ベルギーの全国民が熱狂するという同国最大のロードレース「ロンド・ファン・フラーンデレン」の開催を翌週に控えた3月30日(日)。ベルギー・フランダース政府観光局とオランダ政府観光局ならびにKLMオランダ航空が主催するサイクリングイベント「オランダ~ベルギー・フランダース in東京散走」が開催された。



満開の八重紅枝垂桜の下を行く満開の八重紅枝垂桜の下を行く
スタートは麹町に位置するベルギー大使館スタートは麹町に位置するベルギー大使館 スタート前にはベルギーワッフルやホットチョコレートが提供されたスタート前にはベルギーワッフルやホットチョコレートが提供された


ロンド・ファン・フラーンデレンを筆頭に数多くのビッグレースが開催され、数々の名選手を輩出している自転車競技大国ベルギーのフランドル地方。その隣国で、一人あたりの自転車所有台数が世界で最も多い自転車大国オランダ。両国政府観光局と、日本とオランダを繋ぐKLMオランダ航空が主催する自転車イベントが「オランダ~ベルギー・フランダースin 東京散走」である。

その内容は「ベルギー王国大使館」から皇居内堀通りを時計周りに半周して「オランダ王国大使館」に至る11kmの道のりを、のんびりとサイクリングするというもの。道中ではベルギーの国立銀行を模範に設計されたという「日本銀行」やアムステルダム中央駅をイメージして作られたという「東京駅」などベルギー及びオランダの両国に縁のあるスポットが組み込まれた。

雨にも関わらず大勢のベルギー大使館前には大勢のサイクリストが集まった雨にも関わらず大勢のベルギー大使館前には大勢のサイクリストが集まった コースを案内してくれた女子大生サイクリストの皆さんコースを案内してくれた女子大生サイクリストの皆さん

気分はトム・ボーネン?気分はトム・ボーネン? 参加者193名が全員集合参加者193名が全員集合


今年で2回目の開催となった本イベントの天候は昨年同様に本格的な雨。気温6度という冬に逆戻りした様な寒さの中で開催された第1回大会に比べると気温こそ高かったものの、「春の嵐」が吹き荒れるというバッドコンディションであったことには変わりない。その過酷さは「氷雨や強風がレース展開を左右するロンド・ファン・フラーンデレンの雰囲気を味わって頂けたのでは」とベルギー大使のリュック・リーバウト閣下からジョーク飛び出るほど(笑)。参加者は昨年の1.6倍となる193名を数えた。

スタートに先立ってベルギー大使館では同国の文化を体験してもらおうと、レース前の「ヴィラージュ」のごとく薄い生地が特徴のブリュッセルワッフルやチョコレートドリンクなどのウェルカムドリンクが振る舞われた。そして、参加賞としてサイクルキャップが配られ、ベルギーで1番人気の自転車選手トム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ)の顔抜きパネルが用意されるなども憎い演出が盛りだくさん。

オランダ大使館へ向けて出発オランダ大使館へ向けて出発 KLM航空のスタッフさんがスタンプを押してくれたKLM航空のスタッフさんがスタンプを押してくれた

北の丸公園入り口の枝垂れ桜はほぼ満開北の丸公園入り口の枝垂れ桜はほぼ満開
オープニングセレモニーの後、10時過ぎにサイクリングがスタート。参加者は10名ごとに分かれて大使館を後にしていく。天気こそパッとしないものの道沿いの至るところには花が咲き誇り、自然が少ない都会の中にあっても春を十分に満喫することができた。

その中でも特に目を楽しませてくれたのが皇居の周りをグルっと1周する内堀通りの千鳥ヶ淵~首都高代官町出入口の間だ。薄いピンクのソメイヨシノと、色濃いピンクの八重紅枝垂桜のコントラストがなんとも美しい。そんな2色の桜が織りなすトンネルを抜ければコース中で唯一のチェックポイントである科学技術館に到着。スタート地点で配られた用紙にKLMオランダ航空のスタッフさんからスタンプを押してもらい、再びオランダ大使館へ向けて出発する。

生憎の雨をむしろ喜ぶ?カエルさん4匹生憎の雨をむしろ喜ぶ?カエルさん4匹 先日オープンしたばかりのCOREDO室町の前を通過先日オープンしたばかりのCOREDO室町の前を通過

東京タワーまで来ればオランダ大使館はすぐそば東京タワーまで来ればオランダ大使館はすぐそば ゴール地点のオランダ大使館では同国を代表する自転車ブランドKOGAがブース出展していたゴール地点のオランダ大使館では同国を代表する自転車ブランドKOGAがブース出展していた

