2月8・9日にタイで開催されたチェンライ国際MTBチャレンジ。日本人参加者のリピーター率が70%を越える人気大会を今年も全コース実走したCW編集部・綾野がレポートします。



スタートに並んだ参加者たち。70%以上がリピーターさんだスタートに並んだ参加者たち。70%以上がリピーターさんだ
リエゾンでシンハーパークに到着リエゾンでシンハーパークに到着 チェンライ国際MTBチャレンジは、タイ北部を舞台にした2日間のステージレース。微笑みの国タイのエキゾチックなトレールと山岳地帯を走り、ゾウに乗り川を渡る。MTB好きに支持され、日本からのリピーターが絶えない。すでに何度も各メディアで紹介されているため「象に乗るイベント」とピンと来る人が多いだろう。今年は15年記念大会となり、さらに盛り上がった。

日本のイベント会社「R1ジャパン」が主催するため、タイ開催とはいえ参加者の8割以上は日本人という、ほぼ日本のイベントだ。地元タイ人参加者や、タイ在住の外国人もリピーターさんだ。全体のリピート率は70〜80%に上るほどだという。

2日間で120km以上を走るステージレース制で、実力に合わせた参加クラスが「インターナショナル」「スポーツ」「ファン」の3クラスから選べる。今回私は取材帯同のため1日目をスポーツ、2日目をインターナショナルクラスで走ってみた(取材参加の特別処置で、一般参加の場合はできません)。

シンハーパーク内のシンボル、金色に輝く虎の像シンハーパーク内のシンボル、金色に輝く虎の像 山本幸平、斎藤亮など豪華メンバーが揃ったインターナショナルクラス山本幸平、斎藤亮など豪華メンバーが揃ったインターナショナルクラス


新設されたシンハー公園MTBパークがスタート地点に

今年は山本幸平(スペシャライズド)、斎藤亮に平野星矢(ともにブリヂストンアンカー)らも参加。この大会の後タイで合宿に入る山本と平野、そしてアンカーツアーのゲストとして参加した斎藤(平野も)、そして韓国MTBチャンピオンのサンチャン選手も登場となると、一気に全日本選手権並の豪華メンバーに。彼らエリートライダーにとっても楽しみをもって参加できるレースとして嬉しい大会ということだ。

アメリカ西部を思わせるシンハーパーク内の公園事務所とカフェアメリカ西部を思わせるシンハーパーク内の公園事務所とカフェ
レースは2日間、「SS:スペシャルステージ」と呼ぶ競技計測区間を組み合わせた4ステージで行われる。インターナショナルクラスなら40〜50kmの山岳ステージ(午前)と、10km程度のフラットダートのスピードステージ(午後)を組み合わせたレースが2日続くと考えてもらえれば分かりやすい。
総合順位は着順の合計で競われ、2日間で総合順位がつく。クラスは年代別にも細分化され、多くの人に入賞のチャンスがある。そして年代別1〜3位には賞金も用意されるのだ。ちなみに優勝は3000バーツ(約9000円)だ。

バイクが並ぶともはやタイの風景とは思えないバイクが並ぶともはやタイの風景とは思えない シンハービールのオリジナルジャージシンハービールのオリジナルジャージ


リピーターさんが多いので、初日のスタートラインに集まった人たちは半数ぐらいは顔見知り。常連のチームKirin、りんきち、カトーサイクル、ストラーダ、ユキリン、ロングライドファンなど各クラブに加えて今年もアンカーツアーがツアーを組み、新しい顔も増えた。

スペシャライズド製MTBがずらりと並ぶスペシャライズド製MTBがずらりと並ぶ 高品質なコーヒーショップも併設され、ゆっくりできるのが嬉しい高品質なコーヒーショップも併設され、ゆっくりできるのが嬉しい

ゆったりとしたソファでくつろげるカフェが嬉しいゆったりとしたソファでくつろげるカフェが嬉しい チームシンハービールのオリジナルジャージ。おみやげに最高チームシンハービールのオリジナルジャージ。おみやげに最高


