8月22日(土)、23日(日)の2日間にわたって開催されたシマノ鈴鹿ロードに出展していたメーカーや輸入代理店のブースから気になる製品をピックアップして紹介します。今回は各社から登場した新型ロードバイクとアクセサリー類を紹介します。



エアロロードだけではない。各社様々な新型バイクをお披露目

キャノンデール SUPERSIX EVO Hi-MODキャノンデール SUPERSIX EVO Hi-MOD
いかにも戦闘用というフォルムのエアロに特化したバイクに目が行きがちになるが、2016年モデルでは様々なバイクが登場している。1台で何役もこなせるオールラウンダーを展示していたキャノンデール、リドレー、ピナレロ、KEMOなどを紹介しよう。

前回紹介したエアロロードと同様にツール・ド・フランス開幕前のタイミングで、キャノンデールは旗艦バイク「SUPERSIX EVO Hi-MOD」のモデルチェンジを発表した。今回のシマノ鈴鹿でキャノンデールは一際大きなブースを展開し、新モデルCAAD12やSLATEとともに展示を行っていた。

注目の新モデルSUPERSIX EVO Hi-MODは伝統的なロードバイクのルックスはそのままで、一見したところでは前作と大きく変わった場所がないように見える。しかし、フロントフォークは細身となり、各チューブはTAPと呼ばれるエアロ形状となるなど、大幅な変更が与えられた全くの新しいモデルとして生まれ変わっていた。

元プロでさまざまなバイクカテゴリーを経験してきた山本和弘さんはキャノンデール SLATEがオススメ元プロでさまざまなバイクカテゴリーを経験してきた山本和弘さんはキャノンデール SLATEがオススメ 2時間エンデューロでは山本さん自らSLATEを駆り、その走行性能の高さをアピールした2時間エンデューロでは山本さん自らSLATEを駆り、その走行性能の高さをアピールした


来場者の中でも熱心なホビーレーサーは新型の変更点をブース担当者の方に聞いていたり、食い入るようにフレームを見に焼き付けていたりしていた。詳しいテクノロジーなどはスペシャルコンテンツに詳しい。

さらに、キャノンデールブースでは、ロードレースイベントで見慣れないフロントサスペンション付きのバイクが展示されていた。そのバイクはSLATE。ロードともMTBとも、さらにはCXとも異なる出で立ちのバイクは、今年キャノンデールがリリースした、カテゴリーという概念を取り払った新発想のバイクである。

太いスリックタイヤを履き、ロックアウト機能がついたサスペンションを搭載しているため、ロードからグラベル、トレイルまで1台でこなせてしまうという。今回のシマノ鈴鹿では展示のみだったが、土曜日の2時間エンデューロでは昨年までプロ選手としてMTBからロード、CXといった分野で活躍していた山本和弘が、SLATEを駆りオンロードでの走りの軽さをアピールしていた。

リドレーのミッドレンジカーボンバイク FENIX SLがイチオシリドレーのミッドレンジカーボンバイク FENIX SLがイチオシ
モデル名の通りフェニックスのグラフィックがあしらわれているモデル名の通りフェニックスのグラフィックがあしらわれている ダウンチューブとフォーククラウンを一体化させたようなデザインによって空力効果を高めたダウンチューブとフォーククラウンを一体化させたようなデザインによって空力効果を高めた


次は春のクラシックでロット・ソウダルの一部の選手が使用したリドレーの新型バイク「FENIX SL」を紹介しよう。オールラウンドモデルHELIUMのような扁平したシートステー、エアロモデルNOAH SLのようにヘッドチューブと一体化したようなフォーククラウンなど、さまざまなバイクのエッセンスを取り入れ、より快適に、より空力に優れる1台へと生まれ変わっている。

今回のシマノ鈴鹿では試乗車として用意されており、ロット・ソウダルのレプリカカラーや白と水色の組み合わせが爽やかなカラーなどで客引きは強かった。他にもHELIUMの試乗車なども揃えられた充実したブースとなっており、数多くの来場者が新型バイクを試したそうだ。

