編集会議当日10時にメタボ会長が編集部にやって来た。
自転車もバッチリ。資料もバッチリ。全員の気合もバッチリ。臨戦態勢は万全だ。

カーボンハンドル装着。補助ブレーキもちゃんと付けました。カーボンハンドル装着。補助ブレーキもちゃんと付けました。 「おお、みんな表情がいいね!頑張れてるみたいだな。」
メタボ会長の機嫌も良く、案件の進捗報告も滑らかに1時間余りで会議終了。

「ところで、ハンドル交換はどうなった?」
ここで一気にお披露目開始だ。これでどうだと言わんばかりにメタボ会長の愛車を引っ張り出した。

「こいつ、ずいぶんとカッコよくなってないか?」
待ってました!ここから延々と、交換パーツの説明に突入だ。
クランク・ディレイラー・キャリパー・レバーと嬉しそうに能書きをたれる編集部員と目を輝かせて聞き入るメタボ会長。その場の全員が子供そのものに変身していた。

「これからホームコース周るぞ。今日は全員付き合え!」 ハイハイ。もう、好きにして下さい。(苦)

編集部チームのトレイン。緑の中を気持ち良く進む。先頭のメタボ会長はやっぱりデカい。(笑)編集部チームのトレイン。緑の中を気持ち良く進む。先頭のメタボ会長はやっぱりデカい。(笑)
上機嫌のメタボ会長を先頭に、妙な連帯感を持ちつつ全員で伴走開始。無邪気な笑顔の会長を先頭に、のんびりしたペースで1周流す。木々が発する緑の匂いがとても心地よい。
西武ドームのすぐ横を抜けるホームコース西武ドームのすぐ横を抜けるホームコース
「乗り心地が全然よくなったおかげで手が痺れないし、足も軽いぜ!これも日々の練習の成果だな。自転車サイコー!今日もカイチョー!!」 全く呑気なモノだ。

おいおい、アンタこの5日間は乗ってなくないかい?

少しの休憩を挟み再び走り出した編集部チーム(?)
数々の戦歴を誇る編集部員に交じって、自転車歴3週間のメタボ会長が違和感なく着いてくる。気のせいだろうが、丸い体が少し絞れてきたようにも見える。

誰もが無言のまま車列は進む。それぞれが風との対話だけで満足な表情を浮かべながら無心にペダルを回し続けている。

チームが綺麗な列を成し、一定のペースで進む。車列に溶け込んだ時の妙な連帯感がたまらなく心地いい。

木々の発する緑の匂いが何とも言えず心地よい。木々の発する緑の匂いが何とも言えず心地よい。 至福の時間を味わいながら車列は進む。

単走も悪くないのだが、普段単走が多い私には複数台で進む列走は蜜の味である。

急に車列が止まった。見ると路肩でタイヤと格闘中のライダーがいた。チューブ交換を手伝いながら、話していると

「最近は、スペアチューブすら積んでないライダーも多いからね。パンクもいい勉強ですよ。」
と言いながら、馴れた手つきでチューブ交換を進めていた。


パンクライダーと出会う。大切なことを気づかせてくれた。パンクライダーと出会う。大切なことを気づかせてくれた。 気になって、後ろを振り返ると正に、スペアチューブを積んでないどころか、チューブ交換の方法すら知らないメタボ会長が興味深げな表情でチューブ交換を見ている。
その物珍しそうな表情が、何故か私を腹立たせる。

灯台もと暗し!すぐにでもメタボ会長にチューブ交換を含めたトラブル対処法を厳しく指導しなければ!

本当に大事な事を忘れていた自分が少し恥ずかしかった。

パンクライダーと笑顔で別れた編集部チームはそのまま帰路につく事となった。

カーボンバイクで遊ぶメタボ会長。これが新たな悲劇を生む。カーボンバイクで遊ぶメタボ会長。これが新たな悲劇を生む。 編集部に到着し、お茶を飲みながら
「会長、今度パンク修理の講習からやりますから覚悟しといて下さいね。」 軽くジャブを打ってみたら

「了解。でも、今日一通り見てたから、ほとんど覚えちゃったけどな。それより、今度はカーボンフレームのバイクに乗ってみたくなって来たぞ。」

サタン再来!アンタの頭を解剖してみたい!

とにかくこの人にトラブル対処法だけは徹底的に叩き込もう!と固く誓う私だった。



次回は、もう続けたくないかも?


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「携帯灰皿は忘れずにな!ポイ捨てはダメよ!」 by メタボ会長「携帯灰皿は忘れずにな!ポイ捨てはダメよ!」 by メタボ会長 (プロフィール)
メタボ会長
身長 172cm
体重 87kg
体脂肪率 27%


当サイト運営法人の代表取締役。
高校3年まで野球に明け暮れ、大学時代にオートバイのロードレースに夢中になり卒業後、メーカー系チームに所属し全日本選手権に3年間出場。鳴かず飛ばずで所属チームを解雇され、その後、着々と太り続ける典型的な中年体型オヤジ。
タバコは人生の栄養剤と豪語する根っからの愛煙家。