初日はリムコックリゾートホテルを出発してのリエゾン(つなぎ移動)。パトカーの先導つきでパレード走行で、まずはシンハーパーク(Boon Rawd Farm Chiangrai)へ。ここがスタート地点になるのは初めてだ。
シンハーパークはタイ人にも海外観光客にも人気のある、観光名所にもなっている公園。ここにMTBパークができたことがスタート地点になった理由との事だった。

レンタル用のヘルメットも高品質なものを用意レンタル用のヘルメットも高品質なものを用意 タイ語で書かれた、おそらくはレンタルバイクの料金表タイ語で書かれた、おそらくはレンタルバイクの料金表


訪れてみて驚いた。洒落たカフェになっているセンター事務所(HQ)には、スペシャライズド製のレンタルMTBがずらりと並ぶ。どこかアメリカの西部を感じさせる建物の施設は、サイクリストをしっかり満足させるMTBパークになっている。驚くことにパンプトラックまであった。オリジナルのジャージ販売もあり、かなりゴキゲン。

このHQのある公園を拠点に、3つのバイクルートがあるという。一般の観光客の方がレンタサイクルのMTBで楽しめるような気軽な散策コースに加え、Khun Korn滝へ向けてギアをフルレンジで使うようなチャレンジングな34kmのトレールも用意されているという。すでにMTB大会も開催済みで、ここで12月には国際的なMTB大会が開催される予定だという。

シンハーパークMTBコースのサインシンハーパークMTBコースのサイン なんとパンプトラックも造成してあった。本格的だなんとパンプトラックも造成してあった。本格的だ


チェンライ近郊は自然豊かな山岳地帯で、山岳民族の住む山村、点在する伝統的な寺院など、サイクリストにとても魅力的な地域。自治体が自転車による観光を推進しているため、これからサイクリストにも要注目エリアになりそうだ。

もともと年齢別にスタートの予定が、エリートライダーの中では斉藤亮だけ別スタートとなっていたところを、せっかくの一緒に走れる機会だから一緒に走りたいということで、その場で交渉して斎藤も同じスタートラインに並ぶことになった。

SS1 スポーツクラスでのんびり走る

アメリカ西部のようなシンハーパークMTBコースアメリカ西部のようなシンハーパークMTBコース
ロケットスタートの山本幸平を先頭に、一斉に飛び出していく選手たち。これから激しいバトルだ。初日のSS1のインターナショナルクラスのコースの厳しさは格別で、えんえんと登るセクションが続き、相当のレベルの選手でなくては乗って行けないため、押して登ることになる。

ロケットスタートを決める山本幸平(スペシャライズド)ロケットスタートを決める山本幸平(スペシャライズド) スポーツクラスのスタート。女子ばっかりですスポーツクラスのスタート。女子ばっかりです


昨年まで2年連続でインターナショナルを走っている私は、今回は少し気軽なスポーツでの出走とした。参加者の半分以上が女子ファンライダーだ。親子の姿もある。
スタートからしばらくはシンハーパーク内のMTBコースを走る。今までに通ることがなかった新コースだ。

烏龍茶の畑が広がり、タイの風景とは思えない園内のコース。眺望も楽しめ、MTBピクニックには最高のロケーション。今回の参加者でも多くすでに訪れていたようで、園内にある独立棟のレストランはチェンライいち美味しいという評判だった。

西部劇の風景のようなシンハーパークのMTBコース西部劇の風景のようなシンハーパークのMTBコース 烏龍茶の畑を抜ける烏龍茶の畑を抜ける


スポーツクラスのコースはインターナショナルほど過激なものでなく、アップダウンも適度。参加者も女性が多く、のんびりペースだ。今回はペースのあう「つっつん」さん、坂井優子さん、飯田裕子さんと一緒に走ることに。「チェンライ写真部」を名乗るこの3人。なぜか私も「顧問」と呼ばれて仲間入りして、写真を撮りながら走ることに。

烏龍茶の畑を抜けて走る公園内のMTBコース烏龍茶の畑を抜けて走る公園内のMTBコース
そして、よく前後してご一緒したのがアンカーツアーの渡部順子さんと柳沼清恵さん。ホノルルセンチュリーライドでもご一緒したビギナーさんで、つい最近ロードバイクを始めたと思ったら、今度はMTBでタイにまで進出?と驚いてしまうご婦人だ。オフロードに悪戦苦闘しながらも、本当に楽しんでらっしゃいました(笑)。

