巷で話題のバイクパッキングの実力を、その身でもって経験すべく、年末年始を利用して四国を一周する計画を立てた中谷さん。綿密な準備を行い、遂に四国へと旅立ちました。4日間の奮闘の記録をご覧ください。(準備編はこちらのリンクより



7:35の飛行機で2時間前到着、しかし年の瀬ラッシュで結構ギリギリだった。7:35の飛行機で2時間前到着、しかし年の瀬ラッシュで結構ギリギリだった。 photo:Ryota.Nakatani室戸岬までの夜道は暗黒、ライトがないと本当に走行不可。何気なく休憩したポイントにはプーさんのぬいぐるみが縛り付けられていて心臓止まるほどビビるの図。室戸岬までの夜道は暗黒、ライトがないと本当に走行不可。何気なく休憩したポイントにはプーさんのぬいぐるみが縛り付けられていて心臓止まるほどビビるの図。 photo:Ryota.Nakatani少し道に迷いながら吉野川を東に下って徳島市中心までアプローチ、そこからはひたすら国道55号線を伝って室戸岬まで南下していく。途中は山、川、田んぼが美しい日本の原風景が続く気持ちのいいルート。海沿いで追い風を存分に浴び、調子のいい時は40km/h以上で巡航できるほどイケイケなフラットロードが続く。ハンドルバーバッグが付いているとはいえ、PROPELはエアロ効果を存分に発揮して安定走行へと導いてくれる。

しばらくは海沿いフラット。そう思っていたのも束の間で、55号線は山沿いへとうねりながら伸びていく。気づけば山間部のワインディングロードに突入し、アップダウンと無数のトンネルが続く。予想外の山道に不安を覚える私に追い打ちをかけるように降ってくる雨、そして日没。初日にして、四国の険しい道程に打ちのめされた。それもそのはず、グーグルマップでルートを設計したおかげで、獲得標高なんて考慮してなかったのである。冷えた山間のど真ん中で室戸岬ははるか80km先の彼方、自作ルーティングの無謀さ加減に幻滅しつつ、早くも輪行袋のお世話になる覚悟を固めた。

道中の日和佐駅に吸い込まれ、路線図をチェックする。しかし次の電車は1時間先で、終点の甲浦駅までたどり着いても結局室戸市までは距離がある。「普通に走ったほうが速い」そう判断し、逆に吹っ切れることが出来てまた走りだした。蛍光カラーのウインドブレーカーを着こみ、フロントライトをフル点灯にして真っ暗闇の海沿いをひたすら南下し続けた。

このエリアは本当に真っ暗に近く、海沿いなのに異様な静けさに包まれていた。休憩できるコンビニもほぼ無く、自販機の灯りに励まされるくらいだ。左手に浮かぶ満天の星空など目もくれず、室戸市街の灯りが見えた瞬間は思わず叫んでしまった。宿のチェックイン時間ギリギリの21時、生きて室戸へ辿り着いた。初日から寒空の下を220km、獲得標高2000mを超える走行となり心身ともにグッタリ。果たして完走できるのか? 明日のルートは否が応でも200km超え。自分で作ったルートに戦慄した。

2日目:室戸から宿毛(すくも)へ

高知市までの海沿い70kmほぼ向かい風。高知市までの海沿い70kmほぼ向かい風。 photo:Ryota.Nakatani
2日目の56号線上に突然現れた峠。標高300m程度だが日差しが暑くて苦戦。斜度大したことなくて助かった。2日目の56号線上に突然現れた峠。標高300m程度だが日差しが暑くて苦戦。斜度大したことなくて助かった。 photo:Ryota.Nakatani2日目ゴールまであと20km残して日没。でも最高に綺麗な夕暮れだった。日が落ちると一気に寒さが増す。2日目ゴールまであと20km残して日没。でも最高に綺麗な夕暮れだった。日が落ちると一気に寒さが増す。 photo:Ryota.Nakatani起床すると、バッグの中身が部屋中に散乱していた。どうやら就寝前に着替えを取り出そうと奮闘したようで、疲れていたせいであまり記憶がない。ジャイアントのバッグは純粋な大袋というべき構造ゆえ、奥のアイテムを取るには一度中身を全部出さないといけない。これもバイクパッキング中に気づいた一場面であったが、アイテムを透明な袋で小分けしていたので再パッキングはそこまで面倒ではない。アイテムの収納場所を若干調整してから、しっかり朝食をとり出発した。

