「京都からコペンハーゲンへ」。地球環境について話し合われる締約国会議(Conference of Parties)が2009年12月にデンマークで開催されるにあたり、大規模なサイクリングイベント「デンマーク大使と走ろう、エコサイクリング」が5月23日から31日までの9日間、全国9都道府県で開催される。

COP15とは
COP15コペンハーゲンCOP15コペンハーゲン photo:www.cop15.jpCOPとは締約国会議(Conference of Parties)の略。地球温暖化の原因となる温室効果ガスに関して、年に一度、各国の環境に関わる省庁の大臣が集い、国連気候変動枠組み条約(UNFCC)の成果について話し合う国際会議だ。

1997年の第3回締約国会議(COP3)は、ご存知京都で開催され、地球温暖化に対する国際的な枠組みを設定した地球温暖化防止条約「京都議定書」が議決された。今や「キヨート」は、地球温暖化防止に向けた国際的な取り組みの象徴になっている。

そして2009年、最終回となる第15回締約国会議(COP15)が、2009年12月にデンマークの首都コペンハーゲンで開催される。

「世界のCO2を、1990年比5.2%削減(日本は6%削減)する」と取り決めた第一約束期間は2008年から2012年であり、2013年以降の国際的温暖化対策の目標値はまだ設定されていない。2013年以降の具体的目標を国連でまとめるには、2009年末に予定されているこのコペンハーゲンでのCOP15で、最終的に合意することが必要とされる。

立ち上がったデンマーク大使
COPサイクリングツアーCOPサイクリングツアー 京都とコペンハーゲンをつなぎ、2009年12月に開かれるCOP15コペンハーゲンへの関心を集めるため立ち上がったのが、フランツ=ミカエル・スキョル・メルビン駐日デンマーク大使だ。環境、気候変動、そして12月にコペンハーゲンで決定される対策について、人々に関心を持ってもらいたいと願う大使は、2009年5月、日本を自転車で巡るサイクリングツアーの開催を決めた。

その名も「デンマーク大使と走ろう、エコサイクリング」。2009年5月23日に東京をスタートし、安城、福島、札幌、宮崎、広島、今治、和歌山を経て日本での最終ステージ京都を目指す。6月5日にはデンマーク・コペンハーゲンで開催される予定だ。

大会は地球温暖化防止のアピールはもちろんのこと、健康的で環境にやさしい代替交通手段である自転車利用の奨励、そして各地自治体からデンマーク首相へのメッセージ伝達を目的としている。大会スポンサーにはデンマークの企業が名前を並べており、その中には、UCIプロツアーチームのスポンサーとしてお馴染みのサクソバンクも。
フランツフランツ
プログラム内容
1日の走行距離は15〜50kmで、午前9時から14時まで、大使や参加者はシンボルマークを付けて走行し、エコロジーをアピールする。参加者全員が走行した距離をエコサイクルマイレージとして記録・公表する予定。これは自転車活用が温暖化防止や健康増進にどれだけ貢献しているかを「数値」で表す試みだ。

午後からはゴール地点近くで展示イベントが行なわれ、環境をテーマにしたデンマーク及び日本の企業や自治体の取り組みを展示する。ステージイベントとして、大使と各地方自治体首長のメッセージ発表・採択、そしてトークショー、パネルディスカッションなどが行なわれる。そして交流会を兼ねたCOP15へのメッセージ採択と交歓レセプションで一日のスケジュールが終了する。

デンマークの取り組み
自転車専用道が整備されたコペンハーゲン市内自転車専用道が整備されたコペンハーゲン市内 photo:Kei Tsuji日本ではあまり知られていないが、デンマークは世界有数の「自転車国家」。大会公式ホームページの資料によると、デンマーク人が自転車で走る距離は、年間20億キロ以上にもなるという。

移動手段として自転車を利用する率は、イギリスが1パーセントに留まるのに対して、デンマークは18パーセント。平坦な地形や高い自動車税も影響して、様々な場面における移動手段として活用されている。

自転車専用道や駐輪場などのインフラの整備も進んでおり、国土面積は九州より少し大きい程度だが、その自転車専用道の総延長は3000kmに及ぶ。公共の交通機関への自転車持ち込みも可能で、コペンハーゲンなどの大都市では、20デンマーククローネコインをデポジットとした無料シティーバイクの活用が進んでいる。

実際にコペンハーゲンの都市部を走ってみると、市民の走るスピードに驚かされる。明確に区分けされた自転車専用道を、老若男女問わず、日本とは比べ物にならないほどスムーズに、心地よいスピードで走っているのだ。

通勤に自転車を利用しているのはコペンハーゲン住民の約36パーセント。コペンハーゲン市は、この高い自転車の利用率を、2015年までに50パーセントに上げることを目標にしており、達成されれば年間8万トンものCO2排出量が削減できる。また、世界一の自転車の町にするため、コペンハーゲン市は2億5千万デンマーククローネ(約38億5千万円)を投資する予定だという。

自転車先進国デンマークで開催されるCOP15サイクリングツアー「デンマーク大使と走ろう、エコサイクリング」の申し込みは3月10日スタート。詳しくは下記公式サイトにて。