日本初?漁港を舞台に開催された耐久イベント、Fish Man Race in 静岡・焼津港が、7月7日に静岡県の焼津漁港で行われた。このイベントのテーマは“海の活気のターミナル「港」で、豪快活き活きレース、活きよく走る×活きよく食らう”というもの。

焼津の港を見下ろす津波避難タワーを活用した絶好の観戦ポイント焼津の港を見下ろす津波避難タワーを活用した絶好の観戦ポイント
Fish Man Race in 静岡・焼津港は漁港の活気をそのまま、サイクルレースに繋げようというイベントである。イベントの舞台はその名の通り静岡県中部に位置する、マグロやカツオの水揚げ量全国1位を誇る水産・漁業の町、焼津市。レース当日は梅雨明けの空からは強烈な日差しが会場に降り注ぎ、気象庁の発表では気温は33℃にも達した。

コースは焼津港から「アクアスやいづ」というフィットネス施設までを往復する、1周2.2kmの“回遊”コース。標高差はわずか2m、そして駿河湾を見渡すことができる、まさにサイクリストが大群で回遊するには、最高のロケーションである。初開催となる今回は地元静岡県内を中心に、121組、432名の“カツオさん”、“マグロさん”たちが焼津港に集結した。

舞台は焼津港。南“カミナリ”隼人さんがMCとして大会を盛り上げる舞台は焼津港。南“カミナリ”隼人さんがMCとして大会を盛り上げる レース開始前から強烈な日差しが降り注ぐレース開始前から強烈な日差しが降り注ぐ


麦わら帽子を被ってレース前の暑さ対策もバッチリ!麦わら帽子を被ってレース前の暑さ対策もバッチリ! スタートラインに並んだゲストライダー。左から河合選手、鈴木選手、オーパス 佐藤選手、平田選手スタートラインに並んだゲストライダー。左から河合選手、鈴木選手、オーパス 佐藤選手、平田選手

強い日差しの下、刻一刻と迫る放流を待ちわびるカツオやマグロの魚群たち強い日差しの下、刻一刻と迫る放流を待ちわびるカツオやマグロの魚群たち 待ってました言わんばかりに真夏の焼津で回遊を始める魚群たち待ってました言わんばかりに真夏の焼津で回遊を始める魚群たち


レースは1チーム2~5名で構成し、ライダー交代をしながら6時間を“回遊(周回)”し続けるというもの。さらに本大会ならではの表彰として、以下3つの特別賞が設けられている。

回遊マグロ賞 ―― マグロという名前の由来にもあるように「真っ黒に日に焼けた選手」。受賞者には焼津港で水揚げされたマグロを授与
回遊カツオ賞 ―― カツオのように「うまく群れ(集団・パック)を使ったレース展開をした選手」。受賞者には焼津港で水揚げされたカツオを授与。
Fish Man賞 ―― 漁師の目からみて、「最も活きがイイ走りをした」と感じられるチーム。受賞チームには、活きのイイ季節の鮮魚を授与。

これだけでも活きよく走る魅力と、食欲をそそられるイベントである。というわけで、梅雨明けしたばかり、お日様の紫外線が元気に降り注ぐ焼津港を舞台に、“6時間サイクル回遊”がスタートする。

焼津港に設置されたの特設コースを回遊する活きのいいお魚さんたち焼津港に設置されたの特設コースを回遊する活きのいいお魚さんたち 海から吹きつける強烈な“焼津ミストラル”に負けず回遊する海から吹きつける強烈な“焼津ミストラル”に負けず回遊する


元気よく次走の回遊魚を焼津の海へ送り出す元気よく次走の回遊魚を焼津の海へ送り出す ゲストライダーの競輪選手は慣れないライダーチェンジに奮闘ゲストライダーの競輪選手は慣れないライダーチェンジに奮闘


