愛媛県がサイクリングを活用した地域振興策として「四国一周サイクリング1,000kmルート」を発表した。人気のしまなみ海道に続き、サイクリングで四国全体を盛り上げたいという取り組みを明らかにした。



四国一周PRフラッグを手に門田選手、中村知事、一⻘ 妙さん、ノッてるガールズ愛媛の皆さん四国一周PRフラッグを手に門田選手、中村知事、一⻘ 妙さん、ノッてるガールズ愛媛の皆さん
愛媛県庁で3月14日開催した記者発表会には、自転車を活用した振興策を進める中村知事が挨拶。四国一周サイクリングPR大使となる女優・エッセイストの一青妙(ひとと たえ)さんが登場し、中村知事から任命の証として委嘱状と「サイクリングアイランド四国」のサイクルベストを受け取った。

中村知事から一⻘ 妙さんに四国一周サイクリングPR大使委任状とベストが手渡された中村知事から一⻘ 妙さんに四国一周サイクリングPR大使委任状とベストが手渡された サイクリングアイランド四国プロジェクトパートナー&ルート監修者の門田基志選手(ジャイアント)サイクリングアイランド四国プロジェクトパートナー&ルート監修者の門田基志選手(ジャイアント)


中村知事とルート監修アドバイザーを務めたプロサイクリストの門田基志選手(ジャイアント)によって発表されたのは、愛媛県をスタートとして四国を右回りに周遊する「四国一周1000キロルート」。この1000キロはあくまで基本ルートとなり、サイクリスト目線で選定したモデルルートだという。四国4県の海岸線をつなげ、約10日で走りきる設定となっている。

門田基志選手(ジャイアント)によって四国一周1000キロルートが発表された門田基志選手(ジャイアント)によって四国一周1000キロルートが発表された 四国一周サイクリングPR大使に任命された一⻘ 妙さん四国一周サイクリングPR大使に任命された一⻘ 妙さん 実際に走って四国一周のルートを設定した門田さんは、「サイクリストにとって大事な”安全"を確保したうえで、見せるべき日本をどう見せるかを考えてルート設定をした。立ち寄りたい場所はあまりに多いが、一周した達成感を味わえることを重視してルートを決定しています。お遍路文化が根付いている四国には”お接待”と呼ばれる旅人へのおもてなしの文化があり、各県で違う方言や味・グルメがあり、日本人だけでなく世界から来た人でも楽しめる。国際的にも『日本を走る=四国を走る』というルートとして発展していければと思っています」と話す。

走るサイクリストそれぞれによるルートアレンジは自由であり、あくまで四国の魅力を存分に味わえる一周ルート設定になっている。今後はレベル別にルートを設定したり、県ごとに独自のルートを設定する動きにつながればという。近い将来にはこのコースに愛媛県で実施しているブルーライン(路側帯の青い線でサイクルルートであることを示す)を引きたいという計画だ。

一⻘ 妙さん「サイクリングでつながる四国と台湾!」一⻘ 妙さん「サイクリングでつながる四国と台湾!」 今回の発表とPRの目的にあるのは「サイクリングアイランド四国」構想だ。この一周ルートを国内外に情報発信することで、四国のサイクリングの認知度を高め、交流人口の拡大を図ると共に、来訪者の増加による地域振興を目指す。

アイデアは愛媛県が近年サイクリングで交流を進めてきた台湾において、台湾一周サイクリング「環島(ホァンダオ)」(約900km)が盛大な人気を集めていることから、それにならい、また台湾や世界各国への呼びかけにより四国を舞台としたインバウンド観光の振興も目指していく。

愛媛県庁から四国一周PRツアーに出発する一行愛媛県庁から四国一周PRツアーに出発する一行 PR大使に任命された一青妙さんはしまなみ海道でのサイクリングに加え、すでに昨年台湾一周サイクリングを経験済みで、「四国は地形も台湾とよく似ている。一周の距離も似ていて驚いている。台湾を一周した時、言葉には表せないぐらいの感動を味わいました。サイクリングを通して国境を超えた兄弟のような関係を築けるよう力になりたい。実際に自転車で四国を一周する日を心待ちにしています」と抱負を語った。

中村知事はしまなみ海道、そして「えひめマルゴトサイクリング」として愛媛県全体のサイクリングの普及を目指し成果を上げてきたが、「これが第3ステップ。四国一周をしまなみ海道や愛媛県同様、サイクリングの聖地にしたい」と意気込みを語った。

発表会後は、県庁正面にて「四国一周サイクリング ぐるっとPRツアー出発式」が実施された。ツアー隊には門田さん、一青さん、ルート設定関係者にメディア関係者などが加わり、4日間でルートの主な見どころを視察して巡る旅へと出発した。ツアー中には香川県、徳島県、高知県の各県庁を表敬訪問し、「四国がサイリングでひとつになる」ことを情報発信していく。その旅の模様は連載形式の記事で紹介する予定だ。

