愛媛県の最西端に位置する「佐田岬」。9月26日にこの地で「サイクリング佐田岬」と名付けられたロングライドイベントが開催された。150名のサイクリストが集まった絶景ライドの様子を紹介しよう。



海を眺めながらの絶景サイクリングが味わえた「サイクリング佐田岬」海を眺めながらの絶景サイクリングが味わえた「サイクリング佐田岬」
地図を見ればすぐにその存在に気付くだろう。まるで四国が九州と手を結ぼうとしているように細く伸びる半島があることに。愛媛県の西側から約35kmにわたって海へと突出している佐田岬は、日本一細長い半島として有名なエリアである。

陸続きながらも、しまなみ海道同様に海を眺めながらの絶景サイクリングが味わえる「サイクリング佐田岬」のコースは2クラス。スタートの八幡浜市から佐田岬先端付近の三崎港を折り返すロングコース91.8kmと、途中の伊方亀ヶ池温泉でフィニッシュするショートコース24.2km。どちらも佐田岬の海と山を満喫できる旧道メインのコースとなっている。

晴天の朝日にテンション上がる参加者晴天の朝日にテンション上がる参加者 愛媛県のアテンドスタッフのガイドスキルは高い愛媛県のアテンドスタッフのガイドスキルは高い

挨拶をいただいた上甲副知事と門田基志さん挨拶をいただいた上甲副知事と門田基志さん 号砲が鳴り響き、いよいよスタート号砲が鳴り響き、いよいよスタート


大会当日は朝から気持ちの良い秋晴れに恵まれるなか、およそ150名の参加者が開会式の行われた道の駅、八幡浜みなっとに集まった。その中には八幡浜市長の姿も。なんと参加者と一緒に走るそうだ。この記事を読むみなさんはご存じかもしれないが、八幡浜市は毎年マウンテンバイクシリーズ戦とオリンピック国内選考会が行われる常設コースを持つ町でもある。市長は開会の挨拶で、八幡浜市合併10周年の節目にこのイベントが開催された喜びを伝えた。

3方を海に囲まれた半島ということもあり、全ルート上ほぼ海を見渡しながらゆるくアップダウンが続く絶景コースを堪能することに。海を左手にしながら、すぐそばにはみかん畑が連なる山肌が迫り、ダイナミズムを感じながらのサイクリングとなる。

照り返しの朝日を浴びながらゆるやかなアップダウンを繰り返す。照り返しの朝日を浴びながらゆるやかなアップダウンを繰り返す。 すでにみかんの収穫の始まった段々畑の中を抜けるすでにみかんの収穫の始まった段々畑の中を抜ける

第一フィードポイント伊方町役場第一フィードポイント伊方町役場 笑顔に癒されながら桃のシロップ漬けを頂く笑顔に癒されながら桃のシロップ漬けを頂く


海からいきなり立ち上がる絶壁に敷かれた旧道をメインに使う往路。高みから見渡せば一面に広がる蒼海、ちらほらと古民家が並ぶ漁村、そして愛媛の至宝であるみかん畑。海と大地の恵みを感じさせられる風景が次々と現れる。眩しい朝陽が目に沁みないようにとの配慮からか、スタート直後は西へと向かう。背中から浴びる朝日に振り返ると、まばゆく輝く海の照り返しが幻想的だ。往路は旧道で道が狭いため、時折対向車が現れるが十分に気を配って走行すれば、絶景を堪能できる素晴らしいコースだ。

最初のエイドステーションはスタートから13km地点の伊方町役場。景色に見とれ、気が付かないうちに伊方町へと入っていたようだ。ここでは地元銘菓のパンと桃のシロップ漬けが振る舞われ、早くも旅のグルメを期待させる。これぞサイクリングイベントの最大の楽しみである。

伊方町役場を過ぎると一気に標高を上げていく。伊方町役場を過ぎると一気に標高を上げていく。 旧道の下りが爽快だ旧道の下りが爽快だ

梅ジュースを振舞われる、サイクリストにはうれしい補給だ梅ジュースを振舞われる、サイクリストにはうれしい補給だ 町見フィードで八幡浜市長の自転車好きの笑顔町見フィードで八幡浜市長の自転車好きの笑顔

ショートコースのフィニッシュお出迎えのフィードスタッフショートコースのフィニッシュお出迎えのフィードスタッフ 往路中盤を過ぎさらに佐田岬先端に近づく往路中盤を過ぎさらに佐田岬先端に近づく


