ガーミンの新型アクションカメラ「VIRB-J XE」。前作よりも大幅な小型軽量化と高画質化を果たした新モデルをテスト。朝倉誠さん(Bicicletta Di Mattino)による長期インプレッションで紹介します。



ガーミン VIRB-J XEガーミン VIRB-J XE
VIRBでアクションカム市場に乗り込んだガーミンが2代目となるVIRB-J XEをリリース。ハウジングいらずでの防水性能などを持たせた初代は、機能こそ満足な製品だったが、専用マウントが必要となるなど、GoPro勢に対しては利用しやすさでやや劣勢であった。今作では機能追加と共に本体形状も刷新し、GoProマウントを利用できるようになるなど現実的で戦略的な機種に刷新された。詳しい製品情報は登場時のレビュー記事をご覧ください。

小型軽量化を果たしたボディ
形状は非常に改良されていると感じる。驚いたのは、GoProライクなボディになったことに加えて、本体の作りがとてもシッカリしていること。頼もしいほどのガッチリボディは軽い衝撃程度では壊れなさそうだ。腕時計のG-SHOCKのようなデザインは好き嫌い別れると思うが、私にとっては非常に好印象。

ガーミン VIRB-J XEガーミン VIRB-J XE GoProと同規格のマウントが採用されているGoProと同規格のマウントが採用されている


ボディが手のひらに乗るほどのサイズになったため、やや重めだった重量も20グラムほど軽くなりシリーズ最小・最軽量を実現している。バッテリーやメモリーカードの交換作業も簡易になっており、随所で進化を感じ取れる。

一新されたボディの操作性
ラッチを操作しフロントパネルを開けると、バッテリーとメモリーカードにアクセスできる。気密性の高い構造で防水性を維持しながら、バッテリーやメモリーカード関係の作業が行い易い点は前作から大きく進化した点だ。一方で、充電ケーブルが専用になってしまったのは残念なところ。スマートフォンや家電の充電コードを使い回すことができないため、旅先で忘れてしまったら充電できなくなり非常に困ってしまう。

動画撮影の開始はツマミをひねるだけで、写真はカメラのようなボタンを押すだけ動画撮影の開始はツマミをひねるだけで、写真はカメラのようなボタンを押すだけ 外部メモリーはmicroSDに対応している外部メモリーはmicroSDに対応している

気密性の高いフロントパネルを開くとバッテリーとメモリーカードにアクセスできる気密性の高いフロントパネルを開くとバッテリーとメモリーカードにアクセスできる 充電は専用のクレードルが必要となる充電は専用のクレードルが必要となる


GoProと共通するマウントシステム
VIRB-J XEでは、アクションカム業界を牽引するGoProのマウント類が利用可能となった。本体形状もGoProライクなものになっているため、そのままGoProマウントを使用して不自由はないだろう。サードパーティーのレックマウントを使用すれば、よりスマートな取り付けも可能になったのは嬉しい。

直方体のような形状とされており、前作では形状の影響で利用できなかったチェストストラップが利用できるようになっている。また、軽量化を果たしたため、ヘルメットに装着しても重たい重量を感じることが少ない。

本体にマウント各種が付属する本体にマウント各種が付属する GoProと同規格のマウントが数種類用意されているGoProと同規格のマウントが数種類用意されている


直感的な操作で撮影開始
さて、いよいよ電源を入れ、撮影を始めてみよう。録画開始の作業はツマミをひねるだけと非常に明快で、マニュアルを読まずとも理解できる。シャッターボタンも同様だ。操作している内に覚えてしまうインターフェイスは、EDGEシリーズ同様で大変良く考えて作られている。

前作のスライドスイッチの場合、鞄の中などで不意にスイッチが入ってしまい、録画を開始し、バッテリーもメモリカードも無駄に消費するというアクシデントに何度か遭遇したことがあるので、この改善はありがたい。シャッターボタンもカメラのように独立したことで、乗車中の操作も便利になっている。

画質・手ぶれ補正・レンズ補正
撮影し終えて、動画をチェックしてみる。画質はひとことで言うと「キレイ」だ。録画モードは数多く用意されているが、標準設定(1080P、30fps)でも問題なく、綺麗な画質で録画してくれる。VIRB-J XEでは、前作のやや青みがかった色特性も概ね抑えられており、かなり肉眼に近い自然な映像だ。手ぶれ補正が強化され、より見やすい映像を提供してくれる。