恐る恐る走りだすと思ったよりは疲労を感じず、これなら大丈夫そうだと一安心。2日目は高知市を越えて愛媛県境近くの宿毛市を目指す210km。ひたすら56号線を進めば良く迷う心配もなく、初日よりもスタート時刻が早くて精神的にも余裕があった。

国道55号線の高知市までは向かい風だったものの、80km付近から追い風基調になり順風満帆。一人旅につき、行き倒れて現地の人々に迷惑をかけてはいけない。後半の56号線に入ってから、そんな謎の使命感でおにぎりやバナナを詰め込みながら進む。

途中標高300m程度の峠越えこそあったものの、総重量の軽いバイクパッキングスタイルでは登りも問題なくクリアできる。旅程中一番順調に走り続け、宿毛のビジネスホテルへ目標よりも1時間早く到達した。200km超えを2日連続こなし、ここまでは順調に思えた。



冬のファストラン対策

今回の旅は1日に150~200kmのロングライドを4日連続でこなす必要があった。筆者の経験上、1日200km程度の走行なら全く問題ないが、4日連続は未体験ゾーン。おまけに四国の冬は関東と同じくらい寒く、日照時間も普段より短く、初めて走る道は先が分からず不安にもなる。とにかくトラブルを回避しつつストレスと疲労を溜めないことを最優先課題とし、旅行中は様々な小ワザを駆使して走ることになった。

寒さ対策:冬ライドの鉄則として、とにかく身体を冷やしてはいけない。漕いでいなくても寒くない状態を基準として、上下とも長袖ベースレイヤー+裏起毛ジャージをフル投入。早朝や日没後は薄手のウインドブレーカーやレッグカバーで調整。末端の冷えはシューズカバーの下に貼るカイロを入れたり、グローブの下に作業用ニトリルゴム手袋を仕込んで対策した。

補給:冬は通常よりも体温維持にエネルギーが必要で、ハンガーノックのリスクが高まる。とにかく空腹を感じる前に、何かしら口にするルーティンを徹底した。四国のコンビニは店内にイートインスペースがある場合が多いが、時短のためその場で開けずに走りながら食べることが多かった。おにぎりなどをビブタイツのお腹部分に入れておき、体温で少し温めてから食べるテクニックも開発した(ライド後半は熱い缶コーヒーで太ももをローラーしてみるなど、新しい技を思いついた)。そしてコンビニ補給を繰り返す場合は、素早く簡単な電子マネー決済が圧倒的にオススメだ。

コンビニで買えない補給食として、カフェイン入のジェルや足つり防止ミネラルも準備があるとより安心できる。今回は食べ慣れたメイタンのジェルを携行して、ライド後半の集中が切れそうな場面で補給した。カフェイン入りのメイタンCCゴールドは本当に効果抜群で、キツい場面で何度もお世話になった。

足先に貼るホッカイロでメッシュを塞ぐ作戦。この上にシューズカバーをかぶせれば結構温かい。ちなみにソックスはGIANTのメリノウール。足先に貼るホッカイロでメッシュを塞ぐ作戦。この上にシューズカバーをかぶせれば結構温かい。ちなみにソックスはGIANTのメリノウール。 photo:Ryota.Nakatani一番寒い時のレイヤリングはオールシーズンの長袖ベースレイヤー/ウエイブワンのプレミアムサーモ/ウインドブレーカーベスト/裏起毛の長袖ジャージで凌いだ一番寒い時のレイヤリングはオールシーズンの長袖ベースレイヤー/ウエイブワンのプレミアムサーモ/ウインドブレーカーベスト/裏起毛の長袖ジャージで凌いだ photo:Ryota.Nakatani疲労回復に貢献したであろう必須アイテムがアロマベラのマッサージオイル!疲労回復に貢献したであろう必須アイテムがアロマベラのマッサージオイル! photo:Ryota.Nakatani


