さて、前日のポタリングでたっぷりと久米島のディープな世界を堪能したことで、なんだかすっかり満足感のあるシュガーライド久米島。でも、2日目の本大会ではもっと濃密な久米島体験が出来ました。それでは、125㎞のチャレンジコースをレポートしましょう。



早朝の海岸沿いは心地いい。ペースも絶妙だ。早朝の海岸沿いは心地いい。ペースも絶妙だ。
出走前にサインをします。気分はプロレーサー?出走前にサインをします。気分はプロレーサー? 久米島を3周するチャレンジコースがスタート久米島を3周するチャレンジコースがスタート


朝6時。きっとこの取材はうまくいく。そう予感させてくれる目覚めだ。このところ私を悩ませている乾燥肌も南国久米島ではおとなしくしている。もうカラカラに乾燥しきった砂漠のような東京には帰りたくない、そう思うのはこの理由だけでも十分だと思ってしまう。おかげでぐっすりと眠ることが出来て、体調も万全。

もう一つ、昨日は少しグズついていた空も今日はすっきりと晴れ渡り、南国らしい青色を見せてくれている。きっと、いい写真が撮れるはず。準備を済ませ、いそいそとホテルのロビーに降りていく。大会に合わせて、この日に限り朝6時から朝食が食べられるように時間を調整してくれている心遣いに感謝しながらご飯を頂き、スタート地点へと向かった。

奥武島のキャンプ場に設置されたスタート地点に集まったみなさんの表情も明るい。やっぱり晴れているというのはいいものだ。和気あいあいとした雰囲気のまま、スタート時間を迎える。号砲とともに、ゆっくりと走り出すチャレンジコースの参加者たち。

自衛隊の坂へ向かって走っていきます自衛隊の坂へ向かって走っていきます 登り切ったら赤鬼が水を差しいれ登り切ったら赤鬼が水を差しいれ


まずは、橋をわたり久米島本島へと渡ったら、すぐに左折。島は時計回りに走るというセオリーに沿ったルート設定だ。イーフビーチに沿って走る海岸道路を海を左に見ながら快走していく。これぞ離島ライド、といった趣で、初っ端から出し惜しみはなし。

そこからは少し内陸にはいり、市街地を経由して空港脇を通りぬけるとミーフガーへと向かう海沿いの道へと出る。サンゴ礁が広がっていたエメラルドグリーンの南側の海と異なり、すぐに海底が深くなっているか紺碧といえる色合いの海。同じ島でも、また異なる色を見せてくれるのだ。

さとうきびおいしいですか?さとうきびおいしいですか? 近くの畑からとってきたさとうきび近くの畑からとってきたさとうきび

海ブドウが食べ放題海ブドウが食べ放題 心をこめてつくられたサーターアンダギー心をこめてつくられたサーターアンダギー


少し風が強いが、先導役の地元トライアスリートによる良いペースの一本引きのおかげで、あっという間にミーフガーのエイドステーションへと到着。このエイドステーションは3回通ることになり、もっともお世話になるエイドなのだが、「シュガーライド」という大会名にふさわしいサトウキビや黒糖に、ミネラル補給用のマース(塩)、そしてなんと海ブドウが食べ放題。しかも、量も豊富に用意され、3回目の通過時でも尽きることはなかった。

ここまでは、おおむね平坦なルートだったがここから先は、内陸部に入っていき登り勾配が続くチャレンジングなコース。ミーフガーエイドを出発するとすぐに見える直登区間から始まる登りは、サトウキビ畑の中を通り抜けるアップダウンへと変化する。

ここが噂のレッドカーペット区間。先頭集団は流石に足をつく人はいませんでした。ここが噂のレッドカーペット区間。先頭集団は流石に足をつく人はいませんでした。
基地に入っていきます基地に入っていきます 物々しいゲートを通り過ぎていく物々しいゲートを通り過ぎていく


そして1周目は、そのまま久米島の最高地点を目指して登り続けることになるのだ。じつはこのルート、航空自衛隊の久米島分屯地の中を通り抜ける、普段は絶対に走れないコース。登りきれば、島を全て眼下に収めることができる展望が待っているのだが、そう簡単にはいかないものだ。

南国らしい密林の中を縫う様な登りを進んでいった先に現れるのは斜度10%を軽く超えるだろう通称”レッドカーペット”と呼ばれる激坂。あまりの斜度に赤い滑り止め舗装が施されているのにちなんで名づけられた区間だが、そこに至るまでも7~8%はある登りをこなしてきたサイクリストにトドメを刺してくれる容赦ない坂道に、思わず蛇行したり押して歩く人もちらほら。

かりっと焼きあがった車えびかりっと焼きあがった車えび 車えびはひとり1本!車えびはひとり1本!

