9月13日(日)、東日本大震災の復興支援および、震災の記憶を未来に残していくことを目的に、石巻市、女川町、南三陸町、気仙沼市の2市2町を舞台として「ツール・ド・東北 2015」が開催される。それでは今年の概要をお伝えしよう。



東北復興を願い走ったツール・ド・東北2014東北復興を願い走ったツール・ド・東北2014 (c)ツール・ド・東北
昨年、開催2年目にして参加者3000名弱をあつめた「ツール・ド・東北」。IT企業であるYahoo! JAPANが主催に入ることで大きな話題を呼んだ「ツール・ド・東北」はタイムや順位を競うレースイベントではなく、東北の今を感じながら走ることを目的としたロングライドイベントとして開催される。

まだ道半ばの東北の復興を支えるため、「ツール・ド・東北」は10年程度の継続開催をひとつの目標としている。継続的な大会の開催を通して、現地の人々や参加するサイクリストとその同行者、そしてボランティアスタッフまで、イベントに携わるすべての人々が共に復興への道のりを歩んでいき、少しでも復興の後押しができるように努めていくとの理念は初年度から変わっていない。

大会を開催する宮城県では、今年3月21日に新しい女川駅が開業しJR石巻線が全線復旧。また、5月30日には仙台・石巻間を結ぶJR仙石線が全線復旧を予定しており、震災から約4年の時を経て着実に復興が進みつつある。3年目を迎える今大会では、参加するサイクリストに被災地の現状や変化を感じてもらうともに、食をはじめとする“東北の魅力”を伝えることを目指すとのことだ。

東北応援大使の佐藤真海さん(左から2番め)、中西哲生さん(右)など数多くの著名人が参加した東北応援大使の佐藤真海さん(左から2番め)、中西哲生さん(右)など数多くの著名人が参加した (c)ツール・ド・東北女川町長・須田善明さんと談笑するケネディ駐日米国大使女川町長・須田善明さんと談笑するケネディ駐日米国大使 (c)ツール・ド・東北

家族が応援に駆けつけた方も家族が応援に駆けつけた方も (c)ツール・ド・東北2014沿道からの応援も受けながら走る沿道からの応援も受けながら走る (c)ツール・ド・東北


その目標を実現するために、今年は気仙沼をスタートとして石巻までを走る、95kmの新コース「気仙沼ワンウェイフォンド」が新たに設定される。「長距離を走るのは難しいけれど、より広い地域を走りたい」という声に応えるかたちだ。昨年は220kmの最長コースの参加者しか気仙沼市を訪れることはできなかったが、このコースの新設によってより多くのサイクリストが気仙沼の様子を体験できるようになった。

従来のスタート地点である石巻市に加え、気仙沼市もスタート地点にされることで、大会当日だけでなく前日の滞在も含め、より広く被災地の現状を見たり、地元の魅力を味わったりということが可能となっている。また、このコースの追加によって、定員数も3,000名から3,500名へと増員されている。昨年よりさらに多くの人に被災地の現状を知ってもらうことができるようになった。

一方で大半のカテゴリーのスタートおよび、すべてのコースのゴールとなるのは、例年同様に石巻専修大学だ。2011年の震災時には大学施設を提供し、避難所をはじめとして、災害ボランティアセンターや赤十字の救護所や、自衛隊の宿営地やヘリポートなどが設置され、復興に重要な役割を果たした施設。

北上川沿いを走る北上川沿いを走る (c)ツール・ド・東北気仙沼向洋高跡地を走るライダー達気仙沼向洋高跡地を走るライダー達 (c)ツール・ド・東北


コースは石巻をスタートに気仙沼までの海岸線を行く211kmの気仙沼フォンドをはじめとして、歌津をはじめとした南三陸を走る170kmの南三陸フォンド、北上町を走り神割崎で折り返す100kmの北上フォンド、女川町と北上川沿いを走る60kmの女川・雄勝フォンド、そして気仙沼から石巻へと至る気仙沼ワンウェイフォンドの全5コースとなる。