走行テクニック:平地をマイペース、向かい風と登りは無理しない、下りは休むの3点がロングライドで疲れないための基本となる。心拍数、ケイデンスは上がりすぎないように常時メーターで数字を追っていた。特になんともないと思える小さな坂が続く場面でも、決して無理せずインナーに落として、軽いギア比でクリアすることを徹底した。個人差があるので、乗り込んで自分の無理なく維持できる領域を探るのがベストであろう。筆者の場合はケイデンス85-90rpm程度、心拍は165bpm以下が基準となった。

ライド後のケア:入浴した後はストレッチ、セルフマッサージを欠かさず行った。セルフケアで俄然オススメなのがマッサージオイル。アロマベラのオイルは翌日の疲労感を軽減できるほか、ピリッとした香りでリフレッシュ効果もある。出発前にはホットクリームを塗り、しっかりストレッチして身体を温めてから走るように心がけた。オイルやホットクリームは小瓶にいれて携行。



3日目:宿毛から今治へ

3日目出発の朝は気温0度。路面凍結防止の塩カルが撒いてある。3日目出発の朝は気温0度。路面凍結防止の塩カルが撒いてある。 photo:Ryota.Nakatani海沿いはずっとこんないい景色。ただ身体が終了していてあまり景色を楽しんだ記憶がない。海沿いはずっとこんないい景色。ただ身体が終了していてあまり景色を楽しんだ記憶がない。 photo:Ryota.Nakatani


3日目は引き続き国道56号線を通り、宿毛から松山市を通って今治まで北上する約200km。朝7時半出発時点で気温はマイナス2度と非常に寒い。息は白く、食べたものが即体温に変換される感覚すらある。序盤の山間部は路面凍結注意サインが繰り返し現れ、四国の12月は寒いのだと思い知った。

そして2日間の疲労がさすがに蓄積してきたようで、スタート直後から左膝が痛む。まだなんともない右脚への負担が増すことへの不安、続く向かい風と海沿いのアップダウン、胃の不調などなど、出発早々とにかく先が見えない。ここまで1時間20キロの法則を堅持してきたが、ついにペースが崩壊。焦りと疲労が交錯する嫌な時間が過ぎる。

これはヤバイ。そう直感するも膝の痛みからは逃げられない。ペダリングしながら痛まない方法を模索し、サドルを引き気味にして踏み込まないペダリングに切り替え、ケイデンスも落としてなんとか距離を稼いだ。途中の登りは山の斜面にみかん畑が広がり本当に絶景続きだったが、代わりにハンドルから下げた輪行袋がチラチラと視界に入る。

松山市内に突入、何気なく止まった信号に杉山輪業さんを発見!パッと見自転車屋さんっぽくないのが素敵。松山市内に突入、何気なく止まった信号に杉山輪業さんを発見!パッと見自転車屋さんっぽくないのが素敵。 photo:Ryota.Nakataniしまこから賜ったみかんを補給して今治までのナイトラン!しまこから賜ったみかんを補給して今治までのナイトラン! photo:Ryota.Nakatani2016年最後の日没。この後さらに40km海沿いを走り続けた。2016年最後の日没。この後さらに40km海沿いを走り続けた。 photo:Ryota.Nakatani


どうして痛みを我慢しながら漕ぎ続けるんだ?せっかく四国まで来て、楽しい旅にするはずでは?と登りながら自問自答が続く。とにかく松山市までは頑張り通し、そこからは無理せず輪行に切り替えようと腹をくくった。

70kmほどを耐え、宇和島市を超えたあたりでちょうど帰省中だった輪界の友人しまこさんと合流できた。激甘のみかんと激励を受け取り、短い時間だが会話を楽しみ、後ろ髪を引かれる思いで先を目指す。この再会で、疲れきったメンタルをかなり回復させることができた。