画質が向上したことによって、派手で分かりやすい画作りができるGoProや優れた画質のSONYといった競合他社と肩を並べることができるほどだと感じる。もはや、どちらがキレイか?という領域ではなく、どれも良く撮れるというレベルで満足できるでしょう。


EDGEシリーズとの連携
サイクルコンピューターのEDGEシリーズなどガーミン機器から、録画の開始と停止をリモート操作することが出来るのは前作通り。走行開始したら録画を開始し、停止すると録画も一時休止される機能に加えて、VIRB-J XE本体の加速度センサーを使った録画開始・停止を行うことも可能となっている。

オーバーレイできる項目は数多いオーバーレイできる項目は数多い (c)いいよねっと記録したGPSデータを動画にオーバーレイすることができる記録したGPSデータを動画にオーバーレイすることができる (c)いいよねっとVIRB EDITでの動画編集
純正編集アプリケーション「VIRB EDIT」自体に大きく変わった印象はなく、使いやすさは維持され、動作も軽快で好印象。G-Metrixシステムデータをオーバーレイする際にも、ドラッグアンドドロップでの直感的な操作感は、サクサク編集が進むのでイライラさせられることは少ないはずだ。

心拍や標高データを重ねておけば、「いつどの場面で、どのような状況だったか?」をわかりやすく記録することができる。純正編集ソフトは「力不足だろう」というイメージを持ってしまいがちですが、このVIRB EDITについてはよほど凝ったことをしようとしない限りは”使える”と評価したい。

G-Metrixシステム
VIRBの大きな特徴としては、ガーミンの本職である高精度GPSを搭載する点だ。加えて、加速度センサーも内蔵することで「G-Metrixシステム」と呼ぶ総合的データ取得・記録を可能にしている。リアルタイムで記録してくれるのは、撮影時の位置情報、スピード、スタート地点からの距離、時間、高度、加速度、軌跡などの各種データ。動画にオーバーレイできる相変わらずとても楽しいシステムだ。

オプションアクセサリーの心拍センサー、ケイデンスセンサー、スピードセンサー、温度センサー、パワーメーターや互換性のあるODB-Ⅱにも対応しており、同時に幾つかのデータを再生画面にオーバーレイさせることも可能だ。

総括
今回刷新されたハードとソフトは十分に進化し、ガーミンのアクションカメラ「VIRB」価値を高めていると感じた。「もっとこうであればいい」というアイデアは浮かび上がってくるが、他社と比較しても遜色のない性能を備えている。進化したVIRB-J XEは、動画を撮る、編集する、観るという一連の作業が、簡単で分かりやすく、アクションカメラ初心者でも扱えるのではないかと思わされたプロダクトであった



ガーミン VIRB-J XE
価 格:49,800円(税別)

本体仕様
本体サイズ: 77.0x40.6x36.8 mm
ディスプレイサイズ:1インチ(25.4mm)/ 128x128ピクセル
本体重量:151.7 g(バッテリー含)
防水仕様:50m完全防水
動作温度範囲:-20℃~60℃
外部メモリー:microSD(最大128GB)
搭載センサー:GPS、加速度計(高度計は非搭載)
補正機能:手振れ補正、レンズ歪み補正
バッテリー:充電式リチウムイオン
使用可能時間:約2時間(1080pで使用の場合)
イメージセンサー:1/2.3型、1240万画素、CMOS
オーディオ:マイク内蔵(外部マイク接続可)
外部接続:Bluetooth、Wi-Fi(802.11bgn)、USB 2.0(HDMI出力非対応)
対応ANT+アクセサリー:心拍計、温度計、スピードセンサー、ケイデンスセンサー、パワー計、VIRB用リモコン
リモート操作可能デバイス:対応Garmin機器及びスマートフォン

動画仕様
イメージセンサー:1/2.3型 1240万画素 CMOS
ファイル形式:mp4
解像度とフレームレート:
1440p(1920 x 1440) 30fps、24fps
1080p(1920 x 1080) 60fps、48fps、30fps、24fps
960p(1280 x 960) 100fps、60fps、48fps
720p(1280 x 720) 120fps、60fps、30fps
480p(848 x 480) 240fps
タイムラプス(1920 x 1080) 30fps

静止画仕様
モード:シングル(写真を一枚撮影)、連写(3ショット/1秒~30ショット/6秒)、タイムラプス(コマ送り写真)、時差タイムラプス(タイムラプスの撮影開始時間が設定可能)


text:Makoto.Asakura/Bicicletta Di Mattino
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