8月22日(土)、23日(日)の2日間にわたって三重県の鈴鹿サーキットで開催された、ホビーレースの祭典「シマノ鈴鹿ロードレース」。参加者のべ1万3千人という、国内最大規模のイベントの様子をレポートする。



ホビーレースの祭典シマノ鈴鹿ロード2015ホビーレースの祭典シマノ鈴鹿ロード2015
「シマノ鈴鹿ロード」は、国内のレースイベントの中でも最大規模を誇り、今年で32回目を迎える老舗大会である。毎年8月第3週の土日2日間にわたって、大小様々なレースやイベントが開かれる「ホビーレーサーの祭典」と呼ぶのにふさわしいイベントだ。

舞台となるのはその名の通り三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキット。F1日本GPやオートバイの鈴鹿8時間耐久といったモータースポーツの中でも最高峰のイベントを数多く開催してきたサーキットで、今年はインターハイのロードレースが鈴鹿サーキットで開催されているなど、古くから自転車イベントも数多く開催されている場所だ。

1時間サイクルマラソンやキッズレースなどは東コースと西コースを使うものの、種目のほとんどが全長5.8kmの国際コースで行われる。安全のためフィニッシュが登りとなるよう逆走でコースを回るが、「超級山岳」とも呼ばれる長いホームストレートの登り、大小さまざまなコーナー、ジェットコースターのようなS字などバラエティあふれるレイアウトは走りごたえもたっぷり!

スプリント!スプリント!スプリント!シマノ鈴鹿ロードと言えばスプリント勝負スプリント!スプリント!スプリント!シマノ鈴鹿ロードと言えばスプリント勝負
今にも雄叫びが聞こえてきそうなガッツポーズ今にも雄叫びが聞こえてきそうなガッツポーズ プロさながらにロゴマークをアピールプロさながらにロゴマークをアピール


さて、シマノ鈴鹿ロードの朝は早く、会場のゲートが開門される朝4時前には既に参加者たちが各チームの拠点を確保するために待機。毎年灼熱の熱気に包まれるシマノ鈴鹿ロードだけに、場所取りは一日快適に過ごせるかどうかがかかっているため、気合いの入りようも納得である。

ゲートオープン後、あっという間にピットには人が集まり、バイクラックもほぼすべて満杯に。参加者受付も絶えず100名以上が並ぶため、パドック内はまるでF1が開催されているのかと錯覚するほどにぎゅうぎゅう詰めだ。

試走時間が終了し開会式を経て、2日間40種目以上あるレースのトップバッター「5周の部」のスタート。シマノ鈴鹿ロードの種目は年令や性別、脚力によってカテゴリーが分けられた、純粋なロードレースが多数を占めているので、誰でも入賞の可能性が大いにある。

応援の熱量も高いのがシマノ鈴鹿ロード応援の熱量も高いのがシマノ鈴鹿ロード 最もテクニカルなS字コーナーで熱い声をかける最もテクニカルなS字コーナーで熱い声をかける

集団内にいる仲間を探す。無事見つけられましたか?集団内にいる仲間を探す。無事見つけられましたか? 熱気に負けない熱い応援もたくさん「あと30回転上げろ!」熱気に負けない熱い応援もたくさん「あと30回転上げろ!」


レースの多くはゴール前のスプリントで勝負が決するため、スプリントを得意とする方にとっては大きなチャンス。しかし登りやテクニカルな下りを利用した逃げも頻発し、しかも短距離決戦のため、その応酬や駆け引きがとても奥深いのだ。参加者さんの言葉を借りれば、「ロードレースの魅力が詰まっているのがこのシマノ鈴鹿ロード」だし、そこで勝利を狙うために練習を積むホビーレーサーも本当に多いのだ。

もちろんシマノ鈴鹿ロードはスプリントレースだけではなく、ゆったりと走りたい人向けの種目も数多く。1時間サイクルマラソンなどは待機列が最終コーナーにまで達するのではないかと思うほど。とにかくどんな方でも楽しく走れるのがシマノ鈴鹿ロード。レース志向の方でなくとも一度は参加して、その雰囲気を感じてもらいたいな、と筆者は毎年のように思う。

1日目は分厚い雲に覆われたサーキットは気温の上昇から免れ、灼熱のイメージとは異なる涼しく過ごしやすい一日となった。しかし、サーキットにいた関係者全員(といっていいだろう)は、時折こぼれ落ちてくる水滴に、昨年の豪雨を心配したのだった。。。

コース上に数多くのトレインが並ぶ光景は圧巻だコース上に数多くのトレインが並ぶ光景は圧巻だ 国内最大規模のチームタイムトライアルレースには多くのライダーが参加した国内最大規模のチームタイムトライアルレースには多くのライダーが参加した