コース上には約20kmごとに計10か所のエイドステーションが設置され、全国からのサイクリストを迎えてくれる。短いエイドステーションにはコース上の各地の自治体と連携することで、現地の旬の食材を利用したフードを提供するなど、宮城・三陸の魅力を味わうことができる。特に今年は、最も短い最も女川・雄勝フォンドのエイドを一か所増設。初心者の人でも地元の食を楽しめるように配慮されている。加えて、残暑厳しい中を走る参加者をサポートするため10kmごとに給水ポイントが設置され、安全なサイクリングを楽しむことができる。

ガッツポーズしてフィニッシュラインを切るガッツポーズしてフィニッシュラインを切る (c)ツール・ド・東北
「ツール・ド・東北」はサイクリングを楽しむだけのイベントではない。5つのコースからなるサイクリングイベント以外にも、現地で参加できるイベントや、インターネットを通じてバーチャルに参加できる仕組みを導入していく予定。現地の民家に滞在して交流できる「民泊」や、インターネット上で参加する「みんなの復興ライド」といったリアルと、インターネットをかけあわせた様々な取り組みを実施していくとのことだ。



さて、3年目になるツール・ド・東北だが、広報チームの八木田愛実さん、能登朝子さん、小澤恵さんに今年のコンセプトを語っていただいた。

-3回目の開催となりますが、大会についての思いを聞かせてください

お話を伺ったツール・ド・東北広報チームの八木田愛実さん、能登朝子さん、小澤恵さん(左から)お話を伺ったツール・ド・東北広報チームの八木田愛実さん、能登朝子さん、小澤恵さん(左から) 今年も気仙沼もスタート地点に加わったのが一番の大きな変更点です。気仙沼と石巻、同じ東北でもかなり復興の進み具合が違います。色々な建物が建っているエリアもある一方で空き地が多い場所もまだたくさんあります。だんだんと変わっていく東北の復興を直接見てもらえればと思います。

道路も毎年、少しづつきれいになっていっていますし、宿泊する場も増えています。今年は仙石線の運行も再開予定となっているので、輪行でもアクセスが容易になっていますので、ぜひ鉄道も使ってみてもらえればと思います。

エイドステーションでのフードサービスも、復興の事情を反映して、色々なものが加わっていく予定です。昨年は、ホヤが解禁されていて、石巻のエイドで振る舞われていたり、名物のホタテも凄く大きなものが沢山獲れるようになっています。そういった部分を通じて、東北の復興の様子に触れてもらえれば。

来ていただくと、心が暖かくなるイベントです。復興がゆっくりと進んでいくのに合わせて、このイベントもだんだんと大きくしていければと思っています。いつかは、日本のサイクリングイベントといえば、ツール・ド・東北だよね、と言われるようなイベントになることを目指していきます。



申込期間は5月19日~6月1日 定員超過の場合は抽選

申込期間は5月19日~6月1日の予定だ。応募方法は公式サイトからのネットエントリーのみとなっている。申込者が定員を超過した場合は、応募者全員から抽選にて参加者を決定するため、申込期間中であればいつでもエントリーができる。



ツール・ド・東北 2015
主 催: 株式会社河北新報社、ヤフー株式会社
主 管: ツール・ド・東北 2015 実行委員会
特別協力: 株式会社TBSテレビ、石巻専修大学
開 催 日: 2015年9月12日(土) 受付
2015年9月13日(日) 大会当日
開催場所: 石巻市・女川町・南三陸町・気仙沼市
会 場: 石巻会場…石巻専修大学(スタート/ゴール)
気仙沼会場…気仙沼プラザホテル前(スタート)
募集人員: 3,500名(予定)
募集開始: 優先出走エントリー…2015 年 4 月下旬予定
一般出走エントリー…2015年5月中旬予定
結果発表: 2014年6月上旬予定
応募方法: 公式サイトからの申し込み
※申込者多数の場合は、抽選で参加者を決定します。なお、「ツール・ド・東北 2013」「ツール・ド・東北 2014」に大会クルー(大会運営ボランティア)として参加された方は、優先出走エントリー期間にお申込みいただくと、抽選なしで出走いただけます。(エントリー料は各自負担となります)
<エントリー料>
気仙沼ワンウェイフォンド(95km) 11,000円
気仙沼フォンド(211km) 15,000円
南三陸フォンド(170km) 11,000円
北上フォンド(100km) 9,000円
女川・雄勝フォンド(60km) 8,000円

写真:ツール・ド・東北実行委員会

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