スタート時刻は9:30分。ゲストライダーのProject-OPUS 佐藤咲子選手、静岡県出身の競輪選手、鈴木伸一、河合康晴、平田徹の3選手を先頭に、121組がローリングスタートする。まさにその様は、回遊する魚群そのもの。ローリングが解除されると、活きの良い“マグロ”、“カツオ”たちが一気に回遊ペースを上げる。

ほぼフラットなコースにも関わらず、強い日差しと、時間とともにジリジリと上昇し続ける気温、そして焼津港という、駿河湾に面したロケーションゆえに、“焼津ミストラル”と呼ばれる強烈な海風がレースの難易度を格段に引き上げた。そのためかスタート直後は巨大たった魚群も次第に、小さな魚群へと分断されていく。

テトラポットや防波堤、錆びたガードレールが漁港らしい光景テトラポットや防波堤、錆びたガードレールが漁港らしい光景
かなり珍しい大漁旗を使った応援はFish Man Raceならでは?かなり珍しい大漁旗を使った応援はFish Man Raceならでは? 海の男もFish Man Raceに参戦海の男もFish Man Raceに参戦


コースプロフィールからは推測することはほぼ不可能な、過酷な回遊コースのようだ。今回の取材が実走レポートでなかったことに感謝する、私であったのである。それでもここ数シーズンの“コンパクトな練習量”を、一気に解消するほど、しっかりと日焼けさせて頂きました(笑)。

こんな過酷な条件に関わらず、選手たちは黙々と回遊を続ける。それはなぜか?そう、コースを彼らは“マグロ”であり“カツオ”である。泳ぎ続けなければ(走り続けなければ)呼吸すらできずに、死に至る運命なのである。(とは言え水分補給はお忘れなく~)

“活きよく食らった”、佐藤選手の活きのいい走り“活きよく食らった”、佐藤選手の活きのいい走り チームプレーでペースを上げるチームプレーでペースを上げる


プロさながらにチームでトレインを組んでゴールへ向かうかプロさながらにチームでトレインを組んでゴールへ向かうか 風と暑さが選手たちを苦しめた6時間エンデューロのフィナーレ風と暑さが選手たちを苦しめた6時間エンデューロのフィナーレ


そんな会場内のオーパスのブースに、回遊から一時離脱の佐藤咲子選手を発見。笑顔ながらも「あっという間にボトルの水がなくなっちゃいました。お腹もペコペコです!」というわけで、今回のイベントのもう一つのポイント“活きよく食らう”へGo!なおこちらの様子は、本イベントレポートの第2弾 “イベント編”にて後日お伝えします。乞うご期待!

耐久レース、それは過酷であればあるほど、長いようで時間が経つとともに、不思議と残り時間が短く感じられるもの。気づけば6時間の回遊も、いつしか残り30分。各チーム、そして“活きよく食らった”佐藤選手も元気にゴールを目指す。そして15時30分、6時間のレース終了とともに、参加者全員で選手たちをお迎え、さらに感動のウイニングランへ。その笑顔は、水揚げされたばかりの活きのいい鮮魚にも、負けずとも劣らない輝きを放っていた。

回遊を終えて戻ってきた巨大なマグロも無事にゴール回遊を終えて戻ってきた巨大なマグロも無事にゴール お魚大好きクロネコさんはしっかりと獲物を捉えてゴール?お魚大好きクロネコさんはしっかりと獲物を捉えてゴール?


来年もまた元気な回遊に期待します!来年もまた元気な回遊に期待します!
参加者は“マグロ”、“カツオ”になって、回遊することの楽しさと苦しさを味わいつつ、その回遊があればこそ生まれる、マグロやカツオのおいしさと有難さ、その魚たちを獲って下さる漁師さんたちへの感謝を実感しつつ、港まちの焼津を満喫したイベントとなった。

来年はより多くの“マグロさん”、“カツオさん”が終結し、焼津を満喫されることを期待します!


Text&Photo :Haruo.Fukushima