11月の恒例人気イベントとして定着したもてぎ7時間エンデューロ、通称「もてぎ7耐」が今年も開催された。新城幸也選手も参加した大会のレポートと、各カテゴリーの優勝者に聞いた、エンデューロの楽しみ方と工夫について紹介します。



もてぎ7時間エンデューロはキッズレースで幕開け!大人顔負けの本格派も多いもてぎ7時間エンデューロはキッズレースで幕開け!大人顔負けの本格派も多い
今回おじゃましたのは、三重県の鈴鹿サーキットや静岡県の富士スピードウェイと並び、国際的に知名度の高い栃木県芳賀郡の「ツインリンクもてぎ」。国際レースで使用される、1周4.8kmの「ロードコース」を使用する。高速コーナーからヘアピンまで左8ヶ所と右6ヶ所の計14ヶ所のコーナーに加え、最大長762mの直線などバリエーションに富んだコースレイアウトが特徴だ。今年の5月に行われた大会ではフラットなオーバルコースを組み入れた特設レイアウトが用意されたが、今回はロードコースのみであったため、よりスピーディーな走行を味わうことができた。

スタートラインに並ぶ新城選手。元全日本チャンピオンの証がまぶしい!スタートラインに並ぶ新城選手。元全日本チャンピオンの証がまぶしい! 新城選手にインタビューする栗村さん。軽快なMCトークで会場を盛り上げてくれた新城選手にインタビューする栗村さん。軽快なMCトークで会場を盛り上げてくれた

アジアトップレベルのプロトライアスリート、細田雄一選手アジアトップレベルのプロトライアスリート、細田雄一選手 愛三工業レーシングは4人が参加してくれた愛三工業レーシングは4人が参加してくれた


今大会にエントリーしたのは3736名と、関東で開催されるサイクルイベントとしては間違い無く最大級の規模。シリアスに好成績を狙っているチームは少なく、仲間どうしでワイワイと楽しんで参加している方々の割合が大多数だ。

毎年豪華なゲストライダー陣が一緒に走ってくれるのことも茂木7耐の特徴で、今年はジャパンカップでレースシーズンを終えた新城幸也(ユーロップカー)の参加がイチバンの目玉! 加えて地元栃木県の宇都宮ブリッツェンと、全日本チャンプの佐野淳哉選手率いる那須ブラーゼンが、更に愛三工業レーシングにマトリックスパワータグ、イナーメ信濃山形の面々が顔を揃え、その様はJPTレースを見ているかのようだった。

他にも栗村修氏(MC)やマトリックスの安原監督、ブリッツェン広瀬GM、モデルのRENさんなど輪界の名物(?)メンバーの姿も。選手たちは一般参加者とコミュニケーションを取りながら、大小様々な集団のをコントロールし、イベントの安全な進行に一役買っていた。

雨に濡れたツインリンクもてぎを疾走する大集団。高速走行はサーキットイベントならでは雨に濡れたツインリンクもてぎを疾走する大集団。高速走行はサーキットイベントならでは
招待選手を筆頭にハイスピードで周回をこなすトップグループ招待選手を筆頭にハイスピードで周回をこなすトップグループ 滑りやすい雨のサーキット。慎重にコーナーをこなす滑りやすい雨のサーキット。慎重にコーナーをこなす

「ワシも練習かねて参加や!」とマトリックス・パワータグの安原監督「ワシも練習かねて参加や!」とマトリックス・パワータグの安原監督 キャノンデールのMTBに乗るRENさんは、参加者の落としたゴミの拾い役を努めてくれましたキャノンデールのMTBに乗るRENさんは、参加者の落としたゴミの拾い役を努めてくれました


今回は残念ながらスタート前から雨に見舞われてしまい、コースも参加者もビショビショのままレースはスタート。滑りやすい路面に集団内では落車が多発してしまったものの、幸いどれも大事故には繋がらなかったようだ。

レースは4時間の部と7時間の部、そしてビギナーでも参加しやすい2時間の部という3カテゴリーが用意され、4時間ソロの部は千葉の強豪ホビーチーム「サイクルフリーダム」がレースを席巻。途中から飛び出した佐野千尋選手が精鋭グループをおよそ1分近く引き離す圧倒的な走りで独走優勝を飾ってみせた。そしてその3時間後にゴールを迎えた7時間ロードでは、なんと2位に2ラップ差をつけた中野公之選手(スターラインジャパン)が独走でフィニッシュラインをくぐった。

謎小径車発見!フロントチェーンリングヤバい!謎小径車発見!フロントチェーンリングヤバい! ピットはエンデューロイベントの大事なポイント。チームワークが左右しますピットはエンデューロイベントの大事なポイント。チームワークが左右します

共に走った皆でゴール!チームは違えど一緒に走れば仲間の輪が広がります共に走った皆でゴール!チームは違えど一緒に走れば仲間の輪が広がります


4時間、7時間の優勝者にインタビュー〜もてぎ7耐の楽しさって?長時間を走り切る工夫〜

さて、ひとくちにエンデューロといっても、ビギナーにとっては4時間でも不安だし、ましては7時間なんてとても敷居が高いもの。そこで今回は4時間、7時間を制した方にエンデューロの楽しみ方や補給の取り方をインタビューしてみた。好成績を狙うためのピットワークのコツについても聞いているので、参考にしてみてはいかが?

