都内で開催されたマヴィックの新製品発表会の模様をお伝えする。先行して発表されたアニバーサリーモデルのキシリウム125を筆頭に2015モデルのお披露目に加え、かつての名作パーツを集めた創業125周年の記念展示が行われた。



マヴィックが展開するアイテムが一同に会した2015モデル展示会。中でも注目を集めていたのは、やはりホイール  だマヴィックが展開するアイテムが一同に会した2015モデル展示会。中でも注目を集めていたのは、やはりホイール だ
プレゼンテーションでは2015モデルの説明に加え、4月に行われた125週年記念イベントの様子も紹介されたプレゼンテーションでは2015モデルの説明に加え、4月に行われた125週年記念イベントの様子も紹介された 2015モデルのキーテクノロジーとなる「ISM4D」の加工シーン2015モデルのキーテクノロジーとなる「ISM4D」の加工シーン


今年で創業125周年を迎えた現在も業界のトップランナーとして走り続けるフレンチブランド、マヴィック。全国から多くのショップスタッフが集まった2015モデル展示会では、ヨーロッパでも未だ発表されていないという出来たてホヤホヤのプロダクトが一同に集結した。

主力アイテムであるホイールはもちろんのこと、昨今さらにプロの使用率が高まっているシューズなどのアパレル類も更に強化された2015ラインナップ。その充実ぶりはかつてコンポーネントをリリースしていた80年代ごろの様に、ホイールだけではない総合ブランドとしてのマヴィックが帰ってきたと印象を与えてくれる。

2014モデルで大幅な進化を遂げたエアロホイール群2014モデルで大幅な進化を遂げたエアロホイール群 キシリウム125で初投入されたISM4D。マヴィックが得意とするアルミの切削加工を突き詰めたテクノロジーだキシリウム125で初投入されたISM4D。マヴィックが得意とするアルミの切削加工を突き詰めたテクノロジーだ

トータルサイクリングブランドとして2015モデルからホイールとアパレル共通のコンセプトが設定されるトータルサイクリングブランドとして2015モデルからホイールとアパレル共通のコンセプトが設定される トータルサイクリングブランドとして統一されたロゴトータルサイクリングブランドとして統一されたロゴ


ホイールのキーワードとなるのが「ISM4D」テクノロジーだ(詳細はこちらから)。既にキシリウム125に投入されているが、更にいくつかのモデルにも取入れられる。マヴィックではホイールの次にポピュラーなシューズについては多くの新モデルが登場しており、その中の1つには先日閉幕したツール・ド・フランスで実戦投入されているモデルもある。また、タイヤ、ペダル、アパレル、ヘルメットについても更に高機能化。なお、新製品の詳細な情報は本日の8月27日に開幕した世界最大の自転車ショー「ユーロバイク」でのお披露目後に解禁され、シクロワイアードでも随時お伝えしていく予定だ。

今回の展示会では新製品の展示のみならず、マヴィックを国内で展開するアメアスポーツジャパンのスタッフによる、2時間のプレゼンテーションが開催された。その内容は2015年モデルの紹介や解説のみならず、これまでのテクノロジーの変遷や開発ストーリーにも及んだ。

会場の一角を大きく使った125thコレクションの展示会場の一角を大きく使った125thコレクションの展示 90年台に登場した無線式電動コンポーネント「メカトロニクス」はマヴィックの先見の明を表すプロダクトだ90年台に登場した無線式電動コンポーネント「メカトロニクス」はマヴィックの先見の明を表すプロダクトだ

マヴィックが世に送り出してきた名作パーツの数々が展示されたマヴィックが世に送り出してきた名作パーツの数々が展示された
そして、シクロワイアードのスペシャルコンテンツでもお伝えした創業125周年記念イベントの様子が紹介され、会場内の一角にはマヴィックが世に送り出してきた名作と呼ばれるプロダクトの数々を展示。世界初の無線変速システム「メカトロニック」やロード用完組軽量ホイール「ヘリウム」など、いずれのプロダクトにもマヴィックの先見の明がいかに優れているかを垣間見ることができた。

ちなみに、これらは同ブランドのセールスマネージャーを務める村上嘉之さんの私物なのだとか。いずれも使用可能な状態で、ショップスタッフの皆さんから「自分用に発注したい」とのジョークが飛び出るほどコンディションも良好であった。