中田さんより差し入れて頂いた鬼瓦モナカ。あんこの甘さが優しいまさにサイクリストのためのおやつ。次の日の昼には完食。中田さんより差し入れて頂いた鬼瓦モナカ。あんこの甘さが優しいまさにサイクリストのためのおやつ。次の日の昼には完食。 photo:Ryota.Nakatani 2016年最後の日没。この後さらに40km海沿いを走り続けた。2016年最後の日没。この後さらに40km海沿いを走り続けた。 photo:Ryota.Nakatani犬寄峠を超えてから松山市への道は下り基調、かつ追い風も吹き始めて身体はキツイものの自然とスピードが増す。下ハンを握りキレキレのエアロフォーム(当社比120%)を決め、かなりのスピードでダウンヒルをかっ飛んでいくが、バイクの挙動は安定しており全く怖くない。PROPELのVブレーキがしっかり効く上に、SLR1はカーボンリムながら非常にニュートラルなブレーキフィールだ。心配していたバッグ達もしっかり固定されており、振動でユサユサ揺れたりはしない。

いざ松山市に到達してみると、不思議と膝の痛みもあまり感じなくなっていた。これは最後まで行っちゃうか? 無理せず電車か? ゴールの今治まではあと40kmの平坦、せっかくここまで来て諦めるのは言語道断。気持ちを立て直して再スタートを切ることにした。

196号線の海沿いから2016年最後の日没を拝みつつ、暗がりの平坦路を進む。その先の菊間町で、サイクルイベントで愛媛県ブースを出展されている愛媛県観光課の中田さんとも再会できた。激励の今治タオルと鬼瓦最中の差し入れまでいただき、何より真っ暗の中で励ましが暖かかった。19時半にはなんとか宿まで辿り着き、人生で最もキツいライドを完走した。しかし、年越しそばにはありつけなかった(泣)。

4日目:今治からゴールの高松へ

前日の晩は痛みと疲労で全く眠れず、NHKで紅白を見ながら寝付くまでひたすら脚をマッサージしつづけた。ゴールの高松までは、まっすぐ行けばこの4日間の旅程で1番短い130km。しかし、である。ここ今治まで来てサイクリストの聖地しまなみ海道を見ずして去るわけにはいかない。せめて入り口だけでもと、しまなみ海道の起点となる来島大橋にはしっかり寄ろうと決意。

だが、走り出して数秒でもう両膝が笑っている。加えてシャモアクリーム抜きで走り続けたせいかお尻の痛みも尋常でなく、バイクに跨るのもしんどいレベル。ペダリングするとお尻が痛く、ダンシングすると両膝が痛いと、もはや逃げ場なしで終始悶絶しながらの走行。3日間で予想以上のダメージを負ったが、何を隠そうこうなってしまったのは自分のスケジューリングのせいである。「原因は全て自分にある」最近セミナーで習った言葉通りだ。

しまなみ海道の入り口まで来て引き返す悲しさ。体力満タンの時にまたリベンジしようと誓った。しまなみ海道の入り口まで来て引き返す悲しさ。体力満タンの時にまたリベンジしようと誓った。 photo:Ryota.Nakatani高松まで下っていくルート!この辺りから身体の痛みがなくなっていた。高松まで下っていくルート!この辺りから身体の痛みがなくなっていた。 photo:Ryota.Nakatani


ここまで走って理解したが、四国沿岸の道は多少のアップダウンこそあれど至って走りやすい。しかしこの日は旅程中1番暖かく感じ、睡眠不足なのか疲労の蓄積によるものか、走りながら眠気が襲ってくる。3日目から胃の調子も悪く、固形の補給が喉を通りづらくなっているのも割とピンチ。メイタンのカフェインとエネルギーゼリーを流し込み、痛みと眠気を誤魔化しつつ走行を続けた。

60kmほど走ったところで、お尻の負担を減らすために思い切って空気圧を落とすことにした。走りの軽さは落ちるが快適性は増すだろう、思った通りタイヤのクッション性が大幅に増えてお尻が楽になった。驚いたのは、圧を落としたもののそこまで走りが重くならなかったこと。終わってから実感したが、GAVIA SLRは旅程中まったくパンクするそぶりも見せず、黙々と転がり続けてくれた。これからのサイクルツーリングはチューブレスが来る、そう確信できる高性能ぶりだった。

