5月25,26日、長野県の木祖村で、ステージレースの『2days race in 木祖村』が行われた。トップレベルに次ぐセカンドカテゴリーのステージレースとして貴重な大会だ。2日間のレポートをお届けする。

2days race in 木祖村は、初日に8,5kmの個人タイムトライアル(ステージ1a)と81km(9km×9周)のロードレース(ステージ1b)、2日目に126km(9km×14周)のロードレース(ステージ2)が行われる、2日間3ステージ制のステージレースだ。

周回を重ねるごとに厳しくなる味噌川ダム周辺のコース周回を重ねるごとに厳しくなる味噌川ダム周辺のコース (c)Chiho.Iwasa

味噌川ダム周辺のアップダウンがある周回コースを回るだけのレースであり、UCI国際レースでもなければ、実業団レースでもなく、いわゆる草レース。だが、レース運営は本場ヨーロッパのステージレースではないか!と思われるほどきちんとしており、リーダージャージはもちろん地元ならではの賞品、賞金があり、走る人も見る人も関係者も楽しめる。参加はチーム単位でしか認められていないが、ジャージさえ揃えば他のチームからレンタル選手として出場させることも可能だ。

個人タイムトライアルにはチームカーの伴走が認められている本格ぶり個人タイムトライアルにはチームカーの伴走が認められている本格ぶり (c)Chiho.Iwasa積極的な走りでレースを学ぶのが2days race in 木祖村だ積極的な走りでレースを学ぶのが2days race in 木祖村だ (c)Chiho.Iwasa


ステージレースの楽しさを多くの人に経験してもらおうというのがこのレース開催目的なので、出場するためには主催者の審査がある。昨年まではUCIコンチネンタル登録チームは、選手が強いという事とステージレースはUCIレースで経験できるという理由から出場できなかった。
怪我からの復帰レースとなる鈴木真理に注目が集まる。後ろは大石一夫。ともに全日本チャンピオン経験者だ怪我からの復帰レースとなる鈴木真理に注目が集まる。後ろは大石一夫。ともに全日本チャンピオン経験者だ (c)Chiho.Iwasa今年から同時期開催のUCIレース(ツアー・オブ・ジャパン)に出場していない選手であれば参加を認めるというルールが加わった。海外選手もUCIポイントが4点未満なら出場できる。つまり、強くても弱くても出場できないシステムが面白いところ。こうして選手たちのレベルを近づけることで、レースは活性化され面白さが増すというわけだ。

昨年はジュニアカテゴリーでアジアチャンピオンの西村大輝が高校生ながら出場し、ジュニアギア比の制限つきがあったにもかかわらず、3ステージ優勝の完全勝利。大物ぶりを発揮し、大人たちを唸らせた。

今年は昨年8月の練習中に大腿骨を骨折、宇都宮ブリッツェンに移籍して大怪我からの再起めざすベテラン鈴木真理が、”TEAM BLITZEN”として格下のクラブ「ブラウブリッツェン」の2人と宇都宮ブリッツェンの若手・城田大和と4人で出場。復帰レースとして注目が集まった。

< ステージ1a 個人タイムトライアル >

Team UKYOのTOJ出場以外の選手たちも参戦したTeam UKYOのTOJ出場以外の選手たちも参戦した (c)Chiho.Iwasa混成チームTEAM BLITZENで出場の鈴木真理は、ブラウブリッツェンのジャージで登場混成チームTEAM BLITZENで出場の鈴木真理は、ブラウブリッツェンのジャージで登場 (c)Chiho.Iwasa


ステージ1aの個人タイムトライアルでは、昨年2位だったポール・ソールズベリー(イナーメ)が11分11秒の好タイムで、2位倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)に18秒差をつけダントツの優勝。

優勝したポール・ソールズベリー(イナーメ) 伴走チームカーも走り、ゲキが飛ぶ優勝したポール・ソールズベリー(イナーメ) 伴走チームカーも走り、ゲキが飛ぶ (c)Chiho.Iwasa

優勝したソールズベリーは、「風が強くなっていて、コーナーがかなり難しかったので慎重に入りました。踏み込めるところで頑張って、コーナーは無理せずに走りました。もうちょっといいタイムが出せるかなと思っていたけれど、とりあえず無事に終わったので満足しています。午前中に走ったので去年より風が弱くてコンディション的に良かったです。去年は後の出走で風が強かったので、今年は早い出走の方が有利だろうと順番を変えて走りました。今年はチームメイトも強く、いろんなカードがあるので面白いレースにしたいです」と流暢な日本語で応えた。

