大阪に本拠を構えるサイクルアクセサリーブランド、キャットアイ。多くのライトをラインナップに持つ同社のフラッグシップに位置するVOLT1200を紹介しよう。



キャットアイ HL-EL1000RC(VOLT 1200)キャットアイ HL-EL1000RC(VOLT 1200) (c)So.Isobe/cyclowired.jp
リフレクター製造にルーツを持つキャットアイ。そして数多くの自転車用ライトを作ってきた同社が送りだしたハイエンドライトが今回インプレッションするVOLT1200だ。1200ルーメンの大光量を持つ充電式のフロントライトだ。

少し前であれば、このクラスのライトだとバッテリーが別体式のライトも多かった。だが、ここ2~3年でバッテリーを取り巻く技術の進歩の結果、1200ルーメンという高い出力を持ちながらコンパクトにまとまったボディを持つようになったVOLT1200。

その進化ぶりは、キャットアイのライトラインナップの中で比較することでより鮮明に浮かび上がる。2011年にデビューしたスタジアム3と、2013年デビューのVOLT1200を比較してみよう。

まず、バッテリーについて比較してみよう。スタジアム3が別体式で、容量は4600mAh。VOLT1200は一体式で容量6400mAhとなっている。重量はスタジアム3がブラケット、電池込みで648g(カタログ値)。VOLT1200はブラケット込みで231g(カタログ値)とかなり軽量に収まっている。

高さがないため取り付けた時は意外とスリムだ高さがないため取り付けた時は意外とスリムだ 電源ボタンのクリックでモードを切り替える電源ボタンのクリックでモードを切り替える


明るさはスタジアム3が5500カンデラで約1時間、VOLT1200 が6500カンデラで約2時間となっている。ついでに値段も比較すると、スタジアム3が60,000円なのに対し、VOLT1200は20,000円と3分の1程度。まとめると、この2年の間にキャットアイのハイエンドライトは、より小さく、軽く、明るく、長く、安くなったのだ。

さて、そんな5拍子揃ったフラッグシップモデルだが、実際に持ってみるとかなりずっしりとした感覚だ。見た目がコンパクトなだけに密度の高さが感じられる。放熱性を考慮して金属製とされるLED部分は、外観にも高級感があり、引き締まった印象を与えてくれる。

ライト下部にある充電口はしっかりとしたゴム製のパッキンで蓋をされており、確実な防水性を持っている。バッテリーは本体と一体になっているが、交換可能となっている。LED部分との嵌合部にもしっかりと防水性を持たせる配慮がされており、雨天でも安心して使用することができる。

ボディの下部に備えられたゴム製のパッキンで蓋される充電口ボディの下部に備えられたゴム製のパッキンで蓋される充電口 フレックスタイトブラケットは工具を必要としない機構。左右に首が振れるため調節も容易だフレックスタイトブラケットは工具を必要としない機構。左右に首が振れるため調節も容易だ バッテリーは300回程度の充電で容量が70%程度まで低下してしまう(これは一般的なリチウム電池の性質である)ため、毎日の通勤で使うような人にとっては1年から2年でランタイムがかなり短くなってしまうことを意味する。そんな時、バッテリーのみを交換できることはコスト面でも大きなメリットだ。また、予備バッテリーを持っていけば長距離のライドでも安心して使えるということでもある。

最近のUSB充電式のライトでは電池交換ができないモデルも多いため、ブルベをはじめとするロングライド派の人は明るさを犠牲にしても予備電池が携行しやすい乾電池式のモデルをチョイスすることも多かった。そういったユーザー層にとって、2.5mmのアーレンキーが必要でも、電池交換ができる大光量のライトを使えるというのは福音だ。

取り付けブラケットはキャットアイの誇るフレックスタイトを採用しているため、ハンドル径に左右されずしっかりと簡単に固定できるのもうれしいところだ。左右に5度程度の首振り機構を備えているため、ハンドルのどちら側につけても真正面に向けて照射できる。

ハンドルに付けてみても、そこまで大きくは感じない。高さがないため、意外にスリムな印象だ。確かに、他のライトに比べれば一回り大きいものの、実際に乗っている中で気になるほどの大きさではない。

実際に夜の公園で撮影した写真。ダイナミックモードで30m先のボトルまで光が届いていた実際に夜の公園で撮影した写真。ダイナミックモードで30m先のボトルまで光が届いていた
路面の状況がわかるくらいの光量だ路面の状況がわかるくらいの光量だ 最大1200ルーメンの光量はハイエース(右)に劣らない明るさだ最大1200ルーメンの光量はハイエース(右)に劣らない明るさだ 幹線道路から市街地、川沿いの暗い道路とさまざまなシチュエーションが含まれる16km程度のコースを走る通勤時に使用してみたが、1200ルーメンの明るさはやはり非常に心強い。普段から同クラスのライトを使用しているが、脇道から入ってくる車や自転車が明らかに注意を払ってくれるようになることを実感できる。ライトの明るさは命を守ることもあるだろう。一度体験してしまうと、これより暗いライトには戻れなくなりそうだ。

配光パターンもかなり作りこまれていることを感じる。広がりすぎず、かといって中央が明るすぎて白飛びするようなこともなく、長年自転車ライトを作っているメーカーのノウハウを感じさせる仕上がりだ。街灯の少ない暗い道であっても、遠くの路面の状況を把握しやすいので、ある程度の速度でも安心して走ることができる。

一つ難点を挙げるとすれば、明るすぎること。最も明るいダイナミックモードでは、路地裏等の細い道だと対向車などが眩しいと感じるほど明るいため、もう少し明るさの少ないノーマルモードやオールナイトモードに変更したほうが良いだろう。

コンパクトなバッテリー一体型のボディを持ち、1200ルーメンという大出力を活かす考え抜かれた配光を与えられたVOLT1200。一度使ってしまうと、もう後戻りはできないほどの安心感をもたらしてくれる「セーフティーライト」だ。そして、交換できるバッテリーや高い防水性を持つVOLT1200は、ナイトライドの心強い相棒となってくれるだろう。

キャットアイ VOLT1200
光束:1200ルーメン
サイズ:112.0 x 58.9 x 43.8 mm
重量:214g (本体・充電池のみ)
光源:高輝度白色LED x2灯
使用電池:Li-ion 3.6V 6200mAh
使用時間:点灯(ダイナミック): 約2時間
     点灯(ノーマル):約5時間
     点灯(オールナイト): 約17.5時間
     ハイパーコンスタント:約14.5時間
     点滅:約100時間
標準充電時間:約8〜14時間
繰返し充放電回数:標準300回 (定格容量の70%の容量低下まで)
価 格:20,000 円(税抜)

text:Naoki.YASUOKA

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