動画で観る 四国一周サイクリング1000kmルート発表式



四国一周サイクリング1000kmルート マップ(公式サイトより)

四国一周サイクリング1,000kmルートマップ四国一周サイクリング1,000kmルートマップ (c)愛媛県
※ルート詳細は公式ホームページをご参照ください。
 サイクリングアイランド四国 公式サイト

「四国一周1000キロルート」の魅力とは(発表資料より)

自転車王国「台湾」と同じぐるり1周が1000キロ!
四国ロマン溢れるサイクリングアイランド!


「環島(ホァンダオ)」で国内外でムーブメントになっている自転車王国「台湾」。実は日本でも、1周1000キロの旅を味わえる島があります。それは、「四国」。本州と3つの橋でつながっているこの島「四国」は、自然資産と四国独自のバラエティ溢れるローカルの魅力がたっぷり詰まった、まさにサイクリングアイランド!

四国4県のバラエティ豊かな景色/気候/文化を体感!
各県から見える海(瀬戶内海/太平洋/宇和海)や⻄日本一の標高をもつ石鎚山をはじめとする山々は、各々四国独自の魅力があり、四国1,000キロルートを楽しみながらサイクリングが出来ます!また気候や文化も各地で異なり、五感で楽しめるルートとなっています。

自転車旅で出会う人々との“おもてなしのココロ”を実感!
地を訪れたときに出会う人々やその場での心通うコミュニケーションもサイクリングの楽しみの一つです。四国は、1200年の歴史があるお遍路のおせったい文化やおもてなしの精神が根付いています。またルートのエリアによって各県人の気質もさまざま。そんな四国ローカルの人たちとの“ココロの交流”を実感することができるのも四国旅の醍醐味です。

見どころ

瀬戶内と太平洋で、ガラッと変わる海の表情
四国を一周すると、長い間、片側に海を眺めることになりますが、その表情の変化が格別です。瀬戸内海側では、多島美や壮観な渡海橋が見られる一方で、太平洋側では、見渡す限りの水平線やそこから上る朝日、沈む夕日を堪能することができます。このダイナミックな眺望の変化も“四国一周”ならではです。

海産物・農産物など豊富な食材や様々な郷土料理
西日本最高峰の石鎚山に代表される四国山地を中心に、色とりどりの海の幸・山の幸に恵まれているのも“四国一周”ならではです。瀬戸内の小魚からハマチ・タイ・カツオ、多種多様な柑橘類、うどんにそばにラーメンにと、あきることはありません。

ペダルをこぐにつれ変わる方言と文化を楽しむ
四国は、近畿・中国・九州に囲まれているため、それぞれからの影響が入り混じっています。自転車で各地に立ち寄りながら一周してみると、その変化を体験できます。また四国には、お遍路文化に根差した“おもてなし”の地域文化がありますので、他では味わいにくい人との触れ合いや出会いが期待できます。

日照時間が⻑く温暖だから、1年を通して走りやすい!
四国は、北側が瀬戸内海式気候、南側が太平洋側気候になっています。そのため、他地域と比べてとても日照時間が長く、温暖な気候です。四国山地は高度が高く、冬は雪も降りますが、沿岸部はとても穏やかです。



ルート監修
門田基志(かどた もとし)
サイクリングアイランド四国プロジェクトパートナー・サイクリングアイランド四国 四国一周1000キロルート監修・プロサイクリスト

昭和51年、愛媛県今治市生まれ。今治明徳短期大学卒。世界最大の自転車メーカー、ジャイアント所属のプロサイクリスト。日本代表選手として海外での国際大会をはじめ国内外のレースに参戦する一方、サイクリング振興や国際交流にも力を入れている。数々のインバウンド向けのツアーや、石鎚山ヒルクライム、サイクリングしまなみなど、多彩な自転車イベントを提案・監修し、安全教室の講師やアドバイザーも務めるなど、自転車文化の発展に奔走している。

四国一周サイクリングPR大使
一⻘妙(ひとと たえ)

四国一周サイクリングPR大使 女優/エッセイスト/⻭科医師

台湾人の父と日本人の母との間に生まれる。著書多数。台南市親善大使も務める。サイクリング愛好家で、台湾一周の900キロ「環島(ホァンダオ)」を昨年11月に完走したばかり。2012年にはしまなみ海道も走っている。今年2月には原作の「ママ、ごはんまだ」が日台合作で映画化され、出演もしている。本年度中に「環島(台湾一周)」に関する本を出版する。


photo&text:Makoto.AYANO
photo:Tetsuhiko.Komi/Ehime pref