初参加で4位に入った佐藤信哉(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)初参加で4位に入った佐藤信哉(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス) (c)Chiho.IwasaUCIレースでは使用不可のこんなホイールもこのレースでは大歓迎UCIレースでは使用不可のこんなホイールもこのレースでは大歓迎 (c)Chiho.Iwasa


彼の読みどおりこの日も後半出走になるにつれ、さらに風が強まり不利な状況になっていた。レース申請時に出走順番を決めることができるので、こういった事前の作戦もこのレース勝負には必要だ。

■ステージ1aの結果 個人タイムトライアル8,5km
1位 ポール・ソールズベリー(イナーメ)11分11秒
2位 倉林 巧和(日本体育大学自転車競技部) +18秒
3位 小坂 正則(スワコレーシング)+32秒
4位 佐藤 信哉(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)+36秒
5位 小坂 光(那須ブラーゼン)+36秒

1aステージの上位3人 左から3位の小坂 正則(スワコレーシング)、1位のポール・ソールズベリー(イナーメ)、2位の倉林 巧和(日本体育大学自転車競技部)1aステージの上位3人 左から3位の小坂 正則(スワコレーシング)、1位のポール・ソールズベリー(イナーメ)、2位の倉林 巧和(日本体育大学自転車競技部) (c)Chiho.Iwasaステージ優勝の賞品に喜ぶポール・ソールズベリー(イナーメ)ステージ優勝の賞品に喜ぶポール・ソールズベリー(イナーメ) (c)Chiho.Iwasa



< ステージ1b ロードレース81km > 

1bステージのスタート。リーダージャージとオーバー40でピンクジャージを獲得した小坂 正則(スワコレーシング)が目立つ1bステージのスタート。リーダージャージとオーバー40でピンクジャージを獲得した小坂 正則(スワコレーシング)が目立つ (c)Chiho.Iwasa

15時から行われたステージ1bは、11人の逃げが決まり、3,4,5,6周にあったスプリント地点で伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)がスプリントポイントを着々と獲得。8周目で逃げは集団に吸収され、ラスト1周で集団は56人に絞られた。

スプリント賞争いがかかった伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)と 安藤光平(Esperancestage/WAVEONE山口)のスプリントバトルスプリント賞争いがかかった伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)と 安藤光平(Esperancestage/WAVEONE山口)のスプリントバトル (c)Chiho.Iwasa怪我からの復帰レースとして走る鈴木真理(TEAM BLITZEN)怪我からの復帰レースとして走る鈴木真理(TEAM BLITZEN) (c)Chiho.Iwasa


最後まで逃げはできず、集団のままゴール最後ののぼりへ。そこで集団は一気にバラけてしまい、フィニッシュラインに飛び込んできたのは3名。スプリント勝負を制したのはベテランの鈴木真理(TEAM BLITZEN)だった。2位には同じチームの城田、3位に間瀬(京都産業大学自転車競技部)が入った。

10ヶ月間のブランクの後の復帰レースでスプリントを制した鈴木真理(TEAM BLITZEN)10ヶ月間のブランクの後の復帰レースでスプリントを制した鈴木真理(TEAM BLITZEN) (c)Chiho.Iwasa

鈴木真理(TEAM BLITZEN)がステージ優勝。城田大和が2位に入りワンツーフィニッシュを果たしたTEAM BLITZEN鈴木真理(TEAM BLITZEN)がステージ優勝。城田大和が2位に入りワンツーフィニッシュを果たしたTEAM BLITZEN (c)Chiho.Iwasa鈴木の勝利に会場も大盛り上がり。自転車選手としては致命的な大ケガにもかかわらずリハビリをへての復帰レースで優勝を果たし、ライバルたちも勝利を祝福していた。

賞品の鹿の毛皮に喜ぶ鈴木真理(TEAM BLITZEN)賞品の鹿の毛皮に喜ぶ鈴木真理(TEAM BLITZEN) (c)Chiho.Iwasa鈴木は言う。「10ヶ月ものあいだレースに出ていないので感覚がなくて、集団走行も下りも怖いので、予定しているツール・ド・熊野に出る前に感覚を養うため、主催者の人に頼んで走らせてもらいました。TTは78位で調子はぜんぜん上がりませんでした。最初ワット(出力)を見ながら行って、昔のワットの感覚で走ったら1kmでたれちゃって、やっぱりまだ仕上がりって言うか、乳酸が出てからの我慢ができないですね。今回はスプリントだけがうまくいっただけで、途中の展開は楽できない。ペースが遅いのに楽じゃないので、まだまだです。