4時間ソロ優勝 佐野千尋選手(サイクルフリーダム)

ゴールに飛び込む佐野千尋選手(サイクルフリーダム)ゴールに飛び込む佐野千尋選手(サイクルフリーダム) 4時間ソロ優勝 佐野千尋選手(中央、サイクルフリーダム)4時間ソロ優勝 佐野千尋選手(中央、サイクルフリーダム)


予定としては私が先に先行しておいて、後からチームメイトが合流してくるのを待つ予定でした。ただマークがキツかったようで、私が単独で先行する形になりました。最後まで逃げ切る自信は全く無かったんですが、頑張ったら勝つことができたんです。

普段からハンガーノックになりやすい体質なので、脚攣り防止も兼ねて補給は1周おきに補給食を摂るように気を付けていました。エンデューロの良さは、やっぱりこのお祭りのような雰囲気でしょうね。初心者から私たちのような実業団レーサーまで楽しめるイベントです。



4時間ロードチーム優勝 時田大助さんと小松誠さん(チームチェントロ)4時間ロードチーム優勝 時田大助さんと小松誠さん(チームチェントロ) 4時間ロードチーム優勝 時田大助さんと小松誠さん(チームチェントロ)

実は2年前も3時間チームで優勝したことがあり、もてぎは相性が良いみたいです(笑)。サーキットそのものもそうですし、このイベントは走りやすいことが特徴ですね。4時間ですので、選手交代はきっかりと2時間ずつ。

小松さんが長距離系で、私がスプリンター系ですので最後集団ゴールになっても勝てるように組んでみたことが勝因でした。エンデューロは普通のロードレースとは違いギスギスしてないことが良いですよね。来年はディフェンディングチャンピオンとしてまた優勝を狙いたいと思います!



7時間ロードソロで優勝した中野公之選手(スターラインジャパン)

今日は調子が悪かったのですが、何とか招待選手の後ろで粘って優勝することができましたね。去年も個人は1位でしたが総合は2位。今年も同じ結果になってしまいましたね(笑)。このもてぎ7耐はプロライダーの方々と走れる貴重な機会ですし、どこまで付いていくことができるかが勝負の分かれ目。結果を出すにはとにかく我慢することですね。

7時間ロードソロで優勝した中野公之選手(スターラインジャパン)7時間ロードソロで優勝した中野公之選手(スターラインジャパン)
補給は30分に1回のペースで必ず何か口に入れるようにしていました。お気に入りの補給食は、サイクリストの定番ですが「薄皮パン」(笑)。雨降りだと忘れがちですが、脚攣り防止のために、サプリメントを混ぜた水分をこまめに補給することも大事です。

普段の練習ですか?平日が仕事が忙しく全く乗れないので、週末に200kmほど山の中を走り回っています。私は本当はボート競技に取り組んでいて、自転車は良いトレーニングの一環になっているんです。



7時間ロードチーム優勝 弥市レーシングの皆さん

7時間ロードチーム優勝 弥市レーシングの皆さん7時間ロードチーム優勝 弥市レーシングの皆さん
もう20年以上昔に結成したチームで、今は平均年齢45歳(笑)。今日は作戦勝ちでした!レースの展開を見ながら走る順番を変えて、ゴールスプリントになる前にアタックして逃げ切り勝利に繋げることができました。交代はだいたいの目安こそ決めていますが、集団の様子とラップタイムを計りながら都度変えています。集団のスピードが速いと交代した後の追走が厳しいので、ラップタイムが落ちた時を見計らってピットインしたり、という具合ですね。無線機を持ってきてはいましたが、雨で使えなかったのが残念です(笑)。

エンデューロの楽しみは、やっぱり仲間と一緒に盛り上がれるし、仲間がいるからこそキツくても頑張れることでしょうか。自分が千切れてしまったらチームの成績も落ちちゃいますから、無意識にでも頑張れますし…。ソロだと補給も全部持っていかないといけませんが、仲間がいれば誰かがピットで準備をしてくれます。そんなチームプレーができることも魅力の一つではないでしょうか。今年はもてぎエンデューロの春と秋を両方勝つことができたので、年末の忘年会は盛大にやりたいですね(笑)。

text:So.Isobe
photo:CW編集部



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