美しい並木道を走る。シンハーパークのコースは風景も楽しめる美しい並木道を走る。シンハーパークのコースは風景も楽しめる
チェンライ写真部の4人は超マイペースで走る。お寺を見つけたら見物に立ち寄り、おしゃべりを楽しみながら。「オリンピックと同じで、インターナショナルは4年に一度でいいね!」と優子さん。

シクロクロスバイクで走るつっつんさんシクロクロスバイクで走るつっつんさん パンク修理を見守りつつ、おしゃべりに花を咲かせるパンク修理を見守りつつ、おしゃべりに花を咲かせる

アンカーツアーの渡部順子さんと柳沼清恵さん。MTBに乗るのは初めて!アンカーツアーの渡部順子さんと柳沼清恵さん。MTBに乗るのは初めて! おなじみの水着のおねえさんの給水所のサインおなじみの水着のおねえさんの給水所のサイン


野辺山シクロクロスではサンタクロースのコスプレでお菓子を配る「つっつん」さんは、サルサのシクロクロスバイクでの参加。今回なぜかパンクが続き、何度もチューブ交換。でも、急いでないので慌てない・慌てない。タイムリミットまで時間はたっぷりあるので、ランチにあぶれないように到着すればいい(ちなみにインターナショナルでは遅いとランチに間に合わない事態になることも)。
フラット基調のコースを走り、ランチの待つゴールへ。ここではタイ料理が振る舞われ、美味しく休憩することができる。
川の向こうの村に洒落た洋風建築を見つけた川の向こうの村に洒落た洋風建築を見つけた ランチはケータリングによる美味しいタイ料理ランチはケータリングによる美味しいタイ料理


SS2 フラットダートのスピードレース

SS2のスタートはいきなり激坂。そして後はジープロードのフラットコースSS2のスタートはいきなり激坂。そして後はジープロードのフラットコース
そして一休みしたら午後のSS2が始まる。フラットダートの8kmスプリントレースだ。スタート直後の急坂で集団がバラけたら、あとは川沿いのジープロードをひたすら飛ばす。途中、川を渡るボロボロの朽ちかけた吊り橋があって、かなりの恐怖体験ができる。

ボロボロの朽ちかけた吊り橋を渡る。毎年のことながら緊張する...ボロボロの朽ちかけた吊り橋を渡る。毎年のことながら緊張する...
ゴールしたら、この大会を象徴する象に乗っての川渡り。MTBと一緒に象の背中に乗り込んで、のっしのっしと河を渡る。観光客にも人気のこのアトラクション。MTBと一緒に乗ると不安定で、落ちそうでけっこう怖い思いができる(笑)。

象に乗って川を渡る。乗っている本人は落っこちないかとヒヤヒヤだ象に乗って川を渡る。乗っている本人は落っこちないかとヒヤヒヤだ
渡りきったところには大会スポンサーのLEOビールが待っている。このために日本からつまみを持ってきて、バックパックに背負って走る人が居るぐらい、ここでやる「プシュー」は格別だ。
ほろ酔い気分になったら、ここからホテルまではMTBごとロングボートに乗っての川旅。水面ギリギリを疾走するボートから、川辺の生活を垣間見ながらの贅沢な時間だ。

素朴な寺院に立ち寄ってみる。お釈迦様と金色の大福様にたいな仏像が迎えてくれた素朴な寺院に立ち寄ってみる。お釈迦様と金色の大福様にたいな仏像が迎えてくれた 一日を締めくくるのはやっぱりビール。乾杯!一日を締めくくるのはやっぱりビール。乾杯!


ホテルに付いたらMTBを洗車して、街へとマッサージに出かける。飲むのが好きな人はフードコートに出かけて、おかまショーを見ながらしこたま飲む。でもインターナショナルクラスのコースを甘く見ていた人は夜遊びどころじゃなく、マッサージを2時間ぶん依頼していた。

後編につづく。

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