東京・立川に拠点を置くロードレースチーム「東京ヴェントス」が活動拠点を多摩川サイクリングロードに面した「たちかわ創造舎」に移すこととなった。「サイクルゲート多摩川」として新たな一歩を踏み出したその活動を紹介しよう。



旧多摩川小学校の教室を利用したサイクルゲート多摩川旧多摩川小学校の教室を利用したサイクルゲート多摩川
東京西部に位置する立川市。多摩地区のサイクリストとっては奥多摩や秩父といったツーリングコースへとアプローチする際に必ず通ることになる、いわば玄関口のような存在だ。その中でも多くのサイクリストが行き交う多摩川サイクリングロード沿いに今年10月にオープンしたサイクリスト向けの施設が「サイクルゲート多摩川」だ。

廃校となった旧多摩川小学校跡地を利用した「たちかわ創造舎」。劇団や、フィルムコミッション事業などに加えて、一階部分をサイクルステーションとして活用していこうという施設。「サイクルゲート多摩川」はその一角に居を構えることとなった。

サイクルゲート多摩川への入り口。廃校といっても、綺麗な建物である。サイクルゲート多摩川への入り口。廃校といっても、綺麗な建物である。 懐かしい荷物置き場を利用して、様々なパーツが販売される店内懐かしい荷物置き場を利用して、様々なパーツが販売される店内 河口側からであれば、中央線をくぐって、奥多摩側からであれば多摩大橋を越えると現れる「たちかわ創造舎」。多摩川サイクリングロードからは、専用のスロープが設置されているので、ビンディングシューズでも気軽に入ることが出来る。入口には看板が掲げられているので、通りすがりにも分かりやすい。

校庭の脇を通り抜けて、鉄棒を利用したバイクラックが用意されている。校舎に入ってすぐ、一番手前の部屋にあるのが「サイクルゲート多摩川」だ。どこか懐かしい雰囲気を漂わせる店内にはグロータックのローラー台にかけられた自転車を中心に、さまざまなパーツの販売スペースや、メカニックブースが設えられている。窓際には、カウンター席が設けられ、校庭と多摩川を行きかうサイクリストを眺めながら休憩することもできる。

従来、プント・ヴェントスで提供していたフィッティングなどのサービスも継続して行っていくとのことで、教室の一角にスペースを確保し、ポジショニングの相談などに対応する他、マッサージ用のベッドも用意し、ゆくゆくはスポーツマッサージサービスも始める予定だとか。

敷地内には1日500円で利用できる駐車場がある他、シャワーブースも完備しているため、都内から車で来て、多摩川サイクリングロードを使って奥多摩方面や秩父方面へと走りに行き、シャワーを浴びて帰るという使い方もできるようになっている。そんなサイクルゲート多摩川について、代表を務める二戸康寛さんにお話しを伺ってきました。



― 新しくオープンしたサイクルゲート多摩川ですが、どういったお店なのでしょうか?

サイクルゲート多摩川の代表を務める二戸康寛さんサイクルゲート多摩川の代表を務める二戸康寛さん 子ども用のロードバイクがグロータックのローラー台にセットされていた子ども用のロードバイクがグロータックのローラー台にセットされていた

マッサージベッドも用意されており、将来的には専門のマッサーによるサービスも行いたいとのことマッサージベッドも用意されており、将来的には専門のマッサーによるサービスも行いたいとのこと 店長を務める池田さん もともと、なるしまフレンドで二戸さんとともに働いていた仲間だ。店長を務める池田さん もともと、なるしまフレンドで二戸さんとともに働いていた仲間だ。


― 以前のプント・ヴェントスに比べると、かなりサイクルショップに近いお店になっていますが、理由はあるのでしょうか

自転車の楽しみ方を伝えていこうとすると、どこを走る?どうやって走る?ということが大きな問題になるのはもちろんですが、やはり機材を使う趣味である以上、自転車のメンテナンスや適切な機材選びといったハード面でもサポートが必要になります。完全にソフト面に絞ってしまうと、自転車の楽しみを伝えるためには、遠回りになってしまう場面もあると考え、ハード・ソフト両面でサポートできるような施設として完成させました。

なので、多摩川を走っていてメカトラブルにあってしまった人の駆け込み寺のように使ってもらうことも考えています。そのために、火曜日以外は池田店長が常駐しているような体制をとっています。少しでも多摩サイを走るライダーの安心につながればと思っています。

― 東京ヴェントスのチームとのコラボレートなどはあるのでしょうか?

プント・ヴェントスで行っていたフィッティングサービスも継続していくプント・ヴェントスで行っていたフィッティングサービスも継続していく フィッティングは二戸さん自ら行うフィッティングは二戸さん自ら行う シダスのインソール成形も対応しているシダスのインソール成形も対応している 鉄棒を利用したサイクルラック鉄棒を利用したサイクルラック 基本的に目指している方向性は同じなので、いずれはチームの活動と融合させていきたいと思っております。ただ、チーム員の溜まり場みたいになってしまって、初めて訪れたかたが入りづらい……、なんてことになるのは本末転倒なので、選手たちには用事が無ければあんまり来るな、なんて言ってます(笑)

― サイクルゲートという名前はどういったところから来たのでしょう?

この場所が、自転車を楽しむスタート地点となるようにという想いをこめています。スポーツサイクルという世界自体へのゲートとして、色んな人を迎え入れたいですね。

既に自転車に乗っている人にとっては、ここを拠点としてツーリングに出かけてもらうような楽しみ方を提案していきたいと思っています。1日500円の駐車場があるので、ここまで車で来てもらえば都内のストレスフルな道を走ることなく、絶好のサイクリングフィールドが目の前に広がっています。目の前の多摩川サイクリングロードからは、上流へと向かえば奥多摩や秩父に走りに行くこともできますし、八王子方面へと向かえば相模湖や宮ケ瀬湖を走ることもできます。

校舎の中にはシャワールームも完備されているので、走り終わった後にはサッと汗を流すこともできますし、近いうちに洗車場を整備する予定なので、自転車も綺麗にして帰ることが出来ます。都内のサイクリストにとって、まさに自転車を楽しむための「ゲート」のような存在になれれば良いですね。

― 最後に、今後の展開について教えてください。

今はオープンしたばかりで、まだあまりここにこういったものがあるということ自体が認識されていないと思うので、まずはそこの認知からですね。これからはツーリングツアーなども手掛けていきたいと思っています。あとは、ただ、いかんせん手が足りていないので、サポーターを募っていきたいですね!

これから、お客さんが来られるなかで「あれがやりたい、これが欲しい」という要望も沢山出てくると思います。そういったこの地域を走るサイクリストの期待に応える場所として、色んな意見を取り入れていきたいんです。皆さんと一緒に、このエリアを自転車で盛り上げて行きたいので、ぜひ一度足を運んでみていただければ!

目の前に広がる多摩川。奥多摩や秩父、宮ケ瀬など自転車向きのフィールドへのアクセスは最高だ目の前に広がる多摩川。奥多摩や秩父、宮ケ瀬など自転車向きのフィールドへのアクセスは最高だ


どんなレベルのサイクリストにも門戸を開いてくれるサイクルゲート多摩川。多摩サイを走るライダーの憩いの場として、これから受け入れられていくのではないだろうか。より多くの人が自転車の楽しみの知る為の入り口として、サイクルゲートの活動に期待していきたい。

text&photo:Naoki.Yasuoka