春のクラシックで活躍したピナレロ DOGMA K8-S春のクラシックで活躍したピナレロ DOGMA K8-S
薄く扁平したチェーンステーが振動吸収性に大きく貢献している薄く扁平したチェーンステーが振動吸収性に大きく貢献している パヴェで戦うために備えられたサスペンション機構パヴェで戦うために備えられたサスペンション機構


チームスカイが駆ることで有名なピナレロブースの展示のメインは、サスペンションを搭載した「DOGMA K8-S」と、ハイエンド「F8」のテクノロジーを使用したミドルグレード「GAN」シリーズだ。今年の春のクラシックからレースに投入し、周りを驚かせたDOGMA K8-Sは、やはり来場者たちの目を一際引いていたようだ。サスペンションやチェーンステーの構造など快適性に質問する来場者たちは数多く、ブース担当者の方が引っ張りだこになっていたのが印象深い。

そして、GANシリーズは試乗車も用意されており、F8の系譜を継ぐバイクの性能を確かめようとサイクリストたちが列をなしていた。

ケモ KE-R8ケモ KE-R8
シマノ鈴鹿ロードのブースエリアの一角に、スイスの新興ブランドKemo(ケモ)が出展していた。ブース担当者のイチオシはハイエンド「KE-R8」だ。近年数社のトップレンジバイクに採用されているTextremeカーボンを使用することで、軽量かつ高い剛性を備えていることが特徴だ。

試乗車も用意されており、まだまだ見慣れないロードバイクを試すサイクリストもいたようだ。しかし、過去にはプロチームへ供給していた実績も持つブランドだけに、これから人気がでる伸びしろは十分にありそうだった。



女性のために生み出されたレース用バイクも熱い!

ウィメンズロードのハイエンドArima SL4も試乗車として用意されていたウィメンズロードのハイエンドArima SL4も試乗車として用意されていた
最小は44サイズとなっており小柄なライダーも問題なく乗ることができる最小は44サイズとなっており小柄なライダーも問題なく乗ることができる 見る角度によって色合いが変わる独特なカラーリングが施されている見る角度によって色合いが変わる独特なカラーリングが施されている


普通ロードバイクは性別を考慮せずに開発されるものだが、近年増え続けているスポーツバイクに乗る女性の人口に呼応するかのように、いくつかのブランドで女性専用設計のバイクが登場している。スペシャライズドのブースでは試乗車として女性用のオールラウンドモデル「S-Works amira SL4」が用意されていた。

スペシャライズドの誇るS-Works FACT 11rというカーボンを使用したハイエンドバイクは、女性の身体にあわせたジオメトリーを採用しており、女性の体格やパワーに適した設計となっていることが特徴だ。さらに最も小さな44サイズは、トップチューブ長491mmと小柄な方も十分に乗りこなせるようになっている。男性に負けない気迫でレースを繰り広げるシマノ鈴鹿ロードに参加する女性ライダーにピッタリだろう。

女性用ブランドLivのシクロクロスバイク「BRAVA SLR」がオススメの1台女性用ブランドLivのシクロクロスバイク「BRAVA SLR」がオススメの1台
シートステーの接合部は補強用に溶接が加えられているシートステーの接合部は補強用に溶接が加えられている トップチューブのロゴデザインが特徴的だトップチューブのロゴデザインが特徴的だ


加えて、ジャイアントブースにも女性用ブランド「Liv」のシクロクロスバイク「BRAVA SLR」が展示されていた。もちろん女性の体に適したフィット感とコントロール性となるようなジオメトリーとなっており、これからCXに参戦しようと考えているライダーにおすすめの1台である。

トップチューブはアーガイル柄となっており、可愛らしい女性を意識したカラーリングが施されているが、シマノ鈴鹿ではジャイアントにはない独特な色使いで一部の男性には好評だったそうだ。今季からLivチームとしてCXに参戦する武田和佳選手が実際に使用するそうなので、気になる方はレース会場で見てみてはどうだろうか。



シマノ鈴鹿ロードの主催、シマノブースにフォーカス

グラフィックが黒で統一されたステルスエボグラフィックが黒で統一されたステルスエボ ツール・ド・フランス期間中に発表されて話題となったTeXtream Carbon Discツール・ド・フランス期間中に発表されて話題となったTeXtream Carbon Disc

