シクロパビリオンが主催するワンデイツアーに参加した。その名も"ツール・ド・激坂"。東松山周辺には適度な難易度な峠が数多くあり、その峠のなかから、浅田監督自ら選んだ峠をいっぱい登ろうという「ドエム」な企画だ。

今回体当たり「体験レポート」を担当するのは大学生レーサーの中曽佑一。レース経験ありのアマチュアライダーで脚力も体力も十分だが、まだ経験年数が少ないため全体にノウハウ不足。「今回、自分がそのツアーに参加し、一日体験したことを書くことによって、シクロパビリオンなどのガイドつきライドに参加することを考えている方々の手助けになれば幸いです」とレポート執筆に意気込む。本人の体験記で紹介しよう。

前日/イベントに申し込む



シクロパビリオンのイベントは、シクリスムジャポンの公式ホームページの「イベントメニュー」項目から予約できる。ご存知のとおりロードレースチーム「アキップアサダ・梅丹本舗・グラファイトデザイン」のチーム情報が発信されているサイトだが、イベントの詳細もそこで確認することができる。

そこには「浅田監督といちご狩ツーリング」など、魅力的なイベントがたくさん用意されている。自分のやりたいことや脚力と相談しながら参加申し込みをしちゃいましょう。僕はレース派なので、シクロパビリオンのイベントでは最難関(?)にあたる今回のツール・ド激坂に申し込んでみた! 

シクロパビリオンに到着 お迎えもOK


シクロパビリオンの受付棟入り口シクロパビリオンの受付棟入り口
このツアーは集合時刻が10:00ということで、少々早めの8時半過ぎにシクロパビリオンに到着した。私は自宅が埼玉県内で近いので自走できましたが、輪行で来た方は、最寄り駅である東武東上線森林公園駅までスタッフの方が車で迎えに来てくれます。事前にお願いすればワンボックスで来てくれるので、輪行状態のままでも大丈夫。なんて親切なんでしょう!
こ~ぢ館長からじきじきに資料を手渡されるこ~ぢ館長からじきじきに資料を手渡される
では、まずここに着いたら今日の受付を済ませます。受付では、名前、住所等の必要事項を書き、参加費を払います。それが終わると、今日のコース図や走行前ミーティングに必要な資料が渡されます。
なんと、今回はシクロパビリオン館長のこーぢ館長が直々に渡してくれました!。ミーハーな自分は、それだけで感動してしまいました(笑)。

その次にやることは走行前点検です。参加者のバイク一台一台をこ~ぢ館長が直々にチェック! ヘッドパーツのガタ、変速、ブレーキ、クイック、タイヤ状況と空気圧等の様々なポイントをチェックしていきました。
こ~ぢ館長による徹底的ホイールチェック 車輪トラブルは直接大きな危険に結びつくからこ~ぢ館長による徹底的ホイールチェック 車輪トラブルは直接大きな危険に結びつくから

命に関るメカチェックは念入りに!



こ~ぢ館長が、特に注意していたのはタイヤのコンディションです。タイヤの隅々まで傷が無いか、館長がじっくりチェックしていきます。タイヤ表面の小さな穴をみつけてはピックを使って中の小石やガラス片をほじくり出す。そのチェックの執拗なことといったら...。
タイヤの傷を徹底的にチェックするタイヤの傷を徹底的にチェックする
タイヤの傷に潜り込んでいた小さなガラス片を取り除くタイヤの傷に潜り込んでいた小さなガラス片を取り除く
こ~ぢ館長曰く「細かいことですが、走行前にこのチェックをするだけでパンクの回数は大きく減ります。クリンチャータイヤは高速走行中にパンクしたとき危険なので、このチェックはやってやり過ぎということはありませんよ」。

自分のバイクのチェックの順番が来ました。普段週末にしか乗らない自分は、メンテナンスだけはしっかりやっていると自負していたのですが...。さすがにプロの方々は厳しい! 自分のバイクも様々な指摘を受けました(涙)。自分の気づかないヘッドの緩みがあったそうです。

小さな問題はこーぢ館長が修復しますが、大きな問題があるとメカニックの方が整備してくれます! ちなみに、この作業については基本的にはサービスでやってくれます。
このような機材チェックへの対応も、このイベントにおける運営側の安全面への配慮の徹底ぶりに感心します。これならイベント参加者も安心して走れます。
ヘッドの緩みをメカニックさんが徹底的に直してくれますヘッドの緩みをメカニックさんが徹底的に直してくれます

