「次の日曜日に同伴者連れてくるから、付き合ってくれ!」 前回の別れ際に有無も言わさず日程を決め付けたメタボ会長。

メタボ会長とともに現れたのは経理部のお姉様でした。メタボ会長とともに現れたのは経理部のお姉様でした。 その日曜日がやって来た。

新堤防でメタボ会長を待っていると、一人の女性を伴ってやって来る。
「ありゃ誰だ?」 不安と共にそれとなく顔を覗き込むと、本社経理部のお姉様だった。

メタボ会長の激痩せ?が女性陣の間ではもっぱらの評判で、自転車に対する関心が芽生え始めているそうである。

何でも、メタボ会長に直談判し経理部の備品として自転車をゲットしたそうである。

「おいおい!編集部には厳しいくせに、女性陣には随分と甘くないかい?」
二人の前でこんな言葉を吐く勇気などある筈がない私であった。

爽やかな緑の中を微妙な立場の3人が進む。爽やかな緑の中を微妙な立場の3人が進む。 「ゆっくり走ってやるから無理すんなよ。出発!」

爽やかな緑の中を微妙な立場の3人が進む。我がホームコースは初級者にはうってつけのレイアウト。豊かな緑の木々が日光を適度に遮ってくれるおかげで、まるで避暑地にいるかの如く空気もおいしい。

穏やかな表情で談笑しながら並走する二人を見ているもの悪くない。やっぱり、自転車っていいもんである。
木漏れ日の中を、西武園ゴルフ場を横に見ながら、のんびりと車列は進む。

ふと、会話の内容が気になり聞き耳を立ててみると、

「この前出した領収書って、なんとか落とせない? 本当に接待なんだけど ・・・・。」
おいおい、オッサン! 随分と情けないお願いしてますね。(笑)

「なあ、領収書どうにかなんない?」 このオッサンはかなり情けない「なあ、領収書どうにかなんない?」 このオッサンはかなり情けない 彼女に懇願するその姿は、普段のメタボ会長からは想像できない哀れで滑稽な姿だった。その巨体を縮こまらせて、上目使いにお姉様に必死で説得を試み続ける。

是非、ビデオにでも収めて編集部全体で大笑いしたい!そんな衝動に駆られる光景が目の前で繰り広げられている。

ここで、お姉様がピシャリ!と言い放った!

「いくら会長でもダメです!会社の状況をちゃんと考えて下さい!そもそもキャバクラとかじゃなくて、もっとしっかりとしたお店で接待しないと、お客様にも失礼ですよ!」

おぉぉ!女神降臨!!!

「やっぱりダメか?」 「ダメです!」 オッサン!しつこいよ!(笑)「やっぱりダメか?」 「ダメです!」 オッサン!しつこいよ!(笑) 絶対の権力を誇るメタボ会長相手に、ここまでハッキリとモノ言える人が社内に居たなんて!
お姉様がキラキラと輝いて見える。これからはメタボ会長の事で困ったら、真っ先に彼女に相談しよう。
私の心につかえていた何かが、すーっと消えていく気がした。

「今日のサイクリングにお付き合い頂いた事はとっても感謝しています。でも領収書のお話は別です。」
どうやらこのお姉様はメタボ会長に厳しく接するのが、とってもお気に入りのようである。

「でも、その店はお客様が望んだもので ・・・・。」

オッサン!しつこいよ!心の中で大笑いしながら至福の時間を味わう私だった。
爽やかなサイクリングを楽しみながら、ホームコースをのんびり1周し再び新堤防に到着。

和やかな雰囲気で水分補給をしていると、偶然にも犬の散歩に来ていた本社の新卒社員さんにバッタリ。

バッタリ出会った新人さん。ぎこちないけど楽しそうです。バッタリ出会った新人さん。ぎこちないけど楽しそうです。 「わぁぁ!自転車ってカッコイイんですね!」この彼女の一言を合図にたちまち女性陣による試乗会のスタートだ。

