2月23日(日)、大磯ロングビーチの敷地内をコースとする大磯クリテリウムの第4戦が開催された。冬季のトレーニングレースとして、早くも高い人気を集めるイベントだ。首都圏からのアクセスも良好で、ロードレースデビューにもぴったりの大会。今回は参加者や観客、運営スタッフのスナップと共に大会の模様をお届けしよう。



積雪の残る箱根や伊豆の山々を背に走る積雪の残る箱根や伊豆の山々を背に走る
ハイスピードなコーナリングはクリテリウムの魅力の一つハイスピードなコーナリングはクリテリウムの魅力の一つ 来るシーズンへ向けてチームプレーの練習ができる絶好の大会だ来るシーズンへ向けてチームプレーの練習ができる絶好の大会だ


2月23日(日)7時。都心では東京マラソンに3万5千人のランナーが新宿都庁前に集まっている時、大磯ロングビーチにはサイクリスト達が集まりつつあった。昨年11月24日に初開催された大磯クリテリウムも4戦目を迎える。会場オープンが迫るなか、手慣れた大会スタッフがコースの設営を行い、落車の危険を減らすために箒で路面の清掃をしている。計測機器やエアアーチの最終設置もほぼ完了し、あとは選手たちの来場を待つのみといった様子。

選手達が到着して、まず顔を合わせる大会スタッフが駐車場誘導員だ。テキパキと交通整理していくことで、混乱を起こさずスムーズに誘導を進めていく。もちろん、朗らかな笑顔で挨拶することも忘れない。元気な挨拶に、選手達も元気をもらって今日のレースへの意気込みを新たにしていく。受付開始まで時間があるため、車内で仮眠をとったり朝ごはんを食べたり皆さまざまに時間を過ごしていた。

駐車場の案内もレースを安全に行う上では大切な役割の一つ駐車場の案内もレースを安全に行う上では大切な役割の一つ 会場に到着したらまずは自転車の組み立て会場に到着したらまずは自転車の組み立て


段々と辺りが明るくなってくると試走に備えて自転車を組み立てる参加者も多くなってきた。電車でのアクセスも良いものの参加者の多くは車で来場しており、軽自動車からハッチバック、セダン、ワンボックスまでサイズはそれぞれだが、思い思いの方法で自転車を積載している。

定番は車内が汚れないように輪行袋や毛布を被せる方法だ。中には木材でラックを自作したり、ホームセンターで買ってきた建材を流用したりと知恵を絞った積載方法も見受けられた。また少数ではあったが、親子連れや大学の自転車競技部を中心にルーフキャリアを使用している車もあった。

競技運営スタッフは打ち合わせに余念がない競技運営スタッフは打ち合わせに余念がない 続々とレースに必要な設備や機材が組み立てられていく続々とレースに必要な設備や機材が組み立てられていく

自転車の積み方は人それぞれ。空間をうまく利用するのがポイント自転車の積み方は人それぞれ。空間をうまく利用するのがポイント 将来有望なキッズレーサーが多く集った将来有望なキッズレーサーが多く集った


さて、受付が始まれば、ゼッケンと計測チップを受け取ってそれぞれウェアとバイクに装着。各カテゴリーの出走時間15分前から始まる召集に並び、点呼を受ける。誘導スタッフの指示に従って、召集場所からスタートに移動すれば、否が応でも緊張が高まってくる様子が伝わってくる。緊張をほぐす意味も込めて、隣に並んだ人に挨拶をするのもいいだろう。同じレースを走る者同士、すぐに打ち解けられるはず。

スタートに整列した後は、競技説明と諸注意事項が説明される。安全面等で大切なことが説明されるため、聞き逃さないようにしたい。競技説明が終われば、いよいよスタートだ。ペダルキャッチの失敗等で遅れても、ローリングスタートであるため、慌てること無く走りに集中できる。

ローカルレースながら女子のレースも開催されるローカルレースながら女子のレースも開催される MARIOLOのみなさんはお隣茅ヶ崎を拠点とするチームだMARIOLOのみなさんはお隣茅ヶ崎を拠点とするチームだ

MCアリーさんも記録車でレース状況を確認MCアリーさんも記録車でレース状況を確認 コースには多くの立哨スタッフが配置されたコースには多くの立哨スタッフが配置された

ローカルレースながらビデオカメラ等を用いて確実な計測を行うローカルレースながらビデオカメラ等を用いて確実な計測を行う なんと計測を担当するお二人もボランティアなんと計測を担当するお二人もボランティア


レースを安全かつ円滑に運営するために多くのスタッフが支えてくれている。参加選手に一番近い所でいうと、先導と最後尾を務めるバイクマーシャルは、周回遅れの選手に声をかけて集団と交錯しないように誘導したり、ローリングスタート時にペースを保ったり、ニュートラルの対応をしたりと、右へ左へ大活躍だ。加えて、コース上の立哨員が落車の対応や、周回遅れの誘導などを行っている。