ゴール後はヒュッツポットというオランダ料理で腹ごしらえゴール後はヒュッツポットというオランダ料理で腹ごしらえ オランダ大使のラーディング・ファン・ファーレンホーヴェン閣下(左)とベルギー大使のリュック・リーバウト閣下(右)オランダ大使のラーディング・ファン・ファーレンホーヴェン閣下(左)とベルギー大使のリュック・リーバウト閣下(右)


東京駅や買い物客で賑わう銀座通り、日本橋、新橋駅、東京タワーと都内の史跡&観光スポットを巡り、オランダ大使館へゴール。大使館のエントランスではマッシュされたジャガイモと人参、玉ねぎに煮込んだ牛肉を混ぜた「ヒュッツポット」という伝統料理や煎餅の様にパリっとした「ストロープワッフル」、ホットコーヒーが供され、雨の中を走った疲労を回復する。

この後、オランダ大使のラーディング・ファン・ファーレンホーヴェン閣下やベルギー・フランダース政府観光局CEOのペーター・デ・ウィルデ氏、オランダ政府観光局マネージング・ディレクターのヨス・フランケン氏、KLMオランダ航空営業本部長のマーク・アークスフック氏らが参加者を労うと共に、ベルギーとオランダ両国の魅力をPRしイベントは終了。参加者は再び雨の中を走り出したり、事前に用意した輪行袋に自転車を詰めたりと思い思いの方法で帰路に着いた。



2年連続の雨に見まわれながらも多くの参加者が満足する充実の内容となった「オランダ~ベルギー・フランダース in東京散走」。僅か11kmの走行距離ながら200名以上ものエントリー(出走は193名)を集めたこのイベントの経緯についてオランダ政府観光局/ベルギー・フランダース政府観光局の塚越友美さんにお話を伺った。

ーこのイベントを開催するに至った経緯を教えて下さい

本イベントでは広報を務めたオランダ政府観光局/ベルギー・フランダース政府観光局の塚越友美さん本イベントでは広報を務めたオランダ政府観光局/ベルギー・フランダース政府観光局の塚越友美さん オランダ政府観光局とベルギー・フランダース政府観光局が3年前から東京に共同で事務所を構える様になり、両国を結ぶようなイベントを開催しようと考えたのがキッカケでした。共に自転車が盛んであるという共通点から、みんなで楽しくサイクリングはできないものかと企画したのが「オランダ~ベルギー・フランダース in東京散走」です。

自転車にベルギーとオランダ両国の国旗を装着自転車にベルギーとオランダ両国の国旗を装着 主催はオランダとベルギー・フランダースの政府観光局にKLMオランダ航空を加えた3社で、開催にあたっては両国の駐日大使館にも協力して頂いております。2回目の今年は昨年の第1回大会を大きく上回る193名の方に参加して頂けました。

他のイベントに比べると距離は短いですが、大使館が運営に関わるということで興味を持って頂いた方やリピーターの方が多かった様です。来年も是非開催したいと考えています。また、自転車の本場である両国の魅力を発信することを目的としています。

今回のイベントをきっかけに、日本の熱心なサイクリストの方にヨーロッパへ行って頂き、現地でサイクリングを楽しんで頂ければ幸いですね。旅行会社によるサイクリングツアーをご用意していおりますので、奮ってご参加頂ければと思います。

ー昨年の4月下旬から今年の3月末へ開催時期を変更されましたね?

ベルギー最大の自転車ロードレースである「ロンド・ファン・フラーンデレン」の開催近づけようと思い変更しました。現地でもこれから続々とビッグレースが開催され、サイクリングシーンが大きく盛り上がりますので、その雰囲気を日本の皆さんにも味わって頂ければと考えております。加えて桜が満開になるタイミングも狙っていましたので、そういった意味でも今年は大成功ですね。

ースタートとゴールを大使館に設定するというのはユニークなアイデアですね。

普段は中々建物の中に入ることのない大使館の中でイベントを行うことでオランダとベルギーの両国に親しみを持って頂ければなと。また自転車に乗ること以外の楽しみも提供できればと思い、オランダとベルギーそれぞれの郷土料理を参加者に振る舞い食文化に触れて頂きました。

アムステルダム中央駅をイメージして作られたという東京駅を背に記念撮影アムステルダム中央駅をイメージして作られたという東京駅を背に記念撮影 ベルギーの国立銀行を模範に設計された日本銀行ベルギーの国立銀行を模範に設計された日本銀行



僅か10kmのサイクリングイベントとは思えないほど濃い内容となった「オランダ~ベルギー・フランダース in東京散走」。自転車大国にちなんだ憎い演出や、スタートとゴール地点で振る舞われた郷土料理など東京にいながらベルギーとオランダ両国の文化に触れ、満開の桜など春を満喫できるこのイベントは、初めてのイベントとしてや、自転車はレース観戦のみという方にもピッタリだ。来年は是非、晴天下で開催されることを願いたい。

text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO, Yuya.Yamamoto



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