スイスのハイエンドウェアメーカーASSOS(アソス)の2015春夏コレクションの展示会が東京・代官山にて行われた。ブランド初となるMTB専用ウェアが登場するなど、サイクルアパレルの王者は更なる進化を遂げている。



アソスショップさながらの雰囲気で行われた2015年春夏コレクション発表会アソスショップさながらの雰囲気で行われた2015年春夏コレクション発表会
昨シーズン、メインプロダクトであるサイクリングショーツ群を6年ぶりに刷新し「S7」シリーズを発表したアソス。パッド、生地、カッティングの全てに取入れられた独創的な技術は履く者を魅了し、改めてその技術力を誇示した。実際に顔見知りのジャーナリストに聞いてもそうだったし、サードグレード「T.Equipe」を購入して使用している筆者も心底惚れ込んでいる。

そんなアソスの2015年春夏コレクション発表会が開催されたのは代官山の雰囲気あるショールームでのこと。その空間はラグジュアリーなアソスの世界観が体現されており、周りに点在するセレクトショップにも負けず劣らずと言ったところ。本国からはペーター・ハマーシュミット氏と、マーカス・オールド氏が来日し、PRにあたった。

ブランド初となるMTB用アパレルが登場。写真のT.Rallyは両サイドに設けられたプロテクションが特徴的なビブショーツだブランド初となるMTB用アパレルが登場。写真のT.Rallyは両サイドに設けられたプロテクションが特徴的なビブショーツだ MTB用ジャージはレース向けとファンライド向けの2モデルがラインナップされるMTB用ジャージはレース向けとファンライド向けの2モデルがラインナップされる

PRのために来日したペーター・ハマーシュミット氏(右)と、マーカス・オールド氏(左)PRのために来日したペーター・ハマーシュミット氏(右)と、マーカス・オールド氏(左)
今年登場したS7シリーズには派生モデルが続々と追加された今年登場したS7シリーズには派生モデルが続々と追加された 秋口や春先に便利なS7パッド採用の裏起毛ビブショーツは2014-15秋冬コレクションにラインナップされている秋口や春先に便利なS7パッド採用の裏起毛ビブショーツは2014-15秋冬コレクションにラインナップされている


さて、今回の新製品群の中で最も目玉となるのがMTB用アパレルライン「OFFROAD RALLY」シリーズだ。これまで、スイスナショナルチームをフルサポートし、ニノ・シューターを始めとしたMTB用ライダーにもウェアを供給してきた実績があるだけに少々意外な気もするが、アソスとしては初のオフロードウェアで、XCを始めとしたエンデュランス系種目に焦点を絞っている。

開発をスタートするキッカケにこそヨーロッパにおける爆発的なMTB人気があったことは間違いないのだが、ただ単に流行りに乗っかっただけでは無くアソスらしい独創的かつ実用的なアイデアが数多く盛り込まれている。アソス社内の開発チームがテストを重ねたことは他のプロダクトと同様だが、世界最高峰のMTBステージレースと呼ばれ、南アフリカの広大な自然を舞台に8日間に渡って開催される「ABSA Cape Epic」で徹底的に使い勝手や性能を煮詰めたという。それでは簡易的に各アイテムを説明していこう。

各アイテムに取り付けられているタグもロード用と分けられている各アイテムに取り付けられているタグもロード用と分けられている ひっかきや擦れに強い生地を採用しつつも、アソスらしい快適な着心地が確保されているというひっかきや擦れに強い生地を採用しつつも、アソスらしい快適な着心地が確保されているという

レース向けのCapeEpicJerseyは、ロード用モデルよりもややルーズのフィット感とし、バックポケットを大きくしているレース向けのCapeEpicJerseyは、ロード用モデルよりもややルーズのフィット感とし、バックポケットを大きくしている ファンライド向けRallytrekkingJerseyはバックパックの使用を考慮して背面全てをメッシュとしているファンライド向けRallytrekkingJerseyはバックパックの使用を考慮して背面全てをメッシュとしている


1モデル展開となるビブショーツは「T.Rally」と名付けられ、乗車時の快適性に加え、プロテクション性能、耐久性、ペダリング動作以外動きやすさを重視している。そのキモとなるのが両サイドに設けられるインパクトパッド。横に転倒してしまった際に受けるショックを和らげる一方で、体温に反応するほど素材自体が優れた変形特性を持っているため、ペダリングの邪魔になる心配はなさそう。

その他、筋肉の動きをサポートすると同時に耐久性を高めるべくシリコン含有量を20%高めた専用生地や、保持力を損なうことなく動きやすさを高めたタスキ掛けのビブ紐もフィーチャーだ。なお、パッドはロード用のT.Equipeが採用されているが、生地への縫製が異なっている。

中々実物はお目にかかれないアソスのバイクフレームGOOMAH(グーマー)も展示された中々実物はお目にかかれないアソスのバイクフレームGOOMAH(グーマー)も展示された カール・ツァイス製レンズを使用したアイウェアZEGHOカール・ツァイス製レンズを使用したアイウェアZEGHO


ジャージは用途別に2モデルが用意され、よりファンライド向けとなるのが「S.5 RallytrekkingJersey」だ。バックパックを背負って長距離長時間走るというシチュエーションを考慮して背面全てをメッシュとして不快な蒸れを徹底的に防止。同時にバックパックが揺れた際の衝撃を吸収するためにクッション性を持たせている。前面は通気性やフィット感を維持しつつも枝の引っかかりや擦れに強い厚手の生地とした。

ジャージのもう1モデルがクロスカントリーレースや耐久レース向けとなる「S.5 CapeEpicJersey_Evo7」。擦れや引掛けに強いながらも薄手で通気性に優れる生地を使用し、動きやすさを考慮してロード用レースモデルもややルーズなフィット感としている。また29erのチューブを収められる様に、ロード用と比較してバックポケットはやや大きめに。右胸に配されたCapeEpicのロゴにグッとくるMTBerは多いのでは?

豊富なウィンドブレーカー群はアンダーウェアと合わせることでその性能をフルに活かすことができる豊富なウィンドブレーカー群はアンダーウェアと合わせることでその性能をフルに活かすことができる 終了予定時刻を大幅に過ぎてもなお続いたレクチャー。この様な努力がアソスを世界最高峰のウェアブランドたる理由の1つなのである終了予定時刻を大幅に過ぎてもなお続いたレクチャー。この様な努力がアソスを世界最高峰のウェアブランドたる理由の1つなのである

左からペーター・ハマーシュミット氏、アソスの国内代理店を務めるダイアテックプロダクツの河合聡さん、寺本俊介さん、マーカス・オールド氏左からペーター・ハマーシュミット氏、アソスの国内代理店を務めるダイアテックプロダクツの河合聡さん、寺本俊介さん、マーカス・オールド氏
今回紹介したMTB用ウェアを含む2015春夏コレクションのデリバリー予定は来春からとなるが、S7パッドを採用した初の冬用アイテムを含む2014-15秋冬コレクションは既にデリバリーがスタートしている。こちらについては近日中にレビューコーナーに紹介する予定だ。今後もアパレルの最先端を突き進むアソスから目が離せない。

text&photo:Yuya.Yamamoto