レディースカテゴリーもあり、TTTに華を添えたレディースカテゴリーもあり、TTTに華を添えた キレイな車列を組みタイムを削るキレイな車列を組みタイムを削る


それでも天候は持ちこたえ、午後には1日目のメインであるチーム種目が次々と始まる。ホービーチームから実業団、プロチームまでが走るチームTTは、国内でも最大規模のタイムトライアル競技。個人種目よりも一層熱量が高く、応援する観客たちの声も一際大きい。ディスクホイールが風をきる音、隊列から聞こえる指示の声、コース脇にいる応援の声を聞けば、見ているだけでもテンションが高まってくる。そして、ゴール後にチーム員と握手をし健闘を讃え合う姿をみると、来年は自分もチームを組んで走りたいな、と思わされてしまう。

チームTTも終わればいよいよシマノ鈴鹿ロードのメイン種目といっても良い「2時間エンデューロ」のスタートだ。今年はソロから4人チームまで含め約3000ものライダーが参加し、ホームストレートを埋め尽くした。スタート後は人が絶えることなく連なる光景は圧巻の一言だ。

ピットウォールから応援する人、自分の出番を待つ人、ライダー交代の手伝いをする人であふれ、ピットレーン内は真っ直ぐ歩くことができなくなるほど(笑)。ワイワイと楽しんでいるうちに時間はあっという間に過ぎてしまう。シマノ鈴鹿ロードは土曜日のチーム種目のみでるというライダーが多く、レース後はチームで集合写真を撮ったり、余韻に浸る姿も数多い。そして、毎年恒例の花火大会でピリオドが打たれるのだ。

2時間エンデューロはコース上の車列が途切れることはなかった2時間エンデューロはコース上の車列が途切れることはなかった
ピットウォールから仲間を応援するピットウォールから仲間を応援する 素早いライダー交代のためにピットでは仲間が待ち受ける素早いライダー交代のためにピットでは仲間が待ち受ける


さて、日曜日。土曜日の曇模様とは打って変わって、予想最高気温は38℃と、熱中症対策が不可欠。熱中症にこそ気をつけなければいけないが、これぞシマノ鈴鹿ロード!事前予約でエアコン付きの個室を確保したチームはとても快適そうだ…。私たち取材班にもエアコンルームが欲しい。

この日もレースは分刻みで行われ、絶えずスプリント合戦が繰り広げられている。しかしレースだけでなく、その裏で行われるイベントが充実しているのもシマノ鈴鹿ロードが人気の理由。インターマックス代表の今中大介さんによる脱初心者を目指すライダー向けのレース講座や、絹代さんによる女子自転車講座に列ができるのは、毎年お馴染みの光景だ。シマノレーシングの栄養管理士を務める河南こころさんによるサイクリストのための栄養学講座が今年は新登場し、熱心な受講者が集まった。

ピットビルとブースエリアの間のスペースで毎年行われるのは、ブラッキー中島さんによるウィーラースクール。メインの子供向け講座には、ゲスト講師としてシマノレーシングやチーム右京など、豪華ゲストも多数参加。大人向けの講座も開かれており、自転車走行に必要な基本的なスキルを身につけるために参加するライダーも数多かった。安全面の配慮も忘れないのがシマノ鈴鹿ロードの良いところ。

ブリッツェンの選手らもウィーラースクールのゲスト講師として活躍したブリッツェンの選手らもウィーラースクールのゲスト講師として活躍した 全日本チャンピオンの窪木選手から直接手渡されるプレゼント全日本チャンピオンの窪木選手から直接手渡されるプレゼント

絹代さんの知っとく講座では女子ライダーのためのアドバイスが贈られた。なかには男性ライダーにも得するような情報も絹代さんの知っとく講座では女子ライダーのためのアドバイスが贈られた。なかには男性ライダーにも得するような情報も シマノレーシングによるサイン会も開かれ多くのファンが詰めかけたシマノレーシングによるサイン会も開かれ多くのファンが詰めかけた


そしてシマノ鈴鹿ロードで忘れてはならないのが、各メーカーが大集合する出展ブースだろう。大手からサードパーティ系までたくさんのブースが並ぶその様は、ひょっとしたら国内のどのサイクルショーよりも規模が大きいのでは?と感じてしまうほど。一般ユーザーに初お披露目される新型バイクもあれば、人気バイクの試乗、特価セールなど、あちこちで人だかりができていだ。(ブースで展示されていた製品をピックアップした記事は後日公開予定です。)

最も熱さ厳しい午後にスタートを切るのが国内外のプロ選手が走る国際ロードだ。トッププロが繰り広げるガチンコバトルの裏側では、毎年「どこまで食らいつけるか?」と意気込むホビーレーサーの熱すぎる戦いも繰り広げられるのだ。「まだ集団にいる!」「ついに千切れた!」と仲間の走りに喜んだり、ヤジを飛ばしたり?。レースの最初から最後まで、コースサイドは大いに盛り上がったのだった。

レースを走って良し、観戦して良し、ブースで遊んでも良し。楽しみどころが盛りだくさんのシマノ鈴鹿ロード。本格的なロードレースデビューにも、普段の練習の成果を発揮する晴れ舞台としても、そしてお祭りの雰囲気を味わうだけでも訪れて欲しいのがシマノ鈴鹿ロード。来年もサイクリストたちの熱気がサーキット中にあふれること、間違いないはずだ。

text&photo:Gakuto.Fujiwara
photo:So.Isobe、Masanao.Tomita


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