小豆島の玄関口のひとつ・土庄港にサイクリングの拠点として活用できる小豆島サイクルステーションがオープンし、ますますサイクリストにとって魅力的な場所になった。そこで、同ステーションを拠点に、島の魅力を満喫できるモデルコースを紹介しよう。



小豆島で離島サイクリング

小豆島の魅力はコースバリエーションの豊富さにあり小豆島の魅力はコースバリエーションの豊富さにあり photo:Masanori.Asano
オリーブや映画「二十四の瞳」の舞台としておなじみの小豆島は、冬でも温暖な瀬戸内にあり、海と山の絶景を楽しめるサイクリストの楽園でもある。現時点では、同じ瀬戸内にあるしまなみ海道や、“アワイチ”でおなじみの淡路島ほどの知名度はないが、両者に匹敵する魅力的なサイクリングスポットだ。

小豆島は離島サイクリングの定番、島1周サイクリングも楽しめる。島は牛のような形をしており、主要部分だけの1周だとおよそ60km。そこからいくつかある岬の先端まで回るオプションコースを増やしていくと1つあたり10~20km程度距離を伸ばすことができ、すべての岬と牛の頭部にあたる前島まで巡る大回りの1周コースだとおよそ110kmにもなる。最短コースでも島の主な見所が網羅できるのが魅力だ。

さらに小豆島ではヒルクライムも楽しめる。瀬戸内の離島最高峰の星ヶ城山などからなる国指定の名勝・寒霞渓へと上るコースが4つとれる。それぞれ海抜数メートルからおよそ800mまで上ることができ、離島とは思えない山の絶景を楽しめる。4つのコース全てを1日で上れば乗鞍をはじめ日本最高峰のヒルクライムイベント3本弱の獲得標高を稼げてしまう。

さらに1周コースとヒルクライムコースを組み合わせれば、コースバリエーションがさらに増える。1回走りに行っただけでは小豆島のすべての魅力を味わい尽くすことは到底不可能だ。

主な見どころを巡るなら、長短さまざまな1周プランを

小豆島に走りに行くなら、まずはオーソドックスな1周サイクリングは外せない。1周サイクリングをする際は、反時計回りで走るのがおすすめだ。自転車が左側通行の日本では、より海を近くに感じながら海岸線をたどることができるからだ。

島の北部は交通量が少なめで走りやすい。土庄港の小豆島サイクルステーションを出発し、市街地から県道27号を北進するといきなり標高差200m弱の上りが現れる。この上りを下り始めると、いきなり目の前に瀬戸内海のパノラマが広がる。その後もアップダウンを小刻みに繰り返し、上りをクリアして視界が開けると瀬戸内海が一望できるポイントがいくつもある。

小豆島サイクルステーションのコインロッカーに荷物を預ければ、身軽にサイクリングを楽しめる小豆島サイクルステーションのコインロッカーに荷物を預ければ、身軽にサイクリングを楽しめる photo:Masanori.Asano大部港を過ぎ、福田港に向かう道中にある絶景ポイント、島の北部にはこのようなビューポイントが連続する大部港を過ぎ、福田港に向かう道中にある絶景ポイント、島の北部にはこのようなビューポイントが連続する photo:Masanori.Asano


小豆島は数々の映画のロケ地になっている。同島出身の壺井栄の小説「二十四の瞳」が映画化されたときにもこの島でロケが行われた。このときのオープンセットが二十四の瞳映画村に残っている。坂手港を西進した岬にあるため、映画村に行くとなると距離は伸びるが、映画好きなら必見だ。

国道436号から坂手港に向かう道中、古めかしい蔵や醸造所が並ぶ町並みが現れ、醤油の芳醇な香りが漂ってくる。小豆島の名産品の・醤油や佃煮の生産者が軒を連ねる「醤の里」と呼ばれるエリアだ。マルキン醤油記念館では小豆島の400年に及ぶ醤油醸造の歴史を学ぶことができ、記念館前の売店では、醤油味のソフトクリームが売られている。また、小豆島唯一の酒蔵で佃煮工場も営む森國酒造には、佃煮工場をリノベーションしたカフェ&バーもある。

小豆島唯一の酒蔵・森國酒造が経営するカフェ&バー、築70年以上の佃煮工場をリノベーションした味わいのある建物だ小豆島唯一の酒蔵・森國酒造が経営するカフェ&バー、築70年以上の佃煮工場をリノベーションした味わいのある建物だ photo:Masanori.Asano森國酒造のカフェ&バーの薄焼きピザ、じゃこや大葉をトッピングし、醤油で仕上げた和風ピザだ森國酒造のカフェ&バーの薄焼きピザ、じゃこや大葉をトッピングし、醤油で仕上げた和風ピザだ photo:Masanori.Asanoマルキン醤油記念館前の売店で食べられる醤油ソフト、みたらしのたれを思わせる甘塩っぱさがクセになるマルキン醤油記念館前の売店で食べられる醤油ソフト、みたらしのたれを思わせる甘塩っぱさがクセになる photo:Masanori.Asano