シクロパビリオンはくつろげる空間



さて、念入りな走行前点検が終わって、走行前ミーティングまで時間があるので、このシクロパビリオン内部を見学させてもらいました。

まずはオフィス入り口へ。ここではクリート付シューズは、館内用のサンダルに履き替えます。すべると危ないという配慮がありがたいです。

入るとすぐに、2008年新城幸也選手使用バイクが置いてあります。プロ仕様バイクをまじまじと見られるいい機会でした。また、見るだけでなく乗ることも可能だそうです。

シクロパビリオンの室内は小奇麗な空間で、部屋の一角にはソファーと自転車雑誌コーナーが設置されていて、興味のある人ならいつまででも時間がつぶせそうです。また、バーカウンターもあり、お好みのドリンク類も注文できます。

部屋のアチコチに選手たちが獲得したトロフィーやメダル、活躍を報じるメディアのスクラップ記事が目を楽しませてくれます。

トラックが何台も入りそうな大きなガレージ空間「サロン・ド・エスパス」は、雨の日などにはここで講習会も開けそうな巨大空間。実走が難しい天気なら、そうすることもあるんだろうなぁ。それらは別ファイルで紹介しますのでそちらもご覧ください。

走行ミーティング


浅田監督によるレクチャーを受ける浅田監督によるレクチャーを受ける
さて、そろそろ走行前ミーティングが始まりました。最初に浅田監督から、諸注意やコース図等の説明。
次に、こーぢ館長からシクロパビリオンで作られた資料を基に、走行の注意をいただきました。
内容は、初歩的な交通ルールから、実践的なローテーションのイロハまで。かなりボリュームたっぷりな内容に、自分も真剣に受けました。
「手信号と声を併用して、情報を前後の人に伝えてください」「手信号と声を併用して、情報を前後の人に伝えてください」
とくに念入りに教えてくれたのは「手信号」と「声信号」の出し方。集団走行では前後を走る仲間のことを考えて、手での合図が危険回避の重要なコミュニケーション手段となる。
そして実際的だと感じたのは、それらの手信号に加えて「声信号」の出し方。こ~ぢ館長曰く、スピードがそれなりに出ている状態では手をハンドルから離して合図することがときに危険につながるし、合図が遅れることもある。そこで、「まず声を出しましょう」とこ~ぢ館長は教えてくれた。危険があるとき、また集団走行の状態など、常に前後の人に「見えていなくても」伝達するように、声やゼスチャーで伝える。それが大事だということを教わった。

考えてみればどれも当たり前のことなのだけど、僕ら初心者は、それを当たり前にすることに気づかない。でも教えてくれれば意識してできるようになる。この日受けたこの講習会のおかげで、自分がこれから経験したかもしれない事故のいくつかが防げた気さえします。
走行前に上り下りの走り方のコツが配布された走行前に上り下りの走り方のコツが配布された

6つの峠制覇を目指す



さあ、それにしても気になるのは今日のコースの全貌です。公開されたコースマップに高低差を表したプロフィールマップは、まさにツール・ド・激坂の名にふさわしいものでした。(というより、これはヤバイ...)超える峠は5つ・6回。松郷峠、梨花峠、七重峠、二本木峠、釜伏峠。コース全行程は約80km、予想所要時間は5時間半!
ツール・ド・激坂のプロフィールマップツール・ド・激坂のプロフィールマップ
ミーティングが終わると、待ちに待った走行開始です。ミーティングで習ったことを確認しながら、出発しましょう。浅田さんは「所要時間はエキップアサダの選手が走った場合のものです。厳しすぎたかもしれませんから、全部走らないかもしれません」と軽く笑顔でおっしゃいます。
今日のコースの走り方を説明してくれる浅田さん今日のコースの走り方を説明してくれる浅田さん
まあ、サポートカーのワンボックスが常に併走してくれるから、レスキュー体制は完璧。つらければ乗っちゃえばいいだけ? しかもその運転手は浅田監督! 「私も企画によっては走りますが、今回はメガホン片手に皆さんに激を飛ばすのが役目です(笑)」と浅田監督はますます爽やかな笑顔!

はたして、ボクたちはどうなってしまうのでしょう!?

(走行編に続く)