U23でトップのホワイトジャージを着る倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)U23でトップのホワイトジャージを着る倉林巧和(日本体育大学自転車競技部) (c)Chiho.Iwasa時々逃げたりしたけれど、きついですね。このコースは得意分野なんですけど、ぜんぜん楽できなくて、現時点ではまだ昔のようには行かないなって感じです。城田も2位で、何も話さないでたまたまワンツーでした。本当は城田が総合上位なのでアシストしてあげたかったんですが、まず自分の感覚を養うことを最優先させてもらいました。アシストどころか、思いっきりつぶしちゃいましたね(笑)。

僕は今、自分のことをしっかり仕上げていかないと。Jプロツアーで今宇都宮ブリッツェンは厳しい状態なので、僕もスプリントで上位に入って優勝できるようにしないとチームUKYOとの差が縮まらないと思うので…」。

自分の再起を掛けた戦いを続けながらも、キャプテンとしてチームを引っ張る鈴木の意気込みをかけた勝利だった。

翌日の第3ステージについて、鈴木は言う「今は感覚を養い、とにかく楽に走れるように仕上げたい。集団にいてもキツく、これだと熊野では切れると思うので、上手く体が使えるようにイメージして走りたいです」。
初めての木祖村のレースについいては「すごいいい!コースもいいし、このコースで全日本選手権が開催されれば、すごくきつくて、バランスも取れているしいいと思う」と話し、賞品の鹿の毛皮に大喜びの様子だった。

この日、総合はステージ1aで優勝したポール・ソールズベリー(イナーメ)がリーダージャージを守った。

■ステージ1bの結果 ロードレース81km (132人中90人が完走)
1位 鈴木 真理(TEAM BLITZEN) 2時間00分24秒
2位 城田 大和(TEAM BLITZEN) 同タイム
3位 間瀬 勇毅(京都産業大学自転車競技部) 同タイム
4位 大塚 航(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス) +4秒
5位 倉林 巧和(日本体育大学自転車競技部) +6秒

■個人総合順位 1日目終了時点
1位 ポール・ソールズベリー(イナーメ)2時間11分53秒
2位 倉林 巧和(日本体育大学自転車競技部) +6秒
3位 城田 大和(TEAM BLITZEN)+20秒
4位 松本 耀介(日本体育大学自転車競技部) +29秒
5位 佐藤 信哉(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)+33秒


< 2日目 ステージ2 126km(9km×14周)>

各賞選手が前に並んでパレード走行各賞選手が前に並んでパレード走行 (c)Chiho.Iwasa

リーダージャージを守るため集団をコントロールするイナーメ信濃山形リーダージャージを守るため集団をコントロールするイナーメ信濃山形 (c)Chiho.Iwasa2日目のステージ2は126km(9km×14周)の戦いだ。快晴で気温はかなり上がり、スタート前は半袖でも暑いくらいだった。そのため、急遽レース中の補給が1回のところ2回に増やされ、レースがスタート。序盤からスプリント賞をねらう選手たちが動き、14人の逃げが形成された。

遅れたグリーンジャージの伊藤翔吾をアシストする大塚航遅れたグリーンジャージの伊藤翔吾をアシストする大塚航 (c)Chiho.Iwasaスプリント賞トップでグリーンジャージを着ていた伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)がチームメイトとともに確実にポイントを獲得し、完走すればポイント賞は確実となった。

終盤集団の先頭に出る倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)終盤集団の先頭に出る倉林巧和(日本体育大学自転車競技部) (c)Chiho.Iwasa集団はリーダージャージのソールズベリー擁するイナーメが序盤コントロールしていたが、徐々にチームメイトたちも減り、逃げとの差が開いた。だが、5周目から天気が一気に変わり雨が降り出すと、前もペースが落ち反対に集団のペースが上がり、徐々に逃げと集団の差も縮まった。

スプリントポイントがかかっていた7周目が終わると、スプリント争いの仕事を終えた選手たちは集団に戻り、数名が逃げ続けた。
いったんは止みそうになった雨だが、また後半に向け激しく降る。この雨のせいで気温は下がり、路面状況も悪くなりパンクも続出。

トラブルで遅れる選手が出る中、ラスト2周で先頭は集団となり、ラスト1周でU23ホワイトジャージの倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)、城田 大和(TEAM BLITZEN)、小坂光(那須ブラーゼン)の3人が飛び出した。