お昼の沖縄そばがオイシイ!注:後ろの飲み物はさんぴん茶です。お昼の沖縄そばがオイシイ!注:後ろの飲み物はさんぴん茶です。 青空のもとでお昼を頂く青空のもとでお昼を頂く


とはいえ、距離はそこまで長くないので、頂上にあるエイドステーションで補給をしている間に追いつけるくらい。自衛官が見守るなか、入構証を受け取って駐屯地内へと入っていく。駐屯地内は撮影禁止だが、レーダーサイトが設置されているだけあって、視界を遮るものが何もないロケーションで島の緑と海の青のコントラストが際立った絶景を堪能しながら走ることができた。

そこからは、気持ちのいいダウンヒルが続くなかスタート地点の奥武島に戻っていく。奥武島はエイドステーションにもなっており、1周目を終えた私たちを迎えてくれたのはなんと車エビの塩焼き。久米島は日本一のエビ養殖量を誇る島で、小ぶりながらも甘さが際立つエビを殻ごとかぶりつき、2周目へと旅立っていく。

アーラ林道を上っていきますアーラ林道を上っていきます 「おいしいエイド♡」「たっぷり召し上がれ!」「おいしいエイド♡」「たっぷり召し上がれ!」

海は広いなー海は広いなー いたるところでスタッフさんが見守ってくれていましたいたるところでスタッフさんが見守ってくれていました


2周目のハイライトは島の南部にひろがる「アーラ林道」。およそ4.5kmの間にわたり6%程度の勾配が続く登りは、レッドカーペットほどのパンチはないけれど、すでに1周してきた私たちには同じくらいのキツさ。しかし、そろそろ限界だと感じ始め、下を向きがちになってきた時、「がんばれ!」「エイドはあとすこし!」という文字が目に飛び込んでくる。なんともナイスなタイミングで、道路に書かれた応援メッセージで元気をもらって、アーラ林道を登り切れば、エイドステーションでお汁粉が待っていた。

アーラ林道をクリアしたら、自衛隊のレドームを眺めながら、さっきあそこまで登ったってホント?という気分に浸りつつ、もう一度ミーフガーを経由し、島の北側を走っていく。今度は自衛隊基地には向かわず、比屋定バンタへと向かう。

大会名物ミーフガーの登り大会名物ミーフガーの登り
遠くに海が見える登り。地球の丸さを実感できます。遠くに海が見える登り。地球の丸さを実感できます。 サトウキビに囲まれた登りサトウキビに囲まれた登り


レッドカーペット程の登りはないと、サポートライダーがいうので安心していたら、ところがどっこいかなりいやらしい斜度の坂が待っていた。関東近郊のサイクリストにわかりやすく例えるなら、連光寺の坂によく似ていると言えば伝わるだろうか。撮影のために先行しようとダンシングしたら両脚を攣ってしまい、悶絶してしまった。

比屋定のエイドステーションではコーラやおにぎりが用意され、エネルギーをだいぶ使った身体にうれしい補給ポイント。そして、この先の下りは、サトウキビ畑の気持ちいいワインディングを抜けると、いきなり目の前に海が広がる。開通したばかりの「つむぎ橋」と「てぃーだ橋」の2つの橋を駆け抜けたら2度目の奥武島エイドだ。

そのまま海に飛び込んでしまいそうなてぃーだ橋そのまま海に飛び込んでしまいそうなてぃーだ橋 橋の下りを一気に駆け降ります橋の下りを一気に駆け降ります

もう少しで奥武島ですもう少しで奥武島です 久米島歴が長い参加者の方も。近くの島のことをいろいろ教えていただきました。久米島歴が長い参加者の方も。近くの島のことをいろいろ教えていただきました。


2周目の奥武島エイドではシェフが作るカレーと沖縄そばが待っている。どちらかを好きな方を食べられるシステムだ。私はあっさり目の沖縄そばをチョイス。汗で塩分が抜けた身体に滋味が沁みわたっていくような感覚がなんとも心地いい。しばらく休憩したら3周目に向かう。

アーラ林道も、自衛隊の坂も登場しない3周目はなんだか短く感じてしまう。もちろん、距離が短いというのもあるのだけれど、3度目という安心感が距離を短く感じさせてくれるのだろう。いつのまにやら見知った道が与えてくれる安心感に、なんだか自分も「しまんちゅ」になったような気分に浸りながら残る1周を走り抜けた。

チャレンジコースフィニッシュ!3周お疲れ様でした。チャレンジコースフィニッシュ!3周お疲れ様でした。 ぐるっと1周完走しました!ぐるっと1周完走しました!

ふれあいパーティーには多くの参加者が集まったふれあいパーティーには多くの参加者が集まった カンパーイ!カンパーイ!

飲み放題の泡盛は、その名もずばり「久米島」!飲み放題の泡盛は、その名もずばり「久米島」! 最後はみんなで島唄にあわせて踊る最後はみんなで島唄にあわせて踊る


3つのコースが用意されているシュガーライド久米島。どのコースを選んでも、久米島をぐるっと回ることになるのだけれど、そのなかでもチャレンジコースは3周するという最長コース。正直、走る前は同じ島を3周して楽しいのか?という疑問もあった。終わってみれば、愚問だったな、という印象。魅力的なコースは何度走ってもいいものなのである。何度走ってもいいものなのが、魅力的なコースなのかもしれないが。

さて、大会が終われば、会場近くのホテルの中庭を使って「ふれあいパーティー」が行われた。ビュッフェ形式の夕食に、泡盛が飲み放題のパーティーでは、参加者の皆さんが交流を深め、大会のエピソードを語り合っていた。豪華景品があたる抽選会で盛り上がったら、最後は地元の子どもたちによる島唄演奏。最後はみんなで島唄に合わせてカチューシーを踊って、お開きとなった。

text&photo:Naoki.Yasuoka

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