伊方町役場を通過すると、いよいよ本格的に細長い半島へと入り込む。まずは標高を上げるべく少しばかりヒルクライム。その先にあるのは絶壁から海を見下ろす絶景。これぞ佐田岬半島の醍醐味だ。地形に沿った旧道を走るため、佐田岬に点在する漁港を通過するたびに海面近くまで下ることになるが、そのアップダウンが気持ちいい。

海沿いの道をロードレーサーで駆け抜ける感覚は爽快の一言。途中、ショートコースのフィニッシュ地点である亀ヶ池温泉が現れる。ここでショートコースとはお別れとなる。雄大な景色に見とれているうちに、あっという間に終わるショートコースのフィニッシュにはしらす丼ときよみの柑橘ジュースが用意され、グルメ欲を満たしてくれる。

突如配られるしらすの袋詰めに地元愛を感じた突如配られるしらすの袋詰めに地元愛を感じた 魚肉ソーセージと冷やし焼き芋、おいしいものが絶えない魚肉ソーセージと冷やし焼き芋、おいしいものが絶えない

地元の方の声援、参加者の一番の励みです。感謝地元の方の声援、参加者の一番の励みです。感謝 三崎町に近づく旧道は一旦稜線まで標高を上げていく三崎町に近づく旧道は一旦稜線まで標高を上げていく


ショートのフィニッシュを横目にロングコースはちょうど1/3を通過。途中、名所である堀切大橋の下でなにやら差し出す方が。いただいた袋の中にはしらすがびっしり!コース途中で思わぬお土産にさらにテンションが上がる。

そして往路の旧道最後のエイドでは魚肉ソーセージと冷やし焼き芋が。折り返しのランチポイントに向けて、さらに満たされる胃袋にサイクリングの楽しみが増す。

走りも食も満たされたお昼休み走りも食も満たされたお昼休み サポートスタッフも大満足サポートスタッフも大満足

三崎町折り返しまでの苦労もスタッフの笑顔で心和みます三崎町折り返しまでの苦労もスタッフの笑顔で心和みます 名物しらす丼。量もほどよくガッツリのイクラ乗せがまたいい名物しらす丼。量もほどよくガッツリのイクラ乗せがまたいい

頂上線ならではの両岸の海を堪能頂上線ならではの両岸の海を堪能 いよいよ佐田岬の付け根に戻ってきた。フィードポイントのきらら館いよいよ佐田岬の付け根に戻ってきた。フィードポイントのきらら館


岬の先端に近づくにつれ、砂浜の色もエメラルドグリーンのようにきれいな色に変化していく。そして折り返し地点の「佐田岬はなはな」に到着。ここでロングコース参加者はやっとしらす丼にありつけた。さすが地元名産のしらす。佐田岬の先端近く、海の真ん中で食べる新鮮しらす丼はここだけでしか味わえない磯の味。きよみジュースの酸味と甘みのバランスもいい。

いよいよ復路。帰りは佐田岬半島の頂上を繋いでいく国道197号線を走っていく。そのためゆるやかではあるがアップダウンは大きい。この国道、別名佐田岬メロディーラインといい、道路に掘られた溝により「みかんの花咲く丘」をクルマの走行音で奏でる箇所がある。

フィニッシュフラッグは漁業の町ならではの大漁旗フィニッシュフラッグは漁業の町ならではの大漁旗
愛媛県庁の職員、藤原康芳さん(左)佐伯登志男さん(右)と門田基志さん。これからの自転車新文化を生み出していく愛媛県庁の職員、藤原康芳さん(左)佐伯登志男さん(右)と門田基志さん。これからの自転車新文化を生み出していく 完走証は参加者の誇り完走証は参加者の誇り


残念ながら自転車ではその音は鳴らないが、横を通過するクルマの走行音からメロディーが聞き取れるのが面白い。頂上線ということもあり各エイドでは瀬戸内海と宇和海と両手に見ることもできる佐田岬独特の景色に感動。そのまま夕日を浴びながらフィニッシュの八幡浜港へと向かう91.8kmののんびりサイクリングをゴールした。他県にない細長い岬を走るという体験は本当に面白いもの。そして、美味しいものにも満たされた秋のサイクリングだった。



佐田岬へのサイクリングのスタートポイントでもある道の駅 八幡浜みなっとへのアクセスは
●九州からは宇和島運輸フェリーで八幡浜フェリーターミナルへ
別府(大分県)~八幡浜(愛媛県) 所要時間2時間50分
臼杵(大分県)~八幡浜(愛媛県) 所要時間2時間25分
八幡浜フェリーターミナルから 徒歩3分

●最寄り駅:JR予讃線八幡浜駅 所要時間 車で5分
●最寄りIC:松山自動車道大洲ICから 所要時間 車で25分

photo&text:Taro.Okamoto

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