同島は日本で初めてオリーブの栽培に成功したことで有名だ。道の駅小豆島オリーブ公園は、眼下に瀬戸内海を望む丘に約2000本のオリーブが植えられており、小豆島を象徴するビュースポットとして人気が高い。この公園は実写版の「魔女の宅急便」のロケ地にもなっており、道の駅でほうきを借りて記念撮影することができる。

道の駅小豆島オリーブ公園のランドマーク・白い風車塔の前で、ほうきにまたがってチームTT道の駅小豆島オリーブ公園のランドマーク・白い風車塔の前で、ほうきにまたがってチームTT photo:Masanori.Asano
島の南部はやや交通量が多い。ドライバーはサイクリストにも友好的だが、道幅がそれほど広くないので、車の側からすると追い抜きが難しい場合も考えられる。国道であっても大集団で走るのは避け、集団走行する場合は5人までの小集団で走るように心がけたい。

小豆島サイクルステーションがある土庄港は、小豆島を牛に見立てると頭の部分にあるが、実は小豆島は頭の部分と胴体の部分が箸でつながっているように見えるが本来は別々の島。二つの島を隔てる土渕海峡は、世界一狭い海峡としてギネスブックにも掲載されている。

世界一狭い海峡としてギネスブックにも認定されている土渕海峡、最も狭い部分では幅わずか9.93mしかない世界一狭い海峡としてギネスブックにも認定されている土渕海峡、最も狭い部分では幅わずか9.93mしかない photo:Masanori.Asano小豆島の東南端にあるエンジェルロード、ここで手をつないだカップルは幸せになれるといううわさがあるとか小豆島の東南端にあるエンジェルロード、ここで手をつないだカップルは幸せになれるといううわさがあるとか photo:Masanori.Asano


ほかにも干潮時に離島につながる砂州が現れるエンジェルロードや大阪城の石垣を切り出したことにちなむ大阪城残石記念公園など、見どころは多い。とてもではないが1日走っただけでは回りきれない。

四方に何も遮るものがないことからその名がついた四方指展望台、寒霞渓ロープウェイ山頂駅の少し西にある四方に何も遮るものがないことからその名がついた四方指展望台、寒霞渓ロープウェイ山頂駅の少し西にある photo:Masanori.Asano
小豆島をよりディープに楽しむなら、寒霞渓のヒルクライムもおすすめだ。大部港から上るコース、福田港から上るコース、草壁港から上るコース、そして土庄市街から上るコースの4コースあり、それぞれ距離や平均勾配も異なるが、いずれのルートも寒霞渓の山頂にある四方指展望台に至る。

最短ルートは大部港からのルート、つづら折りの比較的緩やかな勾配が続くので割と上りやすい。距離を上りたい人は草壁港からのルートか土庄市街からのルートがおすすめ。特に草壁港からのルートは16km近く上れるだけでなく、序盤に10%を超える直登があるので、脚力に自信のあるクライマーも楽しめるだろう。

草壁港から寒霞渓へ上るヒルクライムルート、寒霞渓を遠望できるポイントや、瀬戸内海を見下ろすビューポイントが連続する草壁港から寒霞渓へ上るヒルクライムルート、寒霞渓を遠望できるポイントや、瀬戸内海を見下ろすビューポイントが連続する photo:Masanori.Asano
せっかく4種類のヒルクライムコースがあるのだから、クライマーなら4コースとも1日で完全制覇するのにチャレンジしてほしい。どのコースも獲得標高が700mほどあり、4本とも上れば獲得標高は3000m近くなる。

期間限定でサイクリストのためのお得な宿泊プランも

小豆島サイクルステーションがある土庄港のオーキドホテルは、3月12日までの期間限定でフェリー乗船代と宿泊料金がセットで割引価格になったサイクリストのためのお得な宿泊プランを用意している。年末年始を除き、冬休み期間も利用できるので、この機会にぜひ小豆島に訪れてみては。

 土庄港の目の前にあるオーキドホテル、サイクリスト向けの宿泊プランも充実 土庄港の目の前にあるオーキドホテル、サイクリスト向けの宿泊プランも充実 photo:Masanori.Asano1泊2食付き宿泊プラン
1人あたり9500円(税込、自転車とサイクリストの往復乗船券付き、入湯税150円別途)
※1人から予約受付

1泊2食付きマイカープラン
1人あたり11500円(税込、自動車とサイクリストの往復乗船券付き、入湯税150円別途)
※3人以上から予約受付。2人の場合は1人あたり料金1000円アップ

問い合わせ
オーキドホテル サイクリスト専用宿泊予約ダイヤル
電話:080-3179-4324