逃げ切った城田大和(TEAM BLITZEN)と倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)逃げ切った城田大和(TEAM BLITZEN)と倉林巧和(日本体育大学自転車競技部) (c)Chiho.Iwasaこの3人で決まるかと思われたが、不運にも小坂がパンクで脱落。2人での勝負に持ち込みたいため後続を引き離し、城田がステージ優勝、2位に入った倉林は総合トップにのし上がった。

リーダージャージを失ったポール・ソールズベリー(イナーメ)リーダージャージを失ったポール・ソールズベリー(イナーメ) (c)Chiho.Iwasaステージ優勝した城田は「本当は逆転するために前半逃げたかったんですけど、なかなか動くことができなくて、昨日みたいな形でステージ狙いでいこうと思いました。本当は真理さんとワンツーしたかったんですけど、真理さんが途中でやめちゃって。この後、熊野もあるので調整という意味で真理さんは無理しなかっんですけど。
後半はラスト1周で倉林さんが行って、光さんも行って、3人で回していたんですけど、自分がぎりぎりで付いていくのがやっとでした。
光さんがちぎれて2人になって、結構きつかったので倉林さんにほとんど引っ張ってもらってました。自分はステージを狙って、倉林さんは総合があったので2人で行こうと思いました。
最後は勝負になるので、自分でかけてステージが取れたのは良かったと思います。途中で雨が降って来たので、これは逃げきられると危ないと思いました。チームメイトの真理さんがめちゃくちゃ牽いてくれて、それでどんどん差が縮まって逃げが捕まりました。真理さんは『きつい、きつい』と言いながらめちゃくちゃ強かったですね。後ろに付いていてもきつかったですよ。熊野の前にいい練習ができて楽しかったです」と勝利を喜んだ。

総合トップになった倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)総合トップになった倉林巧和(日本体育大学自転車競技部) (c)Chiho.Iwasaステージ2位に入り、総合トップに輝いた倉林は「総合は狙っていましたね。チームとしても動いてくれていたので、自分も集団内で楽ができて、最後勝負することができました。
途中雷が鳴ったりしてどうなるかなと思ったんですけど、あまり考えずに頑張りました。逃げにチームメイトがいたので、集団内で落ち着けましたし、最後も思いっきり行けたのが良かったです。このコースはテクニカルなのであまり得意ではないんですが、総合優勝できて良かったです」と、着実に走り総合を手にした。

ステージ2の表彰式。左から3位の中井 路雅(京都産業大学自転車競技部)、1位の城田大和(TEAM BLITZEN)、2位の倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)ステージ2の表彰式。左から3位の中井 路雅(京都産業大学自転車競技部)、1位の城田大和(TEAM BLITZEN)、2位の倉林巧和(日本体育大学自転車競技部) (c)Chiho.Iwasa各賞レース オーバー40は西谷雅史が制する

今年は各賞レースも途中から振り出した雨で波乱の展開となった。
まずは、オーバー40。今年も初日に小坂正則(スワコレーシング)がステージ1aの個人TTで3位となり、去年と同じく初日にピンクジャージを獲得。昨年はライバルの清水英樹(Esperancestage/WAVEONE山口)に途中のボーナスタイムを取られ逆転されて逃したピンクジャージだが、今年は2位との差は38秒で無難に行けばほぼ確実だったのだが…。

オーバー40賞に輝いた西谷雅史(オーベスト・バースモン)オーバー40賞に輝いた西谷雅史(オーベスト・バースモン) (c)Chiho.Iwasaしかし、ロードレースは何が起こるかわからない。途中から激しく降り出した雨でパンクが続出。不運に小坂もパンクに見舞われた。それも1度や2度ではなかったようだ。噂では5回も!との情報も。
ピンクジャージを守るためパンクで遅れては復帰しようと力を使い、かなり遅れてからもリタイアすることなくトップから11分13秒遅れでゴール。総合タイムで順位が決まるオーバー40の難しさを今年も痛感することとなった。

小坂に変わってオーバー40トップに輝いたのは西谷雅史(オーベスト・バースモン)だった。
西谷は言う「タイム差もすごくあったので、あまり計算しないで行こうかなと思い、とにかく全力で行きました。最初から逃げることになって、途中で捕まったら仕方ないと思っていったんですが、結果的に展開が良かったと思います。僕が捕まったときに小坂さんが後ろに下がって行ったので、なんだかよく分からなかったですね。清水さん(昨年オーバー40を獲得)もどこにいたかよく分からなかったです」と、ゴールして初めて自分がオーバー40トップになったことを知ったようだ。
こうして、西谷は2011年以来2度目のピンクジャージ獲得を果たした。