メタボ会長に奪われた私の愛車もサドルを下げられ、彼女達のオモチャに早変わり。

新堤防周りを行ったり来たり。二人とも社内ではまず見られない表情で、とにかく楽しそうに遊んでいる。意外な事に私の愛車が大人気である。

「見た目と違って凄く乗りやすいし、ペダルも軽く感じるね。」
「軽くて案外乗りやすいんですね。」

コチラは至ってスムーズ。ロードバイクが初めてとは思えない程だ。コチラは至ってスムーズ。ロードバイクが初めてとは思えない程だ。 全く笑顔を絶やす事無く、あっという間に30分の時が流れた。ひと仕切り遊び終えた彼女達からありがたいお言葉を頂く

「今日は編集部さんにまでお付き合い頂いちゃって、本当にありがとうございました。お休みの日なのにゴメンナサイね。でもお蔭様でとっても素敵なサイクリングになりました。こんなに清清しいものだったんですね。とっても楽しかった。」

その後も、彼女達から、ダイエット抜きに楽しい。会長が痩せた訳が分かった。こんないいコースなら一人でも来られる。などなど、感謝感激の言葉を立て続けに頂いた。


彼女達の目はキラキラと輝き、その表情は見事に純真無垢な少女のそれに変わっていた。
自転車に魅せられ始めた人々の表情は、いつ何時も同じ変化を醸し出す。

ヤラセじゃなく、彼女達は本当に楽しんじゃってます。ヤラセじゃなく、彼女達は本当に楽しんじゃってます。 この笑顔がイイですね。もうサイクリストに仲間入りでしょう。この笑顔がイイですね。もうサイクリストに仲間入りでしょう。


偶然合流した新人さんに至っては、「私も自転車欲しくなっちゃいました。」 何とも素早い決意を固めた様子だ。
また、メタボ会長の予算が圧迫される事は必至の状況である。
「私も自転車欲しくなっちゃいました。」  新人さんも仲間入り決定?「私も自転車欲しくなっちゃいました。」  新人さんも仲間入り決定?
そんな彼女達の姿に、自転車愛好家がまたまた増えそうな予感が私の心を満たしていく。自転車に魅せられていく人の姿を見るのはたまらなく心地良いい。

やっぱり、自転車っていいもんである!

「そろそろ、引き上げよっか?」
ひと仕切り、新緑の香りを味わった所で、メタボ会長の言葉をきっかけに、解散する事となった。

まだ諦めずに領収書の話をしながら坂を下って行く二人を見送りながら、私の中には小さな疑問が芽生え始めていた。

「やっぱダメか?」 どっちが上司なのか?私にはもう分りません。(汗)「やっぱダメか?」 どっちが上司なのか?私にはもう分りません。(汗) 本社にはメタボ会長以下、小山社長はじめ各事業部の長など荘々たるメンバーが揃っているのだが、社内で一番偉いのって本当は誰なんだろう? 私はてっきりメタボ会長がトップだと思っていたのだが ・・・・。

いやいや、こればっかりは考えてはいけない事だ!と、キツく自分に言い聞かせるも疑問が確信へと変わっていく。

「世の中を動かしているのは、我々男どもではない! 間違いなく女性達だ!」

何処からともなく押し寄せる確信を胸に、男に生まれた事を後悔しながら独り帰路につく私だった。



次回?女神達の気分次第ですかね?


メタボ会長連載のバックナンバー こちら です


「ポイ捨てはダメだぞ!携帯灰皿を忘れずに。」「ポイ捨てはダメだぞ!携帯灰皿を忘れずに。」 メタボ会長
身長 : 172cm
体重 : 87kg→79kg
自転車歴 : 3ヶ月目

当サイト運営法人の代表取締役。
高校3年まで野球に明け暮れ、大学時代にオートバイのロードレースに夢中になり、卒業後メーカー系チームに所属し全日本選手権に3年間出場。鳴かず飛ばずで所属チームを解雇された後、平成元年に現法人を設立、平成17年に社長を引退。平成20年よりメディア事業部にて当サイトの運営責任者兼務となるが、その勤務実態や社内での立場は謎に包まれている。ゴルフと暴飲暴食をこよなく愛し、タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。

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