ロングライド用のロードシューズラインナップが一新された。R321のテクノロジーを多く引き継いでいるようだロングライド用のロードシューズラインナップが一新された。R321のテクノロジーを多く引き継いでいるようだ 女性用エントリーグレードもモデルチェンジ女性用エントリーグレードもモデルチェンジ


シマノ鈴鹿はバイクブランドだけではなく、エキップメントやアクセサリーを扱うメーカーや輸入代理店のブースが充実していることも特徴だ。自転車パーツやヘルメット、シューズ、コンピューター類を紹介しよう。

イベントの主催でもあるシマノのブースでは新型ティアグラやXTの展示に加えて、プロライダー達が好んで使うハンドルやステム、シートポストシリーズ「PRO バイブカーボンシリーズ」が並べられていた。バイブカーボンシリーズは白のラインをあしらったグラフィックが特徴だが、ブラックのラインをあしらったシックなグラフィックの新製品が登場していた。また、PRO製品の中には、ツール・ド・フランス期間中に登場し、話題を呼んだディスクホイール「TeXtream Carbon Disc」が展示されていた。

中でもシマノブースの担当者イチオシアイテムは、新しく加わったロードパフォーマンスシリーズだ。これは、上級者用からエントリーモデルまで5モデルをラインナップしており、ロングライド目的のサイクリストも最適だ。シューズには昨年登場したハイエンドロードシューズ「R321」のテクノロジーを使用しており、長い距離を快適に過ごせるシューズだという。また、デザインも白もしくは黒のモノトーンを採用することで、より多くの人が選びやすくなっている。



ライダーの安全を守るヘルメットを紹介

アーバンユースからスポーツユースまでこなせるKOOFUのBCシリーズアーバンユースからスポーツユースまでこなせるKOOFUのBCシリーズ STEAIR LADIESはスタイリッシュな色使いを施しているSTEAIR LADIESはスタイリッシュな色使いを施している

カブトのブースでは根性が注入されそうなボトルなどが販売されていたカブトのブースでは根性が注入されそうなボトルなどが販売されていた ヘルメットのプロがお悩み相談などにのってくれるサービスも展開していたヘルメットのプロがお悩み相談などにのってくれるサービスも展開していた


まずは日本人の頭の形に適したヘルメットをリリースするカブト。ブースではカブトが手がけるボトルやグローブなどの販売が行われており、数多くの来場者が足を運んでいた。さらにヘルメットに関しての質問などを気軽にできるコンシェルジュサービスが展開されており、お手入れの仕方などのアドバイスを受けに来るサイクリストもいたようだ。

加えて、カブトブランドからは帽体をスリムにしたSTEAIR LADIES、KOOFUブランドからは今春登場したばかりファッション性が高いBCシリーズが展示されており、女性ライダーから大きな注目を集めていた。

カスクのオススメはハイエンド「protone」とデローザとコラボした「vartigo」の2種類だカスクのオススメはハイエンド「protone」とデローザとコラボした「vartigo」の2種類だ ジロのヘルメットラインアップも勢揃いしていたジロのヘルメットラインアップも勢揃いしていた


チームスカイが使用していることで注目度が高いヘルメットブランド、カスク(KASK)も製品を揃えてシマノ鈴鹿に参加していた。担当者のオススメはツール・ド・フランスでクリス・フルームも使用していたハイエンド「protone」とデローザとコラボした「vartigo」の2種類だ。

そして、ハイエンドのSYNTHEからAEON、アーバン向けのASPECTまで幅広く展示していたのは、カチューシャやBMCが使用するブランド、ジロ。シマノ鈴鹿はレース時間が短く、スプリント勝負になることが多いためかエアロヘルメットAIR ATTACKを使用しているライダーもいたようだ。ブース担当者の方にフィッティングについて相談してみたところ、SYNTHEはやや欧州型だが、ミドルグレードのAEONになると日本人型の頭でもフィットするという。


text&photo:Gakuto.Fujiwara
photo:So.Isobe