間の観戦場所として人気がある場所。ハイスピードで左カーブを曲がる集団の姿は古賀志林道の登りとは違うダイナミックな迫力を見せてくれる。ゴールまで残り3kmということもあり、勝負がかかる周回では選手同士の駆け引きが見れる事も。付近にはコンビニや商店があり観戦環境としても申し分ないスポットだ。

田野町交差点から森林公園へと緩斜面を進んでいくプロトン(ジャパンカップ2016より)田野町交差点から森林公園へと緩斜面を進んでいくプロトン(ジャパンカップ2016より) photo:Makoto.AYANO
ここまでで、もしもあなたがレースの先頭で展開することが出来たなら、後は後ろを見ずに足が千切れそうになるのを我慢しながらペダルを踏み倒すだけだ。そうすればジャパンカップの勝利の女神はあなたの元にも舞い降りるだろう。どのカテゴリーであってもこの勝利は大きく偉大なものだ。

text:Kosuke.Kamata
photo:Naoki.YASUOKA


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