ゴールの高松までの距離が少しずつ縮まるにつれ、集中力が舞い戻ってきた。残り10kmではアドレナリンのおかげか、身体の痛みも無くなり寒さも感じなくなっていた。大きなトラブル無く4日で高松まで戻って来ることができ、胸を撫で下ろした。ゴールの高松駅についた瞬間は「終わったー」程度の気分で、まだ走れそうな気もするほど。

高松駅にゴール!高松駅にゴール! photo:Ryota.Nakatani高松空港にて、まだもう少し走れそうな気も(笑)高松空港にて、まだもう少し走れそうな気も(笑) photo:Ryota.Nakatani


翌日は再び高松空港まで15kmほど自走し、ANAの飛行機輪行で関東まで無事帰還した。終わってみれば走行距離800km超え、獲得標高8,000m超えと自分史上初となる記録となった。幸運にもメカトラや交通事故に遭遇することもなく、いびつな形ではあるが四国一周完走を手にすることが出来た。



旅で気づいたバイクパッキングのリアル

ここまで書いたとおり、バイクパッキングとは普段愛用のバイクで気軽に自転車旅に繰り出せる、画期的なサイクルツーリングスタイルだ。そのメリットは以下に集約される。

バイクフル装備状態はこんな感じ。ちなみにゴール地点。巨大なSCOUTシートバッグは旅の後半にはすっかり見慣れたアイテムとなっていた。バイクフル装備状態はこんな感じ。ちなみにゴール地点。巨大なSCOUTシートバッグは旅の後半にはすっかり見慣れたアイテムとなっていた。 photo:Ryota.Nakatani800km以上走ったあとでもそこまで黒ずんでいない。チェーンルブリキッドエクストリームはツーリングにも抜群にイケてることを証明した。800km以上走ったあとでもそこまで黒ずんでいない。チェーンルブリキッドエクストリームはツーリングにも抜群にイケてることを証明した。 photo:Ryota.Nakatani1:普段の愛車がツーリングバイクに変わる
バイクパッキングの始まりはバッグを購入するだけでOK、かつロードもMTBも何でもありで車種を問わない。バイクとバッグの組み合わせも自由自在で、その可能性は無限大だ。

2:バックパックが不要
筆者の経験上、現在はバックパックを背負ってのツーリングを頻繁に目にする。しかしバイクパッキングで荷物をバイク任せに積載すれば、身体の負担が段違いに減る。初めて宿泊を伴うツーリングに出向く際には、文句無しにオススメできる。

3:バイク本来の走りを楽しめる
前述に加え、バッグを括りつけてもバイクの走行性能は保たれるので、荷物を持ったままラクに遠くまで移動できる。ある程度荷物を運びたいがしっかりスピード感も楽しみたい、そんな要望にピタリとフィットするのだ。それこそ今回のような、ロードバイクで短期間長距離ツーリングも難なく実現できる。MTBにバッグをつけて、テントも携行すれば、林道を巡るアドベンチャーツアーなんて可能だろう。バイクのチョイスや装備の携行スタイルも自由で、その組み合わせを試行錯誤する新たな楽しみも見いだせる。

しかし、このスタイルは万能ではないとも感じた。バッグが取付可能かどうかは事前にチェックし、自身のフレーム形状やサイズと相談の上で適切な積載方法を選ぶことが大切だ。また、従来のキャリア+パニアバッグスタイルほど多くの荷物は入らない。この点は装備を厳選して減らすか、積載を工夫すれば良いだろう。

筆者の中谷亮太さん筆者の中谷亮太さん 最後に
何より、自転車旅は楽しい。初めての地、初めて通る道の上で、旅行中に過ごす時間は何より特別に感じられるはずだ。子供の頃に体験した、ご近所を巡る小さな大冒険が等身大で蘇る。バイクパッキングスタイルは、多くのサイクリストに新たなる旅の扉を開いてくれることは間違いない。暖かさを取り戻すこれからのシーズン、まずは大型サドルバッグ選びから始めてみてはいかがだろうか?

report:Ryota.Nakatani

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