熾烈なスプリント賞争いは伊藤翔吾が辛勝

伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)と 安藤光平(Esperancestage/WAVEONE山口)のスプリントバトル伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)と 安藤光平(Esperancestage/WAVEONE山口)のスプリントバトル (c)Chiho.Iwasa総合タイムではなく、途中のスプリント地点でのポイント獲得数で決まるスプリント賞も今年は面白い展開となった。
初日スプリント賞に輝いたのは伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)。逃げに乗り、確実にポイントを獲得し、人生初のリーダージャージに袖を通した。

スプリント賞争いを制した伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)スプリント賞争いを制した伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス) (c)Chiho.Iwasaしかし、昨年スプリント賞を獲得した安藤光平(Esperancestage/WAVEONE山口)との差はわずか2ポイント。3位以降は9ポイント差あるが、第2ステージはスプリント地点が5回あり、毎回上位3人にポイントがつくため、確実にポイントを取らないと逆転される可能性は大きい。そのためレース2周目でできた逃げにグリーンジャージの伊藤、そしてチームメイトの大塚が入る。

逃げに乗り遅れてしまったライバルの安藤だったが、ここそとばかりに追走し、追いついた。ただ、安藤は伊藤のチームメイトである丸山も引き連れてきてしまったのが誤算だった。先頭14人となった逃げに3人が入ったJPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックスは、グリーンジャージの伊藤にポイントを取らせるため、スプリント地点のたびに大塚、丸山が先行し、伊藤は1位通過でポイントを稼いで行った。

4回目のスプリントで総合トップは確実となり、これでリーダージャージを守りきったと思われた。しかし、そう甘くはなかった。
暫定スプリント賞トップになった伊藤は集団に戻りゴールを目指していたが、雨で彼もまたパンクに見舞われたのだ。レースはパンク続出のため、ニュートラルサポートもなかなか追いつかない。

「補給のところを過ぎてパンクしたので、ずっと一人で坂を上って、フィニッシュラインで手を上げたけれど、後ろにニュートラルがいなかった。でも、たまたまフィニッシュラインでホイールを貸してもらえて、タイヤを換えて一人で1周走った。次の周にピンクジャージの小坂さんが来たので、小坂さんと一緒に走っていたが、またここの上りで小坂さんがパンクしてしまって…」と一人で遅れ、雨で気温も下がり、完走しないとスプリント賞も失ってしまう窮地にたたされたてしまった伊藤。

それを助けたのが前半、伊藤のためにアシストしていた大塚だった。「(伊藤)翔吾さんが遅れたのに気づかなかったんですけど、エスペランスの人が「翔吾、遅れたからポイント賞いけるぞ」って言っていたのを聞いて、ちょっとこれはどうしようかな?と思って…。ステージを狙う手もあったんですけど(大塚は前日のステージ1bで4位)、とりあえずスプリント賞は取りたかったので待ちました。僕が行かなくても完走できてたかもしれないですけど、またその状態でパンクしたりとかハンガーノックで動けなくなったりしたらやばかったので、後ろに戻って形になって良かったです」。

ラスト2周から大塚のアシストで伊藤はトップから6分54秒遅れで完走した。
「ハンガーノックで力が入ってなかったですけど、何とかぎりぎりで完走したって感じです。大塚がいなかったら、やばかったですね。大塚に引いてもらってペースを作ってもらい、最後は大塚頼みでした」と無事スプリント賞を守りきり、初のシャンパンファイトに喜び一杯だった。

■ステージ2の結果 126km
1位 城田 大和(TEAM BLITZEN)3時間12分22秒
2位 倉林 巧和(日本体育大学自転車競技部) +3秒
3位 中井 路雅(京都産業大学自転車競技部)+12秒
4位 高木 三千成(立教大学自転車競技部)+19秒
5位 松本 耀介(日本体育大学自転車競技部)+20秒

■総合成績
1位 倉林 巧和(日本体育大学自転車競技部) 5時間24分16秒
2位 城田 大和(TEAM BLITZEN)+9秒
3位 ポール・ソールズベリー(イナーメ)+37秒
4位 松本 耀介(日本体育大学自転車競技部)+41秒
5位 高木 三千成(立教大学自転車競技部)+55秒