ゴール脇には、周回板が設置されており、残り周回数が一目でわかるようになっている。最終周回には大きくジャンが鳴り響き、選手は最後のスプリントに向けて位置取り争いを始める。また、目視やビデオカメラに加えチップ計測を導入することで、最終着順のみならず、周回ごとの順位や逃げ集団とメイン集団のタイム差などを計測できる様にしている。まさに目立たないが縁の下の力持ちのような存在だ。また、MCもリアルタイムで更新される計測情報を参考にしながら実況を行っており、レース展開もわかりやすく観客に伝えられる。

プロのレースさながらに先導バイクが走るプロのレースさながらに先導バイクが走る しっかりと表彰式も行なわれるしっかりと表彰式も行なわれる

機材トラブルによるニュートラルは審判の技量が試されるポイント機材トラブルによるニュートラルは審判の技量が試されるポイント 安全なレース運営のためにお昼寝で体力を回復安全なレース運営のためにお昼寝で体力を回復


大磯クリテリウムでは未就学児のクラスであるバンビーノから、強豪ホビーライダーも出場するエリートクラスまで、たくさんの種目が設定されており、7時30分の受付開始から16時ごろの表彰式終了まで約8時間半もの長丁場となる。複数種目に出ている人や、家族やチームで参加している人は自分の出番まで、アップをしたり、チームメイトと談笑したりと、コース上とは対象的に朗らかな雰囲気でイベントは進行する。

また競技をしている脇では、ワコーズのブースで無料注油や調整、洗車といったサービスが受けられ、大人気になっていたり、メンチカツのおいしい地元の精肉店やカレーパンが自慢のパン屋さんなどが出店していたりと、競技の合間も飽きることがなく過ごすことができる。

ワコーズのメンテナンスサービスは大盛況ワコーズのメンテナンスサービスは大盛況 JR大磯駅前の名店「パンの蔵」など地元の美味しい食べ物が並んだJR大磯駅前の名店「パンの蔵」など地元の美味しい食べ物が並んだ


短距離の周回コースを走るクリテリウムは、何度も選手が目の前を通るため、応援しやすいのも魅力。特に、大磯クリテリウムはコースがコンパクトかつ周回数が多いため、高速で目の前を通過する選手を応援できる回数も多くなる。家族連れの割合も高く、一家総出で出場して互いに応援しあうといった様子もちらほら。もちろんチームでの出場も多く、仲間への熱のこもった応援も多く聞こえてきた。ちぎれそうになっても、家族や仲間の声援で踏み直すようなシーンもあった。

特に、エリートクラスは全日本選手権の参加資格を持つハイレベルな選手たちが多く参加していることもあり、それまでのクラスとは一線を画すスピードとテクニックにみな釘付けになっていた。その力強い走りに刺激を受けて、いつかはエリートクラスで走ってやる!という憧れを抱いた参加者も沢山いたのではないだろうか。

大磯クリテリウムを主催する山根理史さんと参加者の皆さん大磯クリテリウムを主催する山根理史さんと参加者の皆さん
サドル下のゼッケン(?)に注目!こんなユルさが大磯クリテの大きな魅力サドル下のゼッケン(?)に注目!こんなユルさが大磯クリテの大きな魅力 ローラー台を漕ぎながら望遠レンズを構える器用さにびっくりローラー台を漕ぎながら望遠レンズを構える器用さにびっくり


エリートクラスが終わり、午後の表彰式が終われば大会は終了。朝からたくさんの選手が何周も走り抜けた特設コースは、スタッフによってあっという間に片付けられ、跡形もなくなっている。大会を華やかにしてくれた、スペシャライズドのエアアーチも空気を抜かれ手際よく畳まれ、気がつけば普段の大礒ロングビーチ駐車場に元通り。

選手達が帰路に着き、大会の熱気が嘘のように静かになった会場では、最後にスタッフが集合しミーティングが行われる。大会ディレクターであるWalk Ride(ウォークライド)の山根さんからの挨拶でミーティングが締めくくられると、スタッフも解散となる。1日間、選手達が安全に楽しめるように尽力されてきたみなさま、お疲れ様でした。

ジャンが鳴ると最終周回。グンッとスピードが上がるジャンが鳴ると最終周回。グンッとスピードが上がる 一生懸命走っているお父さんを応援中一生懸命走っているお父さんを応援中

最上位カテゴリーの男子エリートには多くの観客が集まった最上位カテゴリーの男子エリートには多くの観客が集まった 積み込みが終わってホッと一息積み込みが終わってホッと一息


第4戦も大盛況のうちに終わった大磯クリテリウム。ローカルレースならではの居心地の良い雰囲気とトップカテゴリーの様なレース運営が魅力的ということができるだろう。本年度のシリーズは1戦を残すのみ。既にエントリーは締め切られているがレースを見るために大磯に脚を運んでみるのはいかがだろうか。そのスピード感や雰囲気はサイクリストならきっと誰でも楽しめるはずだ。


text:Naoki.Yasuoka
photo:Yuya.Yamamoto, Naoki.Yasuoka