日本に根付くマヴィックとSpecial Service Course

先日のインターハイでデビューした、スバルLEVORGベースの新型マヴィックカー先日のインターハイでデビューした、スバルLEVORGベースの新型マヴィックカー photo:Hideaki TAKAGI
安全なレース運営に一役買っているモトマヴィック安全なレース運営に一役買っているモトマヴィック (c)アメアスポーツジャパン昨年のジャパンカップ覇者マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)の横を走るマヴィックカー昨年のジャパンカップ覇者マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)の横を走るマヴィックカー photo:Kei Tsuji


125周年を迎えたマヴィックだが日本での歴史も長く、現在の様にアメアスポーツジャパンが販売会社として国内展開を行う様になってからは約20年が経つ。そして、国内のレースシーンにも欠かせない存在となったSpecial Service Course(スペシャル・サービス・コース=SSC)も17年の歴史を誇る。現在は年間80レース(2013年実績)をサポートしながら、ロングライドイベントやサーキットエンデューロなどにも積極的に出動。国内の自転車シーンの盛り上がりに大きく貢献していることは誰の目にも明らかだろう。

そもそも、SSCが日本国内で活動する意義とはどこにあるのだろうか。村上さんによれば、「日本のレースシーンを盛り上げたいという強い気持ち」が根底にあるのだそう。そして、本場のスタイルをそのまま持ち込むことで国内でもより安全にレースを運営して行きたいという狙いがあるとのこと。

マヴィックからホイール、シューズ、ペダルのサポートを受けるマトリックスパワータグマヴィックからホイール、シューズ、ペダルのサポートを受けるマトリックスパワータグ photo:Hideaki TAKAGIマヴィックのホイールを使用するCrops×champion systemマヴィックのホイールを使用するCrops×champion system photo:So.Isobe


現在、SSCのスタッフは全国に20名程の登録者がいる。そして、その殆どがレース経験者で、世界選手権出場や全日本選手権での上位入賞など輝かしい実績を持っているそうだ。「現場では迅速な判断に基づいてはコミッセールよりも素早く動く必要があることもありますので、実際にレースを走ってきた経験が大いに役立ちます。最近で言えば、全日本選手権の男子U23カテゴリーの残り2周で横山航大(ゼッケンNo.311)がアタックした時もいち早くマヴィックカーを動かしました。」(村上さん)

そんなSSC部隊は現在人材育成に注力している。また、この8月に新たに導入されたLEVORGを含め現在3台ある黄色いマヴィックカー(富士重工業株式会社よりサポート)と同じく3台あるモトについても数を増やす予定があるという。村上さんはその理由について「現在日本のレースシーンは過渡期にあり、マヴィックを始めとした複数の団体が協力しながらニュートラルサポートを行っています。しかし団体間で情報を共有できないため行き違いが発生しやすく、選手にトラブルが発生しても迅速に対応できない、もしくは見過ごしてしまうということがあります。それを防止するために機材とスタッフの数を増やすことに取り組んでいます」と語る。

セールスマネージャーであり国内のSSCを統括する村上嘉之さん(右)と、国内では女性初のSSCメンバーとなるべくトレーニング中という木村亜美さん(左)セールスマネージャーであり国内のSSCを統括する村上嘉之さん(右)と、国内では女性初のSSCメンバーとなるべくトレーニング中という木村亜美さん(左)
SSC以外では、マトリックス・パワータグとCrops×champion systemの2チームにサポートを行っていることもトピックス。プロが実際に使用したマヴィック製品を検証することで、レースユースでしか知り得ない製品の特徴や末永く使うためのメンテナンス方法などのフィードバックが得られるとのこと。また、日本人選手ならではの繊細な気付きは本国での製品開発にも生かされているそうだ。

そして近年では日本人サイズの「Maxi Fit」の展開を始めたことも忘れてはならない。Maxi Fit採用モデルについては2015ラインナップで更に拡充されるという。
創業125周年を迎えてなお進化を続けるフレンチブランド、マヴィック。その2015年モデルから目が離せない。

text:Yuya.Yamamoto
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