キャノンデール・ジャパンの”カズ”こと山本和弘さんの音頭により3月某日に開かれたSLATEグラベルライド。多摩川の河川敷をコースとしたこのアドベンチャーライドの模様を、オフロード走行初心者であるCW編集部新人ムラタがレポートをお届け。



春の陽気を感じられる多摩川の河川敷春の陽気を感じられる多摩川の河川敷
サスペンションへエアーを送り適切なセッティングにサスペンションへエアーを送り適切なセッティングに バイクを並べて記念撮影バイクを並べて記念撮影


事の発端はカズさんから編集部に届いた1通のメール。聞けば、カズさんが集めた仲間内でオフロードを攻めるプライベートライドを企画しているとのこと。ライドに使用するのはキャノンデールのサス付きロードバイクであるSLATEだ。SLATEと言えば毎度カズさんと仲良く走りに行っている同編集部のイソベ先輩の出番かと思いきや、今回は他用が重なり、かつ編集長も海外出張で不在。これはチャンスとばかりに、私ムラタが真っ先に手を挙げさせてもらった。

都内から手軽にグラベルを楽しめる場所としてカズさんが選んだのが多摩川の河川敷。堤防上は舗装されたサイクリングロードも整備されている多摩川だが、あえて砂利道や芝生、草木が広がった河川敷のオフロードをSLATEで攻めるところに面白さがあるという。

本日のライドメンバーはこの5名、いざ出発本日のライドメンバーはこの5名、いざ出発
砂利道ではしっかりバイクをコントロールさせながら進む砂利道ではしっかりバイクをコントロールさせながら進む 舗装路でなくても快適に走れる舗装路でなくても快適に走れる


ロードバイク歴は丸6年にもなる私だが、最近ようやくシクロクロスを始めたばかりで、オフロードを自転車で走る経験はほぼゼロに近いといってもいい。実際、実業団ロードにも出場してる私はオンロードを走らせたら編集部イチ速い自信があるが、グラベルなどオフロードとなるとビビってしまい、ナメクジほどのスピードでしか走れないことはもはや編集部の誰しもが知るところである。

それに加え今回のライドが新人ムラタ初となるソロ取材。グラベルライドいいなーと先輩たちから煽りをくらうが、私自身はそれどころではない。SLATE初体験となるライドに期待を膨らませながら、不安要素を多々抱えつつ複雑な心持ちでその日はやってきた。

サイクリングロードも整備された多摩川に沿って北上していくサイクリングロードも整備された多摩川に沿って北上していく
細い隙間もスイスイっと進む須崎さん細い隙間もスイスイっと進む須崎さん さすがに堤防は押して登るさすがに堤防は押して登る


この日集まったのはキャノンデール・ジャパンのカズさんと同営業の岡村さん。アソスやナリフリ等のサイクルアパレルを数多く取り扱うショップTOKYO Wheelsの小川さん、モデルやタレントとして活動しながらトライアスロンやMTBイベントにも積極的に参加しているRENさん。そして、多摩川沿いに店舗を構えるAbove Bike Storeの須崎さんと私の6名だ。

車からSLATEを下ろすと手早くセッティングを始めるカズさん。このバイクを最大限楽しむためには、特徴的なレフティのサスペンションとタイヤの空気圧を走るシチュエーションに合わせ最適な調整をすることが重要だと言う。ダイヤルによる戻りの速さの調整や、ワンプッシュでサスロックが掛かる機構などSLATE専用のレフティフォークにはギミック満載で、それを一つ一つ丁寧に説明してもらう。

多摩川に架かる橋や線路を今日はいくつくぐっただろうか多摩川に架かる橋や線路を今日はいくつくぐっただろうか 草木が茂るシングルトラックを行く草木が茂るシングルトラックを行く

河川敷で遊ぶ子どもたちの注目の的となった我々6人組河川敷で遊ぶ子どもたちの注目の的となった我々6人組 川岸を走る一行川岸を走る一行


また、今回の砂利道には空気圧は3気圧前後がピッタリなんだとか。「オフロードを走る時に低圧にし過ぎてタイヤがヨレては安定しないし、高圧でも弾かれる。そこの加減を見ながら空気圧は決めていくんです」というカズさん。普段のロードなら考えなしに7気圧で走りだす私だが、なんとも奥が深い。

東急多摩川駅付近から河川敷へ降り、野球場やサッカー場で遊ぶ子どもたちを横目に走りだす。そうか、今は春休みなんだなと実感しつつ、自分も仕事なのか遊びなのかとツッコまれる前にこの話は終わりにしよう。須崎さんが途中で合流したところで、本日集まった計6台のバイクを並べてみる。大規模な試乗会や体験会でもない限りこれだけのSLATEを拝むことはないだろう、圧巻の眺めである。

走るフィールドは選ばない、それがSLATE走るフィールドは選ばない、それがSLATE
バイクを担いで進む道も現れる。さすがアドベンチャーライドバイクを担いで進む道も現れる。さすがアドベンチャーライド 道幅狭く不安定な路面がライドの難易度を上げる道幅狭く不安定な路面がライドの難易度を上げる