■各賞受賞者
個人総合時間賞:倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)
個人総合スプリント賞:伊藤翔吾(JPスポーツテストチーム・マッサ・アンデックス)
U-23賞:倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)
O-40賞:西谷雅史(オーベスト バースモン)

総合トップになった倉林巧和(日本体育大学自転車競技部)総合トップになった倉林巧和(日本体育大学自転車競技部) (c)Chiho.Iwasa

< ジュニア+スタッフ+コンソレーションレース >

長野県期待の若手の長野県篠ノ井高等学校の横山航太長野県期待の若手の長野県篠ノ井高等学校の横山航太 (c)Chiho.Iwasa26日の午前中には「ジュニア+スタッフ+コンソレーションレース」が9km×8Laps=72kmで行われた。
コンソレーションレースは通称『残念レース』と言われ、前日のレースでリタイアした人が出場できるこのレースならではの面白いシステムだ。
「2日間は無理だが1日くらいなら走れる」というチーム関係者などスタッフも出走費を払えば出場できる。さらに『長野県高校総体自転車競技大会』も兼ねていたため、地元高校生にとっては大事な一戦となった。

勝負は横山航太(長野県篠ノ井高等学校)と水野恭兵(Pinazou Test Team)の勝負となり、水野が制する勝負は横山航太(長野県篠ノ井高等学校)と水野恭兵(Pinazou Test Team)の勝負となり、水野が制する (c)Chiho.Iwasa出場したのは76人で、女子選手も出場した。この勝負を制したのは、総合狙いで出場しながらも前日落車に巻き込まれリタイアとなった水野恭兵(Pinazou Test Team)。横山航太(長野県篠ノ井高等学校)と2人で逃げ切り、最後はチーム員たちの大歓声に後押しされ、横山をまくって勝利を手にした。

ジュニア+スタッフ+コンソレーションレースの表彰式。左から3位の大田尚之(長野県中野立志館高等学校)、1位の水野 恭兵(Pinazou Test Team)、2位の横山航太(長野県篠ノ井高等学校)ジュニア+スタッフ+コンソレーションレースの表彰式。左から3位の大田尚之(長野県中野立志館高等学校)、1位の水野 恭兵(Pinazou Test Team)、2位の横山航太(長野県篠ノ井高等学校) (c)Chiho.Iwasa前日リタイアのリベンジを果たし、優勝した水野はチームの人たちと喜び合う。
「昨日落車でリタイアしたので、今日のレースを待っていました。横山君とか高校生とか強い選手が一杯いるので力を抜かずに全力で走りました。最後スプリント勝負に持ち込みたかったので、下から早掛けされたら厳しかったんですけど、残り150mくらいで勝負になってスプリントだと自信があったので良かったです。一瞬離された時には気持ちが切れかかりましたけど、応援がたくさんいたので踏みなおせました」。

2位に入った長野県高校総体自転車競技大会優勝の横山航太(長野県篠ノ井高等学校)は、日本代表選手として5月30日〜6月2日にドイツで開催されるUCIジュニアネイションズカップへの出場が予定されている。

横山は言う「勝つことも考えていたんですが、それよりも自分から動いてドイツに向けて最後の追い込みをしようと思いました。明後日出国です。去年も行った事があるステージレースなんです。先月同じネイションズカップ(ツールドイストリア)に行って、第3ステージで9位でした。世界選手権の枠が決まるジュニア版のUCIポイントのネイションズポイントが6位まで獲得できるんですが、前回ぎりぎり取れなかったので、それを取るのが目標です。
このレースはアットホームですが、レベルの高いレース。今年も2日間の本選に出たかったんですが、県総体も兼ねていたため、この日だけのレース参加でした。来年はぜひ本選に出たいですね」。
海外を目指す選手にとってもステップアップのレースになっているようだ。

ジュニア+スタッフ+コンソレーションレース結果 72km
1位 水野 恭兵(Pinazou Test Team)1時間50分42秒
2位 横山 航太(長野県篠ノ井高等学校)+1秒
3位 大田 尚之(長野県中野立志館高等学校)+1分56秒


こうして、今年も参加者たちが楽しんだ本格ステージレース「2days race in 木祖村」が幕を閉じた。チーム力が試される数少ないステージレースなので、今年参加したチームはまた来年に向けて、そしてまだ参加したことのないチームはぜひメンバーを集めてぜひ来年、参加してもらいたい。


photo&text:Chiho IWASA
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