基本的には堤防から1段下がった河川敷へ入る車の通行用の砂利道を進む。時折、堤防を駆け上がってサイクリングロードへ出てみたり、はたまた河川敷の芝生の上や歩行者が踏み固めたであろう川岸のシングルトラックを攻めてみたり。普通のロードバイクではなかなかしんどいであろう道も、サスペンションとタイヤボリュームのおかげで、このSLATEなら無理なく突っ込んでいけるのだ。

走ってみるとオフロードの不安定な路面を前に、タイヤがスリップするかしないかという緊張感と、バランスを崩したら転んでしまうというスリル感がたまらなく面白い。かく言う私も、ロードバイクは舗装路を高速域で走ってこそ楽しいものだと思っていたが、オフロードを軽快に走ることがこんなにも面白いとは。これはかなり中毒性の高い遊び方だぞ。

消耗したRENさん、たまらず須崎さんから補給を受け取る消耗したRENさん、たまらず須崎さんから補給を受け取る 激しいオフロードに時にはパンクも激しいオフロードに時にはパンクも

かっこいいライディングフォームで静止するRENさん…かっこいいライディングフォームで静止するRENさん… …と思いきや、狭い高架下スペースに見事にすっぽり挟まっていた(笑)…と思いきや、狭い高架下スペースに見事にすっぽり挟まっていた(笑)


先導するカズさんとそれに続く須崎さん、岡村さんは手慣れたものであっと言う間に先へ行ってしまう。最近自転車乗れていないんだよーと弱音を吐きながらも、持ち前のテクニックの高さでスイスイ進んでいくRENさんと、オフロードはほとんど走ったことがないという小川さんも楽しげだ。私はと言うと、終始ビビりながら引きつった笑顔を浮かべ、集団最後尾を定位置にマイペースに進む。

急な堤防を駆け下りる時はしっかり腰を引いて重心を安定させながら、細いシングルトラックを進む時は体全体でバランスを取りながらバイクをコントロール。普通にロードバイクでサイクリングするだけでは絶対にしないような乗り方で数々の障害を乗り越えていく。慣れないオフロード走行に、道中何度か転んでしまった私だが、路面がアスファルトでなかったため体へダメージはほぼない。それよりも、肩にかけていた仕事道具であるカメラが無事か慌てて確認するのであった。

ランチは「福生のビール小屋」で。看板の”多満自慢”は石川酒造が造る日本酒の銘柄ランチは「福生のビール小屋」で。看板の”多満自慢”は石川酒造が造る日本酒の銘柄
程よい疲労が料理に最高のスパイスとなる程よい疲労が料理に最高のスパイスとなる オシャレな料理と雰囲気でデートスポットにも最適オシャレな料理と雰囲気でデートスポットにも最適


多摩川駅付近からひたすら河川敷を北上していき辿り着いたのは、今日のランチ場所、福生市にある石川酒造敷地内のレストラン「福生のビール小屋」。オシャレな佇まいの店内では美味しいイタリアンとビールが楽しめる、デートにももってこいの人気スポットである。いやー、呑みたくなるねえとお酒好きの面々は自転車で来たことを残念がりつつも、見た目も美しい料理に舌鼓を打つ。食後のマッタリした空気に眠気が襲ってくる前に、さて出発だ。

ウォーマーを着なくても寒くない日中の暖かな気温に春を感じつつ帰路につく。基本的には来た道と同じコースを選択。時にはパンクもあるけれど、それはご愛嬌。もはや走り慣れたダート道に皆のペースも上がる。太いタイヤ幅ながら、SLATE専用に作られた薄いスリックタイヤのおかげでロードバイクらしい軽快な走行感はそのままなのは本当に驚きである。

やってみたかったんだよねと、RENさん待望のシクロワイアード撮りやってみたかったんだよねと、RENさん待望のシクロワイアード撮り
Above Bike Storeに寄ってパン休憩Above Bike Storeに寄ってパン休憩 カズさんはSLATEをどうカスタマイズしていくのだろうカズさんはSLATEをどうカスタマイズしていくのだろう


帰りはAbove Bike Storeに寄り道して休憩。お店で淹れてくれたコーヒー片手に、道中購入したパンを頬張る。店内では”カズさんのかんがえたさいきょうのSLATE”を実現するべく、須崎さんとともにバイクのカスタマイズ話で盛り上がっていた。

終えてみると今日の走行距離は約80km、その8割以上は未舗装路であっただろう。路面から来る振動で走行距離以上の疲労が筋肉に襲いかかっているものの、走行距離以上の充実感が同時にそこにはあった。こんなジャンルの自転車遊びがあったのかと新たな発見をした1日であった。これだから自転車はやめられない。

アドベンチャーライド終了、お疲れ様でした!アドベンチャーライド終了、お疲れ様でした!
text&photo:Yuto.Murata

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